やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第5版の序
 本書が世に出てから,すでに30有余年が過ぎた.その間,疾病構造の変化や医療技術の進歩は医療サービスのあり方も含めて,医療・歯科医療に大きな変化をもたらした.一方で,わが国は未曽有の災害を体験し,包括的な医学・医療の重要性を再認識した.
 本書が5,6年ごとに改訂を重ねる理由でもあるが,「歯科放射線学」は医学・歯科医学の一分野として,社会の変化と無関係ではありえない.齲蝕や歯周疾患,歯の欠損や喪失といった歯科疾患においては,高齢者の増加や治療技術の向上とともに,診断法にも30年前とは異なった視点が求められ,同時により高い信頼度が求められている.一方,デジタル時代の到来以来,CTやMRI,核医学といった画像診断においても革新的な技術が開発されて医療に直接的に貢献し,今後もとめどなく進歩することが予想されている.このような技術革新は,人びとの健康増進と疾病予防・治療の改善に貢献してはじめて評価されるものであるが,そのためには数多くの質の高い臨床研究が同時に求められる.
 こうしてみると,医学・医療は若い学生諸君にとって,その身を投ずるに値するきわめて魅力的な分野だといえる.「歯科放射線学」はそのなかのほんの小さな一分野にすぎないが,そこには医学・医療を理解するために必要なさまざまな要素がちりばめられていることに気づくであろう.本書を編集するにあたって,執筆者の先生方には,それぞれの領域における最新の研究・診療成果を正確に反映するようにお願いした.それは本書をステップとして,学生諸君がいっそうの高みを目指してほしいからである.道しるべが曖昧では,無用な遠回りをしたり,場合によっては道を失うからである.
 いまの時代,さまざまな情報源があり,インターネットで適切なキーワードを検索すれば,数多くの情報を得ることができる.しかし,単純化しすぎたためにその本質を見失いかねない表現や,全く誤った内容が示されることもあり,時には意図的に一定の結論となるような偏った記述さえ見受けられる.そこで,学生諸君に望むことは,まずは情報を受け止めて,その後,これをじっくり吟味する余裕をもってほしいということである.こうした機会を重ねることで,人としての知性が育まれる.知性は医療人に求められる最も大切な素養の一つである.
 本書はわが国の歯学部学生を対象として書かれたものであるが,学生諸君のいっそうの学習を促す内容も含まれている.また,臨床研修医の参考書としても活用でき,歯科放射線認定医・専門医を目指すときの入門書としても利用できる.若い諸君の輝かしい未来に,本書が多少とも役立つことができれば,編者として大きな喜びである.
 2013(平成25)年9月
 編集委員一同


第4版の序
 本書は1982年初版の歴史ある書である.1995年,2000年と版を重ね,このたびの改訂で第4版となるが,その間,時代の第一人者の先生方が執筆されてきた.改訂のたびに時代の進歩を反映した新しい内容を加えるとともに,その質の充実を図ってきた.このたびの改訂の主眼も学生諸君にとって読みやすく,検索しやすいことと同時に,何よりも最新の情報を正確に記載することにあった.現在のカリキュラムでは,専門学問分野である「歯科放射線学」や「口腔放射線医学」として系統的な授業が行われているが,一方では,たとえば疾患別に各専門領域が参加する統合科目のなかで,画像診断や放射線治療が授業されることもある.また,学生の学習意欲を向上させるために,将来,歯科医師として出会うであろう事例をもとにした授業が行われるが,そのような授業では,放射線医療が断片的に提示されることとなる.したがって,歯科放射線医療・医学を系統的に学ぶ場合であっても,関連事項としてその一部を調べる場合であっても,その学習が効果的に行えるような工夫がこの種の教科書には求められる.また,学生の最大の関心ごとである共用試験のCBTやOSCE,歯科医師国家試験などの受験準備の学習にも役立つことも必要である.本書は以上のことも考慮して編集された.
 したがって,本書は歯科医師になるために必要な放射線医療・医学を学ぶための入門書であるが,初期臨床研修に必要な事項も含まれている.しかし,学生・臨床研修医としてさらに深くこの領域を学習する場合や歯科放射線診療の専門医を目指す場合には,専門分野の先生方の指導を仰いで,適切な書物を参照してほしい.本書の読者が生涯を通じて学習し続けることのできる思慮深い歯科医師になることを願う次第である.
 2006(平成18)年5月
 編集者一同


第3版の序
 歯科医学教育は,現在,「曲がり角」にきているといわれている.これはわが国だけではなく先進諸国に共通している.その背景には,(1)歯科の疾病構造が変化したこと,(2)口腔衛生に対する人々の意識が変化したこと,(3)歯科医学研究が進歩したこと,(4)歯科医師の数が過剰なこと,などがある.こうした状況の変化に対して教育そのものが,従来どおりの型でいいはずがない.そこで新しい歯科医学教育についての提言が様々な書籍や論文で数多くなされ,歯科医学を含む医学教育そのものについて,より状況に即した効率的な手法が提起されている.
 しかし,一方では大学には教育理念があり,それは大学の間でも異なっているため,新しい教育の目標やそこに到達する過程もまた異なったものとなるであろう.
 こういう状況での教科書とはどういうものになるのであろうか.教科書はいつの時代であっても,その時代における標準を示すものでなくてはならない.そこでは現時点で確立された概念を明確に示すことが重要である.同時に,近い将来において重要となるであろう事項についても言及すべきであろう.したがって「曲がり角」にきた歯科医学教育ではあるが,教科書としての役割には大きな変化はないということになるであろう.
 さて,歯学部の学生が理解しておくべき内容と範囲については,歯科医学教授要綱(歯科大学学長・歯学部長会議編集)が参考となる.しかし,要綱は基本概念とともに教授項目が示されているに過ぎない.したがって教える先生方は要綱を意識しながら,その先生の教育・臨床・研究の経験を背景にして,必要と判断した内容を教授することになる.そこには先生方の個性が反映されることになる.
 教科書を編集するときには,それぞれの領域で活躍されている数多くの先生方に執筆していただく.考え方がそれぞれの先生で異なるので,その編集では,どこかで調整をしなければならない.この教科書では初めての試みとして,各章の執筆をお二人の先生の共著となるように依頼した.また私ども編集者は著者の方に多くのご無理をお願いし,記述ができるだけ平易になるように書き足していただいたり,せっかく書いたものを削除させていただいたりした.このようにして,できる限りバランスのとれた教科書となるように努力したつもりである.その結果,(1)こうした変革の時代にふさわしく,(2)従来からの重要で基本的なことを重視しながら,(3)新しい項目を積極的に取り入れた「歯科放射線学」の教科書となった.
 学生諸君,臨床研修医諸君,一般臨床医の方々は,本書を座右におくことにより,歯科放射線学をより深く,確実に理解できるものと確信している.
 なお,本書の執筆にあたり,先人が残された数多くの資料や図表を積極的に利用させていただいた.本書への転載を了解していただいた内外の著者や出版社の方々に心より感謝の意を表したい.読者の皆さんには,それらの図表が誰のものかがその場でわかるようにするため,出典を明らかにしておいた.
 本書が多くの方々に利用されることを願って,序とさせていただく.
 2000(平成12)年7月1日
 レントゲンによるX線の発見から105年経った年に
 編集者一同


第2版の序
 進歩してやまない歯科医学のなかにあって,歯科放射線学のアンダーグラジュエートの成書として1982年に出版された本書も,十数年を経て改訂の必要が生じた.
 その準備が,従来の執筆者と新しくお願いした専門の方々とともに数年前から進んでいたが,最新の装置の進歩,放射線防護関連法規の改正など,時代の変遷に対応しているうちに月日が過ぎてしまった.また,その間に教育,研修面でも,厚生省関係の「歯科医師国家試験出題基準」が平成5年6月に改訂され,さらに平成6年4月には文部省関係の歯科大学学長会議「歯科医学教授要綱」が改訂されるなどの大きな改革があった.
 したがって,本書ではこれらの新しい基準に沿って内容を充実させ,編集を進めた.
 改訂では,とくにつぎの点に重点をおいた.
 (1)放射線物理的項目はできるだけ臨床に必要な知識とした.
 (2)新しい画像診断装置の項を増やした.
 (3)歯の画像診断の範囲を広げ,また顎骨病変では鑑別診断にも注意した.
 (4)放射線障害防止法は,平成元年4月から施行された医療法のほか,ICRP(国際放射線防護委員会)1990年勧告も一部取り入れた.
 (5)臨床実地的な画像診断と,最新の理学療法も参考として付した.
 いずれにしても,歯科放射線学は各科の診療に必要な検査資料を提供するための学問としてみられることが多い.しかし,医科の放射線学と同様,CT,MRI,超音波などの新しい装置,RIや造影手技のほか,これらを利用して得られた画像に対する診査,さらに放射線治療,レーザー治療など,歯科放射線学の担当する範囲は広くて奥深い.
 このため,歯科放射線学会でも専門医の必要性が注目されている.この意味も含めて本書が学生諸君の教科書にとどまらず,ポストグラジュエート研修のための参考書としてもみていただければ幸いである.
 平成7年4月
 古本啓一
 菊地 厚



 最近,歯科放射線学に関する成書が比較的多く出版されるようになった.これは放射線が臨床各科の診療体系の中で広く利用され,これに伴って診断的な面はもちろん,基礎的な面も網羅した歯科放射線の解説書が必要とされるようになったためといえる.
 また,X線を含めて画像診断の進歩は電離放射線,RI(放射性同位元素)のみならず,ME(医用電子)の領域まで拡大されており,放射線機器その他の最新の診療機器に対する広い知識が今日的に必要となり,さらに,放射線障害防止の問題が社会的にも注目され,当然のことながら放射線の管理措置なしでは,放射線の利用ができなくなった現状も注意しなければならないことである.
 一方,これらの諸点は大学の歯科放射線学のカリキュラムの面を通して歯科医師国家試験にも反映されているため,本書はとくにアンダーグラジュエートの知識を習得する意味で,教科書的な構想のもとで企画された.
 もっとも,大学では教科書がすべてではなく,むしろ各教授のオートノミイが尊重されることが大切であり,このため,各執筆者には比較的専門とされる分野を担当していただくこととなったが,執筆の進んだ段階で各章が個性に富んだものとなった.このことは,本書の一つの特徴ともいえる.
 いずれにしても,現時点における大学の教授要綱にのっとったすべてが展開されているはずである.
 その他の特徴として……,
 1)基礎的な章は,歯科放射線学の根幹となるものであり,このためポストグラジュエート的な事項を含めて,詳記した.
 2)良いX線撮影フィルムを得るため,X線撮影法,現像操作の理論的な面のみならず具体的な面も含めた.
 3)放射線治療,核医学などの放射線医学のうち関係事項を包含した.
 4)歯学は全身の一環であるため,隣接医学の一端にもふれた.
 なお,用語については“スタフネ口腔X線診断学”,“口腔X線診断図譜”の中で用いられている専門語を参照した.
 本書は編集責任者のほか,東与光,黒柳錦也,前多一雄,尾澤光久,山本昭(ABC順)の各教授の分担によるものであるが,その他多くの人たちの協力でまとめられたものであり,諸先生方の御尽力に心から厚く感謝申し上げます.また,企画,製作にあたって終始お世話をいただいた医歯薬出版株式会社に深く感謝します.
 なお,記述にあたっては多くの諸先輩の著者に負うところが大きく,巻末にそれらの一部を記載し,あらためて感謝の意を表した.
 学問は日進月歩であり,一日として止まるところを知らないとさえいえる.本書も今後改訂を重ね歯科放射線学の進歩と歩を合わせながら発展して行きたいと思っている.アンダーグラジュエートの座右書として,学生諸君あるいは一般歯科医の方々のために本書が役立てば誠に幸いである.
 昭和56年11月8日
 古本啓一
 菊地 厚
第1章 放射線と歯科医療
 1.はじめに(岡野友宏)
 2.放射線医学の歴史と新たな展開(岡野友宏)
  1)X線の発見とX線管
  2)放射能の発見
  3)放射線診療の展開
 3.歯科におけるX線の利用と診療・教育ガイドライン(岡野友宏)
  1)歯科X線撮影法の発展
  2)わが国における歯科放射線の歴史
  3)歯科X線撮影の診療ガイドラインの設定
  4)歯科放射線学の教育ガイドライン
第2章 放射線とその性質
 1.放射線の物理(佐藤健児)
  1)原子とその構造
  2)電離と励起
  3)電離放射線
  4)放射線の種類と分類
  5)放射性同位元素
   (1)原子核の崩壊 (2)放射能
 2.放射線の量・単位とその測定(佐藤健児)
  1)量と単位
  2)線量測定に関する量
   (1)吸収線量(Jkg-1,Gy) (2)照射線量(Ckg-1)
  3)線量測定
   (1)電離箱 (2)半導体検出器 (3)シンチレーション計数器
   (4)熱蛍光線量計(thermoluminescence dosimeter;TLD)
   (5)蛍光ガラス線量計(fluoroglass dosimeter)
   (6)光刺激ルミネセンス線量計(optically stimulated luminescence;OSL dosimeter)
  4)モニタリング用の測定器
   (1)環境モニタリング (2)個人モニタリング
  5)放射線防護に関する量
   (1)等価線量(equivalent dose) (2)実効線量(effective dose)
 3.放射線の生物学的影響(佐々木武仁)
  1)放射線影響発現過程
   (1)物理学的過程 (2)化学的過程 (3)生物学的過程
  2)細胞に対する影響
   (1)細胞死の発現 (2)細胞生存率曲線 (3)細胞損傷からの回復
   (4)細胞致死効果の修飾因子 (5)細胞死および突然変異の機構
  3)組織および臓器に対する放射線影響
   (1)組織幹細胞の放射線感受性 (2)早期組織反応 (3)晩期組織反応
   (4)放射線治療における正常組織反応 (5)急性放射線症候群
 4.人体に対する放射線影響
  1)放射線影響の分類(三浦雅彦)
  2)確定的影響と確率的影響(三浦雅彦)
   (1)確定的影響 (2)確率的影響
  3)低線量被曝の影響(佐々木武仁)
   (1)低線量放射線影響 (2)低線量被曝のリスク (3)線量−反応関係
   (4)疫学的調査研究 (5)リスク評価と解釈
 5.医療における放射線防護(岡野友宏)
  1)放射線の線源別にみた被曝線量
  2)医療における被曝
  3)放射線防護の考え方
  4)医療被曝の管理と防護
  5)医療従事者の防護
   (1)環境の管理 (2)個人の管理
  6)病棟や在宅におけるX線撮影
第3章 X線像の形成
 1.X線の発生と画像形成
  1)X線の発生(鈴木陽典)
   (1)制動放射線 (2)特性X線
  2)X線管(鈴木陽典)
   (1)X線管の構造 (2)X線管によるX線の発生過程 (3)X線の発生効率
   (4)焦点 (5)陽極の形状 (6)X線のエネルギーと波長の関係
   (7)デュアン・ハントの法則
  3)X線装置(鈴木陽典)
   (1)X線装置 (2)高圧回路と整流回路 (3)濾過 (4)X線の線質
  4)X線と生体との相互作用と被写体コントラスト(岡野友宏)
   (1)X線と物質との相互作用 (2)被写体コントラストの形成
   (3)散乱線とその除去
 2.フィルムと増感紙(奥村泰彦)
  1)フィルム
   (1)X線写真とフィルムの種類 (2)構造
  2)増感紙
 3.X線写真処理と観察(奥村泰彦)
  1)感光の理論
  2)写真処理
   (1)現像 (2)定着 (3)水洗・乾燥
  3)写真濃度(黒化度)
  4)特性曲線
  5)X線写真処理の実際
   (1)暗室の設計 (2)恒温槽による処理の手順 (3)自動現像処理
  6)X線写真の観察
 4.デジタルラジオグラフィ(西川慶一)
  1)画像のデジタル化
   (1)標本化 (2)量子化 (3)空間分解能と濃度分解能(コントラスト分解能)
   (4)デジタル画像のデータ量 (5)データ圧縮
  2)歯科用デジタルX線画像診断システム
   (1)歯科用デジタルX線画像診断システムの基本構成
   (2)歯科用デジタルX線画像診断システムの特徴
  3)フラットパネル検出器
   (1)直接変換方式 (2)間接変換方式 (3)画像特性の比較
   (4)X線撮影以外でのFPDの利用
 5.画像の評価(吉浦一紀)
  1)物理的画質
   (1)解像度 (2)コントラスト (3)ノイズ (4)信号雑音比(SN比)
  2)診断的画質の評価法
  3)フィルム(アナログ画像)とデジタル画像の画質の違い
 6.医療情報とデジタル画像の統合(誉田栄一)
  1)診療録の電子化(電子カルテ)
  2)病院情報システム
  3)電子カルテの標準化
  4)DICOM標準規格による画像および画像通信の標準化
  5)医療情報の統合
  6)遠隔画像診断
第4章 X線撮影法と画像検査
 1.X線投影の原則(岡野友宏・土持 眞)
  1)焦点・被写体・フィルム(センサー)の幾何学的関係
   (1)拡大 (2)ひずみ (3)半影 (4)接線効果 (5)重積効果
 2.口内法X線撮影
  1)歯科口内法用X線装置(奥村泰彦)
   (1)ヘッド (2)操作パネル (3)支柱,アーム
  2)歯科用X線フィルム,口腔内センサー(奥村泰彦)
   (1)歯科用X線フィルム (2)口腔内センサー
  3)投影の原則(奥村泰彦)
   (1)頭部の固定 (2)フィルムの位置づけ (3)投影角度の決定
   (4)中心線の射入点 (5)口内法X線撮影の手順 (6)平行法
  4)咬翼法(奥村泰彦)
  5)咬合法(荒木和之)
   (1)撮影法 (2)X線画像
  6)口内法X線画像の正常解剖(小林 馨・有地榮一郎)
   (1)歯と歯周組織 (2)口内法X線画像に描出される周囲の構造物
 3.パノラマX線撮影(小林 馨)
  1)撮影の原理とX線装置
   (1)装置開発の変遷と原理 (2)画像形成
  2)パノラマX線撮影の実際
   (1)撮影準備 (2)被験者の位置づけ
  3)パノラマX線画像の正常解剖
  4)障害陰影
 4.顔面頭蓋部撮影
  1)体位・基準線と投影法(岡野友宏)
   (1)撮影体位・X線投影方向・基準線(面) (2)投影法
  2)顔面頭蓋部X線撮影装置と検出器(櫻井 孝)
  3)頭部後前方向撮影(postero-anterior projection;P-A投影法)(櫻井 孝)
  4)Waters撮影法(Waters' projection)(櫻井 孝)
  5)頭部X線規格撮影法(cephalometric radiography,cephalography)(櫻井 孝)
  6)顎関節の撮影(櫻井 孝)
   (1) 側斜位経頭蓋撮影法(lateral oblique transcranial projection)
   (2)眼窩下顎枝方向撮影法(orbitramus projection,眼窩下顎頭方向撮影法;orbitocondylar projection)
   (3)顎関節パノラマ4分割撮影法
 5.X線断層撮影法(荒木和之)
  1)X線断層撮影法の原理
  2)パノラマX線撮影装置に付加される断面画像構成法
   (1)Tomosynthesis (2)Volumetric tomography(VT)
 6.歯科用コーンビームCT
  1)歯科用コーンビームCTの原理と構成(新井嘉則)
  2)歯科用コーンビームCTの撮影と適応(本田和也)
   (1)撮影 (2)適応
 7.造影検査(浅海淳一)
  1)造影検査とは
  2)造影剤とその有害事象
   (1)造影剤 (2)有害事象
  3)口腔顎顔面領域における適用
 8.CT(コンピュータ断層法(湯浅賢治)
  1)CTの原理と装置
  2)CT値
  3)ピクセル,ボクセル
  4)部分容積効果
  5)CT像の表示
  6)アーチファクト
  7)造影CT
  8)CTの適応
 9.磁気共鳴撮像法(MRI)(佐野 司)
  1)MRIの原理
   (1)1Hのスピン (2)巨視的磁化 (3)ラーモア歳差運動
   (4)核磁気共鳴現象 (5)緩和現象 (6)勾配磁場(傾斜磁場)
   (7)スピンエコー法とグラジエントエコー法 (8)MRIにおける造影
  2)MRIにおけるコントラスト
  3)MRIによる検査
  4)MRIの適応
  5)その他のMRI
   (1)灌流MRI,拡散強調MRI (2)ダイナミックMRI (3)機能的MRI
 10.CT,MRIの顔面・頸部の正常解剖(森本泰宏)
 11.超音波検査法(荒木和之)
  1)周波数,音速,音響インピーダンス
  2)反射・透過
  3)超音波の発生と超音波診断装置
   (1)超音波の発生と反射波の受信 (2)分解能
  4)超音波像のサインとアーチファクト
   (1)反射と内部エコー,多重反射 (2)唾液腺とスペックルパターン
   (3)境界と外側陰影 (4)底面エコー増強,後方エコー増強と音響増強
   (5)多重反射,サイドローブ
  5)ドプラモード(ドプラ法)の原理
 12.核医学検査
  1)シンチグラフィ(土持 眞)
  2)ポジトロン放出断層撮影法(PET)(小豆嶋正典)
  3)口腔顎顔面領域におけるシンチグラフィ(土持 眞)
   (1)骨シンチグラフィ (2)67Gaシンチグラフィ
   (3)唾液腺シンチグラフィ (4)センチネルリンパ節生検
  4)PETによるがんの検査(小豆嶋正典)
  5)核医学検査の被曝線量(小豆嶋正典・土持 眞)
 13.interventional radiologyと内視鏡(中山英二)
  1)歯科におけるinterventional radiology
  2)歯科における内視鏡検査
 14.画像検査における医療安全
  1)医療安全と品質保証(岡野友宏)
  2)放射線機器の品質保証(岡野友宏)
  3)X線写真とX線検出器の品質保証(誉田栄一)
   (1)アナログ系における品質保証計画
   (2)デジタル系における品質保証
  4)X線撮影時の感染対策(勝又明敏)
   (1)感染対策の考え方 (2)口内法X線撮影における感染対策
   (3)歯科用デジタルX線撮影装置の感染対策
   (4)口外法X線撮影およびほかの画像検査時の感染対策
第5章 画像診断
 1.診断入門(岡野友宏・小林 馨・有地榮一郎)
  1)診療における意志決定過程
  2)診断学における正確度
   (1)正診と誤診 (2)診断の適中度 (3)観察者動作曲線を利用した正診度の評価
  3)口腔疾患におけるX線検査法の選択とその基準
   (1)齲蝕 (2)歯周疾患 (3)歯内治療 (4)歯科矯正治療
   (5)炎症性ないし顎骨の腫瘤性病変 (6)上顎洞の病変 (7)顎関節の疾患
   (8)唾液腺の病変
  4)X線画像の読影
   (1)読影の原則 (2)口内法X線画像の観察 (3)パノラマX線画像の観察
  5)X線画像所見の表現
   (1)部位 (2)大きさ (3)形 (4)辺縁
   (5)内部 (6)周囲構造への影響
 2.齲蝕(岡野友宏)
  1)齲蝕の概要
  2)齲蝕の検査
  3)齲蝕のX線検査
   (1)X線撮影法 (2)X線画像の画質
   (3)X線画像所見と実際の齲蝕との対応 (4)画像所見から決める治療方針の意味
 3.歯髄・根尖性歯周組織疾患と歯内療法(笹野高嗣)
  1)根尖病変のX線検査
   (1)X線検査の重要性 (2)X線撮影法
  2)根尖病変の画像診断
   (1)根尖病変の典型像 (2)X線画像の解釈
  3)歯内療法におけるX線画像の活用
   (1)治療方針の決定と歯内療法の適応
   (2)根管長の測定 (3)経過観察
  4)歯科用コーンビームCTの活用
 4.歯周疾患(岡野友宏)
  1)歯周疾患の概要
  2)X線検査の役割
   (1)歯槽硬線(白線)の消失,歯根膜腔の拡大
   (2)歯槽骨の吸収程度と吸収の型 (3)X線検査の限界
  3)X線撮影法
  4)歯周疾患のX線画像
 5.歯の異常(小豆嶋正典)
  1)数の異常
   (1)歯の欠如 (2)歯の過剰
  2)形および大きさの異常
   (1)癒合歯と癒着歯 (2)歯内歯 (3)矮小歯,巨大歯
   (4)タウロドント(taurodontism) (5)歯冠の異常 (6)歯根の異常
  3)形成異常
   (1)エナメル質の形成異常 (2)象牙質の形成異常
  4)萌出の異常
  5)歯の退行的変化
   (1)咬耗症(attrition) (2)摩耗症(abrasion)
   (3)侵蝕症(酸蝕症,erosion)
 6.顎骨とその周囲の炎症(有地榮一郎・有地淑子)
  1)画像診断の役割
  2)顎骨の炎症
   (1)急性期・亜急性期の骨髄炎 (2)慢性期の骨髄炎
   (3)ビスフォスフォネート製剤関連骨髄炎(骨壊死)
   (4)放射線骨障害(放射線骨髄炎,放射線骨壊死)
  3)顎骨の周囲軟組織の炎症
   (1)蜂窩織炎と膿瘍 (2)外歯瘻・内歯瘻
   (3)歯性感染の顎骨周囲軟組織への進展
 7.顎骨の嚢胞・腫瘍(有地榮一郎・小林 馨・古跡孝和)
  1)画像検査法
  2)上皮性嚢胞
   (1)発育性 (2)炎症性
  3)歯原性腫瘍
   (1)悪性腫瘍 (2)良性腫瘍
  4)その他の腫瘍性病変
   (1)骨腫 (2)類骨骨腫,骨芽細胞腫 (3)軟骨腫
   (4)血管腫 (5)神経鞘腫 (6)ランゲルハンス細胞組織球腫症
  5)その他の病変
   (1)静止性骨空洞
 8.舌下・顎下・頸部の疾患
  1)舌下・顎下・頸部の解剖(倉林 亨)
  2)画像診断法(倉林 亨)
  3)嚢胞(倉林 亨)
   (1)ガマ腫 (2)類皮嚢胞,類表皮嚢胞 (3)鰓嚢胞
   (4)甲状舌管嚢胞
  4)良性腫瘍(倉林 亨)
  5)悪性腫瘍(倉林 亨)
  6)口腔癌頸部リンパ節転移以外の疾患(林 孝文)
   (1)リンパ節の構造 (2)頸部リンパ節の解剖(分類)
   (3)頸部リンパ節の疾患 (4)頸部リンパ節の画像診断
 9.唾液腺の病変(中村 卓・角 美佐)
  1)唾液腺病変の画像診断
  2)正常唾液腺のCTおよびMR画像
  3)唾液腺腫瘍の画像診断
   (1)多形腺腫(Pleomorphic adenoma) (2)Warthin(ワルチン)腫瘍
   (3)粘表皮癌(mucoepidermoid carcinoma)
   (4)腺様嚢胞癌(adenoid cystic carcinoma)
   (5)腺房細胞癌(acinic cell carcinoma) (6)良性腫瘍と悪性腫瘍の鑑別
  4)唾液腺炎の画像診断
  5)Sjogren症候群の画像診断
  6)唾液腺嚢胞の画像診断
 10.口腔の悪性腫瘍
  1)口腔領域の悪性腫瘍(林 孝文)
   (1)疫学 (2)病期分類
  2)上皮性悪性腫瘍(林 孝文)
   (1)扁平上皮癌 (2)腺系の癌 (3)遠隔転移の診断
  3)非上皮性悪性腫瘍(中山英二)
   (1)悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma)
   (2)骨肉腫(osteosarcoma) (3)軟骨肉腫(chondrosarcoma)
   (4)横紋筋肉腫(rhabdomyosarcoma) (5)多発性骨髄腫(multiplemyeloma)
   (6)悪性黒色腫(malignant melanoma) (7)悪性リンパ腫(malignant lymphoma)
  4)転移性腫瘍(中山英二)
 11.顎骨に影響する全身疾患(代居 敬)
  1)代謝・内分泌疾患
   (1)くる病と骨軟化症 (2)副甲状腺機能異常 (3)甲状腺機能異常
   (4)副腎機能異常 (5)下垂体機能異常 (6)糖尿病
   (7)生殖腺機能異常 (8)骨粗鬆症
  2)先天性遺伝性疾患
   (1)鎖骨頭蓋骨異形成症(鎖骨頭蓋異骨症) (2)大理石骨病
   (3)McCune-Albright症候群(多骨性線維性異形成症) (4)骨形成不全症
   (5)下顎顔面異骨症(Treacher-Collins症候群) (6)頭蓋顔面異骨症
   (7)口腔・顔面・指趾症候群(OFD症候群) (8)Apert症候群
   (9)基底細胞母斑症候群 (10) 家族性大腸ポリープ症
   (11)Pierre Robin症候群 (12)Papillon-Lefevre症候群
   (13)von Recklinghausen病 (14)外胚葉異形成症 (15)軟骨形成不全
   (16)ガーゴイリズム,Hurler症候群 (17)Down症候群
   (18)ピクノディスオストーシス (19)プロゲリア(早老症)
  3)血液疾患と感染性疾患
   (1)白血病 (2)血友病 (3)鎌状赤血球貧血 (4)梅毒 (5)結核
  4)その他の全身性疾患
   (1)乳幼児皮質骨過骨形成症 (2)強皮症(進行性全身性硬化症)
 12.顎関節の病変(小林 馨)
  1)顎関節の解剖
  2)顎関節の疾患
   (1)外傷 (2)炎症 (3)腫瘍および腫瘍類似疾患
   (4)先天異常・発育異常 (5)顎関節強直症 (6)顎関節症
 13.上顎洞の病変(金田 隆)
  1)上顎洞の解剖
  2)上顎洞の各画像検査法のポイント
   (1)各種検査法の選択について
  3)上顎洞の正常画像解剖
  4)代表的な上顎洞疾患の画像所見
   (1)上顎洞炎 (2)上顎洞の真菌症 (3)貯留嚢胞 (4)術後性上顎嚢胞
   (5)上顎洞に進展した歯原性嚢胞/歯根嚢胞および残存性(残留)嚢胞
   (6)良性腫瘍性疾患 (7)悪性腫瘍
  5)歯科医師として知っておくべき最近の鼻副鼻腔疾患の耳鼻科領域の知見
 14.歯と顎骨の外傷(勝又明敏・有地榮一郎)
  1)画像検査の選択と適応
  2)歯と歯槽骨の外傷
  3)下顎骨の骨折
  4)上顎骨の骨折
  5)顎関節の骨折
  6)外傷の経過と予後
 15.歯と顎の成長とその障害(小豆嶋正典)
  1)歯の発育年齢
  2)骨の発育年齢
  3)頭部X線規格撮影法による計測
   (1)計測点 (2)計測平面
  4)顎骨の成長障害
 16.加齢に伴う変化(田口 明)
  1)骨と血管の変化
   (1)骨の変化と骨粗鬆症 (2)血管の変化と動脈硬化
  2)パノラマX線画像による骨粗鬆症および動脈硬化の評価法
   (1)骨粗鬆症の評価法 (2)動脈硬化の評価法 (3)骨粗鬆症と動脈硬化の関係
 17.嚥下機能の評価(谷本啓二・長崎信一)
  1)使用機器と検査の方法
  2)造影剤,検査用食品
  3)画像の解釈
 18.歯科インプラントの検査(内藤宗孝・代居 敬)
  1)歯科インプラント
  2)歯科インプラントにおけるX線検査法
   (1)初診時のX線撮影 (2)歯科インプラント術前画像検査法
   (3)歯科インプラント埋入後の検査 (4)経過観察
第6章 がんの放射線治療
 1.腫瘍に対する放射線の作用(三浦雅彦)
  1)固形腫瘍の組織構造と癌幹細胞の特性
   (1)固形腫瘍の組織構造 (2)血管新生 (3)癌幹細胞モデル
  2)固形腫瘍の放射線感受性
   (1)固形腫瘍の治癒率 (2)放射線感受性に影響を与える因子
 2.放射線治療の概念と治療機器(中村太保)
  1)放射線照射装置と器具
   (1)外部照射法 (2)密封小線源治療
  2)放射線治療の目的
   (1)術前照射 (2)術後照射 (3)根治的放射線治療 (4)緩和的放射線照射
 3.頭頸部放射線治療の実際(古川惣平・柿本直也)
  1)頭頸部癌について
  2)口腔癌について
   (1)口唇癌 (2)頬粘膜癌 (3)歯肉癌 (4)硬口蓋癌
   (5)舌癌 (6)口底癌
  3)口腔隣在組織癌について
   (1)上顎洞癌 (2)唾液腺癌
  4)頸部リンパ節転移について
 4.放射線治療における副作用と患者の口腔管理(清水谷公成)
  1)放射線治療における副作用
   (1)放射線治療前(照射前) (2)放射線治療中(照射中)
   (3)放射線治療後(照射後)
  2)頭頸部癌照射患者の歯科治療・口腔管理
   (1)タービン使用時,スケーリング・バキューム時 (2)ブラッシング時
   (3)食事時

 付表
 参考文献
 索引