やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 歯周病に罹患した歯を治療により改善し,また長きにわたり健康な状態でメインテナンスするということは,歯科医師の本分である.なかでも歯周組織再生療法は,失われた歯周組織を再生させ,歯周病に罹患した歯の予後を改善するという「切り札」になる治療法である.
 歯周組織再生療法は,1970年代初期に始まった骨移植法に端を発している(それ以前の“Denudation Technique”などを含めると,端緒はもう少し古くなる)が,この40年間に,GTR(Guided Tissue Regeneration)法,エナメル・マトリックス・デリバティブ(EMD)と,新たな材料・テクニックが導入され,さらに今世紀に入ると成長因子製剤の導入がアメリカで行われた.また日本でも,新しい成長因子製剤の導入が期待されるなど,多くの改良が施されてきた.
 一方,特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会は,1983年に「臨床歯周病談話会」として創立され,以来30年有余にわたり発展を続け,わが国の臨床歯周病学をリードしてきた.そのなかでも歯周組織再生療法は,多くの会員により手掛けられ,会員の歯周外科臨床の中心をなす術式となっている.また本会創立の時期を考えると,本会の発展と手を取り合うように,また歯周組織再生療法も発展してきたといえる.
 アメリカ歯周病学会(American Academy of Periodontology;AAP)は本学会とも友好関係にある,国際的にも規模・歴史ともに有数の学会である.AAPでは従来から数年ごとにその時点でのコンセンサスをまとめるための“World Workshop”を開催してきたが,今回は12年ぶりに,『Proceedings of the2014AAP Regeneration Workshop-Enhancing Periodontal Health through Regenerative Approaches』という形で,硬組織・軟組織の再生療法に特化する形で書籍が発刊された.
 本書はこのAAPの書籍を参考に,そのなかに収載されたディシジョン・ツリーと,それに対応する症例を本会会員より募り掲載した.症例の選考では,編集委員がブラインドの形(編集委員には症例を提出した会員名は伏せてある)で,最適な症例を選択するという編集方針がとられている.つまり,本会会員による“ベスト・ショット”により構成された書籍である.
 本書が歯周病治療を志す本会会員だけでなく,すべての歯科医師の役に立ち,ひいては本執行部のテーマである「歯周病で歯を失う方を一人でも減らすために」有益な書籍になることを理事長として願ってやまない.
 本書籍の編集委員である,清水宏康プロジェクト・リーダー(国際交流副委員長),高井康博副理事長(学術統括),吉野宏幸学術委員長,さらに症例を提出いただいたすべての会員に謝意を捧げたい.また惜しくも選考に漏れた症例も,ほとんどが紙一重の僅差であったことを付記し,本書の趣旨を理解し編集に協力いただいたことに,篤くお礼を申し上げる.
 2016年6月
 特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会理事長 二階堂雅彦
 はじめに
 本書の構成
 症例分類
CHAPTER 1 歯周組織再生療法――骨縁下欠損
 治療法選択のためのディシジョン・ツリー
 症例
  Case01―category I-1
  Case02―category I-2
  Case03―category I-3
  Case04―category I-4
  Case05―category I-4
  Case06―category I-5
  Case07―category I-6
  Case08―category I-6
  Case09―category I-7
  Case10―category I-8
  Case11―category I-9
  Case12―category I-9
  Case13―category I-9
CHAPTER 2 歯周組織再生療法――根分岐部病変
 治療法選択のためのディシジョン・ツリー
 症例
  Case14―category F-1
  Case15―category F-1
  Case16―category F-1
  Case17―category F-2
  Case18―category F-3
  Case19―category F-4
  Case20―category F-5
CHAPTER 3 根面被覆術――歯肉退縮
 治療法選択のためのディシジョン・ツリー
 症例
  Case21―category G-1
  Case22―category G-1
  Case23―category G-1
  Case24―category G-1
  Case25―category G-2
  Case26―category G-3

 索引