やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

改訂(第7版)の序
 本書は前版から7年ぶりの改訂版であり,約7割の項目で前版とは執筆者が変わっている.1971年初版が出版されてからすでに40年が経過した.本書は着実に改訂を重ねてきて,その内容は「歯科麻酔学」の進歩を映し出している.同時にそのことは時代のニーズによった歯科医療の変遷をも示している.
 歯科疾患は急性期から慢性期疾患へとシフトし,さらに日本の人口構造とがあいまって歯科患者の年齢層は高齢化している.将来,この傾向はさらに進展する.
 歯科医療は「生活の医療」として国民のquality of lifeに貢献するものであり,無痛,安心,安全な歯科医療のための学問が歯科麻酔学であることから,歯科麻酔学の果たすべき役割は大きい.したがって本書の編集方針は,歯科臨床を支える重要な1部門として歯科麻酔学を学問的な体系に基づいて総括することであり,手軽なhow to本とは一線を画してある.各章はそれぞれ読み込んでいただければ,十分な理解が得られるだけの記載量としてある.
 学生諸子は,生体の機能への薬理学的また外科的な侵襲の影響,また,心理や痛みの生体機能に及ぼす影響など身体が持つ変幻自在の調節性などをまず理解することが重要で,それを理解すれば大いなる興味が湧いてくるに違いない.記憶はその後で結構である.診療における事故の予防のためには患者のリスク判定がまず最初の行為となるが,ここでは内科診断学が基盤となり,治療を受けている患者ではさらに内科治療学にも理解がなくてならない.こうした理解があってはじめて医科との連携も可能となる.本書の「患者評価」はこの点でも十分書き込まれている.この項は一般歯科に従事されている方々が大いに利用できるところで,局所麻酔,全身的偶発症,心肺蘇生法などの章とともに熟読していただければ幸いである.
 亜酸化窒素が手術の痛みから患者を解放してくれることを自身で体験し,その効果を世に知らせようとしたのは歯科医師である.そしてそれは,公開実験でこそ失敗はしたが,エーテルによる全身麻酔の成功につながった.この発見者も歯科医師である.19世紀,常に痛みと戦っていたのは歯科医師であり,何とか痛みを止める方法がないかと考えていた職業的環境が全身麻酔の大発見につながったのである.また,歯科治療時の緊張や不安を取り除くために亜酸化窒素吸入法や静脈内鎮静法が発展したのも,患者の苦痛を少しでも取り除きたいという患者中心主義の医療が根底にある.
 歯科麻酔学がこのような歴史を持っていることを知ることは,日常の臨床が,次に解決すべき課題を提示してくれる宝庫であると考える研究マインドを有した臨床医を育てることでもある.
 本書は,新しい歯学教育モデル・コア・カリキュラム,歯科医学教授要綱に準拠し,また心肺蘇生法に関しては2010年改定のAmerican Heart Associationおよび日本救急医療財団のガイドラインに沿っている.学生時代の教科書としてだけでなく,研修医,さらには日本歯科麻酔学会認定医・専門医にとっても欠かせない内容とした.
 執筆者は,歯科麻酔学を直接教育している方々にお願いし,その内容の統一は編集者が努力をした.この第7版が旧版にも増して活用され,質の高い歯科医療のために役立てていただけることを願っている.
 平成23年3月
 金子 譲 福島和昭 原田 純 嶋田昌彦 一戸達也 丹羽 均
第1章 麻酔学総論
 I 麻酔の概念(金子 譲)
 II 歯科臨床における麻酔学
  1.歯科臨床における麻酔学の役割
  2.歯科麻酔学の教育
 III 麻酔・歯科麻酔の歴史(渋谷 鑛)
  1.笑気麻酔
  2.エーテル麻酔
  3.クロロホルム麻酔
  4.麻酔-anaesthesiaの語源
  5.亜酸化窒素アナルゲジアと亜酸化窒素吸入鎮静法
  6.静脈内鎮静法
  7.局所麻酔(痺)
  8.日本歯科麻酔学会小史
  9.歯科麻酔の国際化(金子 譲)
 IV 麻酔の法と倫理
  1.歯科における麻酔業務と法
  2.麻酔科研修
  3.インフォームドコンセント
第2章 全身管理の基本
 I 全身管理に必要な生理学
  1.神経の生理(瀬尾憲司)
  2.呼吸の生理(原田 純)
  3.循環の生理(吉田和市)
  4.腎の生理(大井良之)
  5.酸塩基平衡
  6.内分泌系の機能
 II 歯科診療の侵襲と生体反応(福島和昭・詫間 滋)
  1.侵襲の内容と伝達経路
  2.神経系の反応
  3.内分泌系の反応
  4.免疫系の反応
 III 管理上問題となる疾患の病態
  1.呼吸系疾患(原田 純)
  2.循環系疾患(北畑 洋)
  3.脳血管障害(長坂 浩)
  4.代謝・内分泌疾患(谷口省吾)
  5.肝疾患
  6.泌尿器系疾患
  7.神経・筋肉系疾患(長坂 浩)
  8.精神疾患(野口いづみ)
  9.血液疾患(森本佳成)
  10.特定疾患(猪狩俊郎)
  11.その他の問題となる状態(久保敬司)
 IV 全身状態の評価
  1.診察法(吉村 節)
  2.臨床検査(國分正廣)
 V モニタリング
  1.モニタリングの意義(飯島毅彦)
  2.呼吸系モニタ
  3.循環系モニタ
  4.体温測定
  5.中枢神経系モニタリング(小板橋俊哉)
  6.筋弛緩のモニタリング
  7.歯科外来におけるモニタリングの意義と有用性(椙山加綱)
第3章 局所麻酔
 I 局所麻酔薬の作用機序(瀬尾憲司)
  1.局所麻酔薬の結合部位
  2.局所麻酔薬の神経生理学的性質
 II 神経線維の種類による局所麻酔効果の違い
 III 局所麻酔薬(一戸達也)
  1.局所麻酔薬の化学構造
  2.局所麻酔薬の麻酔効果に影響する因子
  3.薬物動態
  4.毒性
  5.各局所麻酔薬の特徴
  6.歯科用局所麻酔薬製剤
 IV 血管収縮薬
  1.血管収縮薬を添加する目的
  2.アドレナリン
  3.フェリプレシン
  4.薬物相互作用
  5.臨床的考察
 V 局所麻酔に必要な解剖(深山治久)
  1.伝達麻酔のための解剖
  2.浸潤麻酔のための解剖
 VI 局所麻酔法
  1.表面麻酔法
  2.浸潤麻酔法
  3.伝達麻酔法
 VII 合併症とその対策(丹羽 均)
  1.局所的合併症
  2.全身的合併症
第4章 精神鎮静法
 I 精神鎮静法の概念(小谷順一郎)
  1.背景
  2.精神鎮静法の目的と特徴
  3.意識消失と健忘効果
  4.精神鎮静法と気道反射
  5.適応
  6.全身麻酔との相違
 II 吸入鎮静法(藤澤俊明)
  1.亜酸化窒素の性質
  2.亜酸化窒素吸入鎮静法の利点と欠点
  3.亜酸化窒素吸入鎮静法の適応,非適応
  4.亜酸化窒素吸入鎮静法の禁忌症
  5.亜酸化窒素吸入鎮静法に使用する器械,器具
  6.至適鎮静度
  7.術前管理
  8.術中管理
  9.術後管理(帰宅許可条件)
 III 静脈内鎮静法
  1.静脈内鎮静法の分類(宮脇卓也)
  2.静脈内鎮静法で使用される薬物
  3.鎮静レベルの評価とモニタリング
  4.静脈内鎮静法と生体反応
  5.静脈内鎮静法の実際(前田 茂)
 IV その他の鎮静法(藤澤俊明)
  1.投与経路による違い
  2.オーディオセデーション
  3.暗示による鎮静
第5章 全身麻酔
 I 全身麻酔の概念と方法(金子 譲)
  1.全体麻酔の概念
  2.理想的な全身麻酔
  3.周術期管理の方法
  4.歯科医療における全身麻酔の適応
 II 全身麻酔薬の作用機序(入舩正浩)
  1.Meyer-Overton法則
  2.膜タンパク説
  3.最近の研究動向
 III 術前の全身状態評価と管理(見崎 徹)
  1.全身状態の評価
  2.術前管理
 IV 吸入麻酔(横山武志)
  1.吸入麻酔薬の概要
  2.吸入麻酔薬の摂取と分布
  3.麻酔薬の導入に影響する因子
  4.生体機能への影響
  5.麻酔薬の排泄と覚醒
  6.麻酔深度
  7.吸入麻酔薬
 V 静脈麻酔(小谷順一郎)
  1.静脈麻酔薬の薬物動態
  2.静脈麻酔の特徴
  3.静脈麻酔薬の種類
  4.その他の麻酔補助薬
  5.静脈麻酔法の実際
  6.全静脈麻酔
  7.NLA麻酔
 VI 筋弛緩薬(高倉 康)
  1.意義
  2.適応
  3.作用機序
  4.臨床で使用される筋弛緩薬
  5.筋弛緩作用に影響する因子
  6.筋弛緩作用の拮抗
  7.アナフィラキシー
 VII 麻酔器と麻酔回路(小長谷 光)
  1.ガス供給装置
  2.麻酔器
  3.麻酔回路
 VIII 気道管理(鮎瀬卓郎)
  1.気道管理の意義・必然性
  2.上気道の解剖と機能
  3.上気道閉塞の病態生理
  4.気道確保
  5.気管切開の適応
 IX DAM(difficult airway manage ment,気道確保困難管理)(杉岡伸悟)
  1.気道確保の困難な症例
  2.気道管理計画
 X 術中管理(砂田勝久)
  1.麻酔記録
  2.麻酔の導入
  3.麻酔の維持
  4.麻酔の覚醒
  5.術中合併症の予防・対処
 XI 術後管理(杉村光隆)
  1.術後管理の意義と目的
  2.術後合併症の予防・対処とモニタリング
  3.術後疼痛管理
 XII 輸液・輸血
  1.輸液(山崎信也)
  2.輸血(川合宏仁)
第6章 管理上問題となる患者の管理
 I 呼吸系疾患(椙山加綱)
  1.かぜ症候群
  2.気管支喘息
  3.アスピリン喘息
  4.慢性閉塞性肺疾患
  5.拘束性肺疾患
  6.喫煙
 II 循環系疾患
  1.高血圧症
  2.虚血性心疾患
  3.心臓弁膜症
  4.先天性心疾患
  5.心筋症
 III 脳血管障害
  1.脳梗塞
  2.脳出血
 IV 代謝・内分泌疾患(糀谷 淳)
  1.糖尿病
  2.甲状腺機能亢進症
  3.甲状腺機能低下症
  4.副腎機能低下症
 V 肝・腎疾患
  1.肝機能障害
  2.腎機能障害
 VI 精神疾患
  1.統合失調症
  2.双極性障害(躁うつ病)
 VII その他
  1.肥満患者
  2.関節リウマチ患者
  3.肝移植後の患者
  4.輸血拒否患者
第7章 口腔外科手術と全身麻酔
 I 特徴(一戸達也)
  1.気道管理に関連した注意点
  2.その他の注意点
 II おもな口腔外科手術と麻酔管理
  1.膿瘍切開術の麻酔(間宮秀樹)
  2.顎顔面外傷手術の麻酔(縣 秀栄)
  3.外科的矯正術(上顎Le Fort型骨切り術,下顎骨矢状分割術)の麻酔(櫻井 学)
  4.腫瘍切除術および再建術の麻酔(笠原正貴)
  5.唇顎口蓋裂の麻酔(松浦信幸)
第8章 歯科患者の日帰り全身麻酔(外来全身麻酔)(澁谷 徹)
 I 歯科患者の日帰り全身麻酔の特徴
  1.利点
  2.欠点
 II 日帰り全身麻酔の適応と禁忌
  1.適応
  2.禁忌
 III 日帰り全身麻酔の実際
  1.術前管理
  2.術中管理
  3.術後管理
第9章 小児の麻酔管理(正木英二)
 I 小児の特徴
  1.小児麻酔の特徴
  2.解剖・生理学的特徴
  3.薬理学的特徴
 II 小児麻酔の実際
  1.術前管理
  2.術中管理
  3.術後管理
 III 歯科小児麻酔の特徴
第10章 高齢者の麻酔管理(河原 博・仲西 修)
 I 高齢者の一般的注意点
  1.複数の疾患に罹患していることが多い
  2.疾患の症状が非典型的となりやすい
  3.個人差が大きい
  4.認知症や認知機能障害が多い
  5.多剤を服用していることが多い
 II 生理的老化による変化
  1.循環系
  2.呼吸系
  3.肝
  4.腎
  5.代謝・内分泌
  6.脳神経系
  7.血液その他
 III 高齢者の薬物療法
  1.薬物動態の変化
  2.薬力学的変化
 IV 局所麻酔
  1.局所麻酔に関係する口腔組織の加齢変化
  2.血管収縮薬
 V 精神鎮静法
  1.亜酸化窒素吸入鎮静法
  2.静脈内鎮静法
 VI 全身麻酔
  1.全身麻酔に用いる薬剤
  2.全身麻酔の実際
  3.高齢者に特有な麻酔管理上の問題
第11章 障害者の麻酔管理
 I 障害者とは(城 茂治)
  1.分類
  2.障害者の歯科医療
 II おもな障害・疾患と管理上の特徴
  1.精神遅滞
  2.Down症候群
  3.てんかん
  4.自閉性障害(自閉症)
  5.注意欠陥多動性障害
  6.重症心身障害児・者
  7.脳性麻痺
  8.重症筋無力症
  9.筋ジストロフィー
  10.精神疾患
 III 術前管理
  1.術前評価
  2.術前の説明
 IV 常用薬と麻酔に関連する薬剤との相互作用について(佐藤健一)
 V 麻酔法の選択
  1.局所麻酔について
  2.精神鎮静法
  3.全身麻酔
 VI 術後管理
第12章 訪問歯科診療における患者管理(佐野公人)
 I 特徴
  1.適応
 II 全身状態の評価
  1.訪問歯科診療のフローチャート
  2.内科主治医との対診
  3.病歴聴取,視診によって確認する事項
  4.臨床検査
 III 診療計画立案に際しての留意事項
  1.全身疾患の程度の把握
  2.歯科治療内容の検討
  3.歯科診療時の患者の姿勢
  4.誤飲・誤嚥に対する予防
 IV 訪問歯科診療の可否
 V 治療中の管理
  1.偶発症への対応
  2.モニタ
  3.訪問歯科診療器材
 VI 治療後の管理
第13章 ペインクリニック
 I 顎顔面痛の病態と診断法(嶋田昌彦)
  1.痛みの伝達
  2.顎顔面痛の病態
  3.顎顔面痛の診断法
 II 疼痛性疾患(今村佳樹・岡田明子)
  1.一次性頭痛
  2.二次性頭痛
  3.神経障害性疼痛
  4.癌性疼痛
 III 感覚障害および麻痺性疾患の用語(福田謙一)
 IV 三叉神経感覚障害
  1.中枢性三叉神経感覚障害
  2.末梢性三叉神経感覚障害(三叉神経ニューロパチー)
 V 麻痺性疾患
  1.顔面神経麻痺
  2.三叉神経麻痺
 VII 口腔顔面領域の不随意運動
  1.病的な不随意運動とは
  2.顎口腔ジストニア
  3.顔面攣縮
  4.メージュ(Meige)症候群(眼瞼攣縮─口・下顎・頸部ジストニア)
  5.口舌(口唇)ジスキネジア
  6.顔面チックと疼痛性チック
 VIII 心身医学的療法(嶋田昌彦)
  1.心身医学的療法の適応
  2.歯科医師が行う心身医学的療法
  3.心理療法
  4.薬物療法
 VIII 東洋医学的療法
  1.東洋医学における基礎概念
  2.診察および診断法
  3.鍼灸治療
  4.漢方治療
 IX 緩和医療(小板橋俊哉)
  1.緩和ケア概念の変化
  2.緩和ケアにおける歯科麻酔科医の役割
  3.癌性疼痛の種類
  4.WHO方式の癌性疼痛治療法の5原則
  5.オピオイド(医療用麻薬)の副作用とその対処
  6.鎮痛補助薬
  7.オピオイドローテーション
  8.口腔癌患者の特徴と最近の話題
  9.おわりに
第14章 歯科治療における全身的偶発症(金子 譲)
 I 全身的偶発症の定義
 II 全身的偶発症の実態
  1.死亡例
  2.死亡に至らない全身的偶発症
  3.発生頻度
 III 全身的偶発症の原因
 IV 全身的偶発症の種類
  1.ストレッサー(痛み・緊張・不安など)
  2.薬剤とラテックス
  3.口腔内異物の肺内吸引・誤飲
  4.口腔内刺激による迷走神経の興奮
  5.その他
 V 全身的偶発症の処置
  1.意識障害と意識消失(昏睡,失神)
  2.血圧低下
  3.痙攣
  4.胸痛
  5.呼吸困難
第15章 ショック(三浦美英)
 I ショックの概念と分類
  1.ショックの概念と定義
  2.ショックの分類
  3.ショックの原因
  4.ショックの病態
 II ショックの臨床症状
  1.循環血液量減少性ショック
  2.心原性ショック
  3.心外閉塞・拘束性ショック
  4.血液分布異常性ショック
 III ショックの治療
  1.一般的アプローチ
  2.歯科診療室でのショック発症時における初期対応
 IV ショックの各病態
  1.循環血液量減少性ショック
  2.心原性ショック
  3.心外閉塞性・拘束性ショック
  4.血液分布異常性ショック
第16章 心肺蘇生法(佐久間泰司)
 I 生命を脅かす状況の患者への対応
  1.心肺蘇生法の歴史
  2.救命の連鎖
 II 一次救命処置
  1.成人の一次救命処置
  2.小児・乳児の一次救命処置
 III 二次救命処置
  1.心肺蘇生におけるBLSの位置づけ
  2.気道確保
  3.電気治療
  4.成人の心停止に対するALSの実際
  5.蘇生の継続
第17章 歯科医療におけるリスクマネジメント(大井久美子)
 I 歯科医療における事故の特殊性
  1.歯科診療所における安全管理体制
  2.医療事故とは
  3.歯科医療の特徴
  4.歯科医療事故の特徴
 II 医療安全管理の体制
 III ヒヤリハット・アクシデント・医療事故
 IV 医療過誤に関連する歯科医師の社会的責任
  1.歯科医療に関する歯科医師の責任
  2.歯科医療過誤に関する歯科医師の責任

 I 物理・科学(池本清海)
 II 救急医薬品(山城三喜子)

 和文索引
 欧文索引