やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

『保存修復学専門用語集 第3版』の発刊に寄せて
 近年のカリオロジー(齲蝕病態に立脚した管理や治療)の飛躍的発展は,従来の「Drill and Fill」中心の齲蝕治療を変化させつつあります.また,歯科医療領域のMinimal Intervention(MI)概念の導入は,齲蝕治療における低侵襲切削と初期エナメル・象牙質齲蝕の再石灰化を提唱しています.さらに,超高齢社会を迎えた国内の歯科医療においては,根面齲蝕と歯牙破折の増加に迅速に対応する保存修復治療の普及が必須と考えられています.従来の治療法に対する見直しを実現するためには,多くの臨床症例の蓄積と解析だけでなく,歯質接着修復材料の開発と改良が貢献してきました.
 国内の口腔疾患における疾病構造の変化は,保存修復学の基礎知識集積から臨床応用に普及させる必要があります.そのためには,新しい概念や事象を明確に示して記述する共通用語の使用が不可欠です.さらに,多様な学術用語を整理・統合して明確に定義付けすることで理解が容易になって,学術的な議論を円滑に進めることが可能になります.
 『保存修復学専門用語集』初版は,2009年当時の日本歯科保存学会 須田英明理事長,池見宅司学術用語委員長を中心に編纂・刊行されました.その後,2017年に興地隆史理事長,林美加子学術用語委員長によって改訂され,第2版が刊行されました.そして,このたび,第2版刊行から7年経過し2023年に第3版 改訂版刊行の運びとなりました.
 第3版においても,保存修復学における近年の研究・臨床の進歩を的確に記述するうえで不可欠な新規用語が選択され,内容の拡充が図られています.また,『歯科理工学教育用語集』(日本歯科理工学会編),『歯内療法学専門用語集』(日本歯内療法学会,日本歯科保存学会編)との記述の整合も図られています.保存修復学領域の急速な学術発展が,『保存修復学専門用語集』の迅速な改訂を必要としてきたことが理解できます.
 本書の改訂作業に際しては,学術用語委員会委員長・古澤成博教授(東京歯科大学)を中心に学術用語委員会で鋭意検討を重ねていただき,さらには全国29歯科大学・大学歯学部の保存修復学担当教員各位に執筆の労をお執りいただきました.
 最後に,本書の出版にあたり,ご尽力を賜りました医歯薬出版株式会社関係諸氏に心より感謝申し上げます.
 2023年2月
 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
 理事長 石井信之


第3版 序文
 このたび,日本歯科保存学会の学術活動として,2017年以来となる『保存修復学専門用語集第3版』を発刊する運びとなりました.本用語集の第1版は,須田英明理事長(当時),池見宅司学術用語委員会委員長(当時)を中心に,2009年に本学会初の専門用語集として刊行され,保存修復学の教育や研究活動のさまざま場面で活用されてきました.今回の改訂は,昨今の目覚しい学術の進歩を念頭に,新しい概念,知識,あるいは新たな技術,材料に適応すべく編纂を進めることとなりました.第3版では,第2版の基本的な方針を踏襲しつつ,新たに多くの用語を選定し追加いたしました.これらについては,全国29歯科大学・大学歯学部の保存修復学担当教員各位に執筆の労をお執りいただき,時代に即した用語に改訂することによって,最先端の学術用語集として内容の充実を図ることができました.御協力を頂きました先生方に対し,心から御礼を申し上げます.
 また,第3版の内容に関しまして,日本歯科理工学会からいただいた,数々のご助言,ご意見につきましては,学術用語委員会で詳細に検討し,整合性を図るべく編纂いたしました.今後も,関連学術団体との積極的な意見交換で,専門用語集がさらに学術的価値が高く,分野横断的に有意義な用語集となるべく,柔軟に対応してまいりたいと考えております.今回の改訂を経験し,専門用語集の編纂には細密な計画,多面的な配慮,そして複雑な作業工程が必要であることを,改めて実感いたしました.初版発刊時には,当時の委員の皆様の多大な献身的なご尽力があったものと拝察し,改めて初版に携われた先生方に敬意を表する次第です.今回の改訂版が,より多くの学生,臨床研修歯科医,そして多くの歯学教育者を含む歯科医師に広く活用されることを期待しております.
 2023年2月
 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 学術用語委員会
 委員長 古澤成博
 副委員長 石原裕一
 委員
  田口洋一郎
  武市 収
  根本英二
  半場秀典
  柵木寿男
  鷲尾絢子
  和田尚久
 幹事 吉田 隆
 前委員長 齋藤 淳
 前委員
  鳥井康弘
  中島正俊
  松島 潔
  吉羽邦彦
 前幹事 勢島 典
 (五十音順)


『保存修復学専門用語集 第2版』の発刊に寄せて
 学術の進歩と正しい普及にあたり,その学問に関するさまざまな概念や事象を明確に定義付けて記述することができる用語の使用が必要不可欠であることには疑う余地はありません.また,ときとして難解かつ多様な学術用語を整理・統一して明確な定義付けを行うことにより,その理解が容易になるばかりか,学術的な議論を円滑に進めるうえでも大きな意義があることもいうまでもありません.ここに専門用語集編纂の趣旨を求めることができるといえましょう.
 日本歯科保存学会では2009年に,須田英明理事長(当時),池見宅司学術用語委員会委員長(当時)を中心に,本会初の専門用語集として『保存修復学専門用語集』を編纂・刊行しました.ここでは,保存修復学に関する教育,研究,臨床に必要,かつ論文や教科書の執筆に際して第一選択として用いられるべき主要な用語が定義・解説とともに掲載されており,これまで会員にとどまらず多くの方々に活用されてまいりました.
 一方,学術の進歩は新しい概念,知識あるいは技術の出現を意味することから,それまで存在しなかった,あるいは個々の研究者や臨床家がいわば独自に用いていた用語の整理・統一が必要となります.保存修復学においてもその内容は日進月歩であり,これにあわせた専門用語集の充実は時代の要請と考えられたことから,ここに改訂版(第2版)刊行の運びとなりました.
 本書の改訂作業に際しては,学術用語委員会委員長・林美加子教授(大阪大学)を中心に学術用語委員会で鋭意検討を重ねていただき,さらには全国29歯科大学・大学歯学部の保存修復学担当教員各位にも執筆の労をお執りいただきました.発刊にあたり,ご尽力を賜りました皆様方には深く感謝申し上げます.
 第2版では,保存修復学における近年の研究・臨床の進歩を的確に記述するうえで不可欠な新規用語が精選・追加され,内容の拡充が図られています.また,『歯科理工学教育用語集』(日本歯科理工学会編),『歯内療法学専門用語集』(日本歯内療法学会,日本歯科保存学会編)との記述の整合も図られています.各用語の記載内容については,簡明な解説を和英対比とともに加えるという前版の優れたスタイルを継承するものとなっており,学生,臨床医,研究者,教員といったあらゆる立場の方々の手元に置かれ,これまで以上に広く活用されるものと期待しております.
 結びに,本書の出版にあたり多大なご支援とご協力を賜りました,医歯薬出版株式会社関係諸氏に厚く御礼申し上げます.
 2017年2月
 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
 理事長 興地隆史


第2版 序文
 2015〜16年の日本歯科保存学会の学術活動として,『保存修復学専門用語集第2版』を編纂する運びとなりました.本用語集の第1版は2009年に,須田英明理事長(当時),池見宅司学術用語委員会委員長(当時)を中心に,本会初の専門用語集として刊行され,保存修復学の教育や研究活動のさまざまな場面で活用されてきました.
 今回の用語集の改訂は,興地隆史理事長のリーダーシップのもと,昨今の目覚しい学術の進歩を念頭に,新しい概念,知識,あるいは技術材料に適応すべく編纂を進めることとなりました.第2版では,第1版の基本的な方針を踏襲しつつ,新規に96語を選定し追加いたしました.これらについては,全国29歯科大学・大学歯学部の保存修復学担当教員各位に執筆の労をお執りいただき,時代に即した内容の充実を図ることができましたことに,深く感謝申し上げます.
 また,第1版の内容に関して,日本歯科理工学会からいただいていたご意見については,学術用語委員会で詳細に検討し,整合性を図るべく編纂しました.今後も,関連学術団体との柔軟な意見交換で,専門用語集がさらに学術的価値が高く,分野横断的に有用な基盤となるべきであることを,今期の学術用語委員会の総意として記させていただきたいと思います.
 今回の改訂を経験し,専門用語集の編纂には細密な計画,多面的な配慮,そして複雑な工程が必要であることを実感いたしました.改訂でこのようですので,初版発刊には,当時の委員の皆様の献身的なご尽力があったものと拝察し,改めてお礼を申し上げる次第です.専門用語集は,時代とともに変遷していきます.今回の改訂版がより多くの歯学教育者,臨床医,研究者,そして学生に広く活用いただき,それをもとに次版がさらに秀逸なものに進化するよう祈念いたします.
 最後に,今回の改訂にあたり多大なご支援とご協力を賜りました,医歯薬出版株式会社関係諸氏に厚く御礼申し上げます.
 2017年2月
 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 学術用語委員会(平成27〜28年度)
 委員長 林 美加子
 副委員長 堀田正人
 委員
  阿南 壽
  石原裕一
  新海航一
  野田 守
  長谷川篤司
  原 宜興
  古市保志
  松島 潔
  吉山昌宏
 幹事 伊藤祥作
 (委員は五十音順)


『保存修復学専門用語集』の発刊に寄せて
 日本歯科保存学会は1955年に設立され,歯科における基幹学会として発展し,2003年に特定非営利活動法人として認証を受け,2005年には設立50周年記念事業を挙行するに至っております.しかしながら,これまで学会主導での専門用語集を上梓したことがありませんでした.このたび,本会の学術用語委員会のメンバーが中心となり,初めて学会として編纂した『保存修復学専門用語集』を刊行する運びとなりました.
 一般に,専門学術用語の明確な定義と位置づけは,当該学術領域の着実な進歩・発展の基盤であり,それなくしてはいたずらに不要な混乱を招くばかりです.しかし,日本語特有の曖昧さを克服し,個々の専門学術用語に該当する英語をあてがいつつ,それらを明確に定義して簡潔に説明するのは,想像以上に困難な作業といえます.
 今般,本会学術用語委員会委員長の池見宅司教授(日本大学松戸歯学部)の卓越したリーダーシップのもと,同委員会委員である加藤喜郎教授(日本歯科大学新潟生命歯学部),千田 彰教授(愛知学院大学歯学部),田上順次教授(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科),出口眞二教授(神奈川歯科大学),久光 久教授(昭和大学歯学部),松島 潔教授(日本大学松戸歯学部),吉江弘正教授(新潟大学大学院医歯学総合研究科),ならびに吉山昌宏教授(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)が一丸となって協力し,さらに学会員各位の全面的な支援を頂戴して本書が出版される運びとなりました.この事業に立ち会った本会理事長として,深甚なる謝意を表し,厚く御礼を申し上げます.
 いうまでもなく学術用語は時代とともに変遷するものですが,とりわけ今日のように技術革新が急速に展開する時代においては,すぐにでも本書の改訂作業を視野に入れる必要があります.本書がそうした作業の原点となり,以降,継続的に用語集を見直すうえでの礎石となることは疑う余地がありません.また,今後の歯科医学教授要綱,歯科医学教育モデル・コア・カリキュラム,歯科医師国家試験出題基準などの改訂作業においても,大きな手助けになると確信しております.さらに,保存修復学を学ぶ学生,歯科保存治療に携わる歯科医師,歯科保存治療専門医,保存修復学の教育・研究者はじめ,関係の皆様の座右の書となることを期待しております.
 結びに,本用語集の刊行にあたり,惜しみないご支援ご協力を賜りました,医歯薬出版株式会社諸氏に厚く御礼申し上げます.
 2009年2月
 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
 理事長 須田英明


序文
 2007年度,特定非営利活動法人日本歯科保存学会の須田英明理事長からのご提案ならびに理事会の決定に従い,本用語集を編纂することになりました.背景として,各学会の用語集発刊が盛んに行われるようになったことがありました.歯周病専門用語集が発刊され,歯内療法重要語彙集は編集中でありました.そのなかで,保存修復の用語集に関する動きがなかったことに端を発したものであろうと推測されましたが,日本歯科保存学会は周知のように修復,歯周,歯内を総合した伝統的な学会であるために,修復学に限定したものを出版することに対して,個人的には多少のためらいがありました.しかし,本学会全会員の皆様の深遠かつ寛大なご理解のもとに,この編集作業が遂行されました.このことに対しまして,まずもってお礼申し上げます.そして,学術用語委員ならびに解説をご担当いただきました先生方,医歯薬出版編集部の皆様のご協力に,心より感謝申し上げます.
 以下に,本用語集の編集に関する工程等について記させていただきます.
 用語選定に関しましては,『学術用語集・歯学編』(文部省編)と各種保存修復学関連の教科書に収載されていた用語を参考にして約1,000語を選定する作業から開始しました.本用語集は歯科学生のため,また,教育・研究・臨床に役立つものをという観点からまとめさせていただきました.保存修復学の特性を考慮して,歯科理工学,組織学,病理学,細菌学等の基礎学問から必要と考えられる用語についても,用語委員の先生方と検討して抽出いたしました.これらの用語選定には,原案からアンケート結果をまとめるまでに約1年を要しました.
 用語解説に関しましては,選定された約830語を56項目に分類し,本邦の歯科大学・歯学部29大学の保存修復学担当の先生方に,平均29語の分担をお願いして解説文執筆のご協力をいただきました.分担依頼から校正を含めて約半年を要し,その後,さらに用語委員の先生方に校正していただき,発刊に至りました.
 本用語集は初版本でもあり,一から立ち上げ,2年間で発刊するという急ぎの作業となりました.その間,いかに専門用語の統一が重要であるかということと,難しいものであるかということを思い知らされました.専門用語は生き物で,年々変化しており,新しい用語や従来とは異なった概念に変わったもの等が出てきております.先生方によって意見の異なる用語や英文も存在し,重要な用語が欠落していることも容易に想像できますが,なにとぞ,ご容赦のほどをお願い申し上げます.そして,本用語集が次版の用語集のたたき台となり,充実した保存修復学専門用語集となりますことを,お願い申し上げる次第であります.
 2009年2月
 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 学術用語委員会(平成19〜20年度)
 委員長 池見宅司
 委員
  加藤喜郎
  千田 彰
  田上順次
  出口眞二
  久光 久
  松島 潔
  吉江弘正
  吉山昌宏
 (五十音順)