序文
近年,医療の分野では再生治療が脚光を浴び,医科では新たな手法を用いた再生治療が盛んに臨床応用されている.一方,歯科では古くから再生治療に関する研究や臨床応用が行われており,歯周組織の再生治療については骨移植から始まる長い歴史がある.歯周組織再生治療において科学的に詳細な検討がなされ臨床応用されたのは,Nymanらによるミリポアフィルターを用いたGTR(Guided Tissue Regeneration)法が最初であり,1982年にヒトではじめて新付着の獲得に成功したことが報告された.その後,エナメルマトリックスデリバティブや細胞増殖因子などの新たなマテリアルが開発されるとともに,各国で多くの再生治療の成功例が報告された.現在では,歯周治療において再生治療は確立された予知性の高い治療法として確固たる地位を占めている.
ただし,歯周組織再生治療を成功させるには,適切な検査・診断のもとに確実な歯周基本治療が行われた後,適応症の選択を行い,術式に対する確かな知識と技術が備わっていることが必要である.特に再生治療では骨欠損形態の把握の困難さ,テクニックセンシティブな治療法であることなどから,高度な知識と技術が要求される.
そこで,本書では歯周組織再生治療を失敗しないために必要とされる知識と技術を,一からわかりやすく編集した.最初のChapter Iでは,再生治療の現状についてまとめた.Chapter IIは再生治療に使用するマテリアルについて,Chapter IIIでは再生治療に用いるデバイスについてまとめていただいた.Chapter IVは再生治療に必要なスキルについて,Chapter Vはその実際として著名な臨床医の方々に,応用するうえでのエビデンスと成功させるためのポイントを症例とともに解説していただいた.そして,最後のChapter VIでは,今後の再生治療として注目を浴びている細胞治療などの応用についての紹介で結んでいる.本書が適切な歯周治療を目指す先生方の臨床に少しでも役立ち,患者さんの歯が1本でも多く保存されることを切に願っている.
最後に,本書の企画意図をご理解いただき,ご執筆をご快諾くださった先生方に感謝の意を表する.
2019年2月 編者代表 和泉雄一
近年,医療の分野では再生治療が脚光を浴び,医科では新たな手法を用いた再生治療が盛んに臨床応用されている.一方,歯科では古くから再生治療に関する研究や臨床応用が行われており,歯周組織の再生治療については骨移植から始まる長い歴史がある.歯周組織再生治療において科学的に詳細な検討がなされ臨床応用されたのは,Nymanらによるミリポアフィルターを用いたGTR(Guided Tissue Regeneration)法が最初であり,1982年にヒトではじめて新付着の獲得に成功したことが報告された.その後,エナメルマトリックスデリバティブや細胞増殖因子などの新たなマテリアルが開発されるとともに,各国で多くの再生治療の成功例が報告された.現在では,歯周治療において再生治療は確立された予知性の高い治療法として確固たる地位を占めている.
ただし,歯周組織再生治療を成功させるには,適切な検査・診断のもとに確実な歯周基本治療が行われた後,適応症の選択を行い,術式に対する確かな知識と技術が備わっていることが必要である.特に再生治療では骨欠損形態の把握の困難さ,テクニックセンシティブな治療法であることなどから,高度な知識と技術が要求される.
そこで,本書では歯周組織再生治療を失敗しないために必要とされる知識と技術を,一からわかりやすく編集した.最初のChapter Iでは,再生治療の現状についてまとめた.Chapter IIは再生治療に使用するマテリアルについて,Chapter IIIでは再生治療に用いるデバイスについてまとめていただいた.Chapter IVは再生治療に必要なスキルについて,Chapter Vはその実際として著名な臨床医の方々に,応用するうえでのエビデンスと成功させるためのポイントを症例とともに解説していただいた.そして,最後のChapter VIでは,今後の再生治療として注目を浴びている細胞治療などの応用についての紹介で結んでいる.本書が適切な歯周治療を目指す先生方の臨床に少しでも役立ち,患者さんの歯が1本でも多く保存されることを切に願っている.
最後に,本書の企画意図をご理解いただき,ご執筆をご快諾くださった先生方に感謝の意を表する.
2019年2月 編者代表 和泉雄一
第I編 再生治療の現在
CHAPTER 1 再生治療の可能性と限界(二階堂雅彦)
CHAPTER 2 歯周治療における再生治療の位置づけ(和泉雄一・秋月達也)
第II編 再生治療に用いるマテリアル
CHAPTER 1 各マテリアルの特徴とそのエビデンス(星 嵩)
CHAPTER 2 歯周組織再生剤「リグロス(R)」を用いた歯周組織再生(北村正博・村上伸也)
第III編 再生治療を確かなものとするデバイス
CHAPTER 1 歯周外科の基本セット(井川貴博・矢野孝星)
CHAPTER 2 歯周組織再生治療におけるEr:YAGレーザーの応用(青木 章・谷口陽一・水谷幸嗣)
CHAPTER 3 マイクロサージェリーによる歯周組織再生治療(水谷幸嗣)
CHAPTER 4 CBCTを用いた欠損形態の把握(小川実穂・前川祥吾・木 徹・片桐さやか)
第IV編 成功に導くためのスキル
CHAPTER 1 気をつけるべき全身状態,初心者が陥りやすい再生治療の非適応症(増田勝実)
CHAPTER 2 再生治療の術式(清水宏康)
CHAPTER 3 再生治療の術後評価(福場駿介・松浦孝典)
第V編 再生治療の実際
CHAPTER 1 骨縁下欠損に対するエビデンスに基づいた治療法の選択(冨岡栄二)
CHAPTER 2 骨縁下欠損におけるDecision Making
1 垂直性骨欠損の形態に応じたマテリアル選択〜EMDと骨移植材,GTRメンブレンの併用〜(土岡弘明)
2 Er-LBRTにおけるマテリアルの選択(谷口陽一)
3 広汎型重度慢性歯周炎患者に対する再生治療(斎田寛之)
CHAPTER 3 根分岐部病変に対するエビデンスに基づいた治療法の選択(浦野 智)
CHAPTER 4 根分岐部病変におけるDecision Making
1 予知性を高めるためのテクニカルポイント&マテリアルの選択(根本康子)
2 下顎2度の根分岐部病変に対する歯周組織再生治療(里見美佐)
CHAPTER 5 歯肉退縮に対するコンセンサスに基づいた治療法の選択(小延裕之)
CHAPTER 6 歯肉退縮におけるDecision Making
1 マイクロスコープを用いたエンベロップテクニックとトンネリングテクニック(石川明寛)
2 骨縁下欠損を伴った歯肉退縮に対するstageアプローチ(片山明彦)
第VI編 今後の再生治療
CHAPTER 1 細胞培養液,プリントシート,3Dプリント(岩ア剣吾)
CHAPTER 2 細胞治療(岩田隆紀)
COLUMN 歯周組織再生治療を失敗しないためには(清水宏康)
索引
CHAPTER 1 再生治療の可能性と限界(二階堂雅彦)
CHAPTER 2 歯周治療における再生治療の位置づけ(和泉雄一・秋月達也)
第II編 再生治療に用いるマテリアル
CHAPTER 1 各マテリアルの特徴とそのエビデンス(星 嵩)
CHAPTER 2 歯周組織再生剤「リグロス(R)」を用いた歯周組織再生(北村正博・村上伸也)
第III編 再生治療を確かなものとするデバイス
CHAPTER 1 歯周外科の基本セット(井川貴博・矢野孝星)
CHAPTER 2 歯周組織再生治療におけるEr:YAGレーザーの応用(青木 章・谷口陽一・水谷幸嗣)
CHAPTER 3 マイクロサージェリーによる歯周組織再生治療(水谷幸嗣)
CHAPTER 4 CBCTを用いた欠損形態の把握(小川実穂・前川祥吾・木 徹・片桐さやか)
第IV編 成功に導くためのスキル
CHAPTER 1 気をつけるべき全身状態,初心者が陥りやすい再生治療の非適応症(増田勝実)
CHAPTER 2 再生治療の術式(清水宏康)
CHAPTER 3 再生治療の術後評価(福場駿介・松浦孝典)
第V編 再生治療の実際
CHAPTER 1 骨縁下欠損に対するエビデンスに基づいた治療法の選択(冨岡栄二)
CHAPTER 2 骨縁下欠損におけるDecision Making
1 垂直性骨欠損の形態に応じたマテリアル選択〜EMDと骨移植材,GTRメンブレンの併用〜(土岡弘明)
2 Er-LBRTにおけるマテリアルの選択(谷口陽一)
3 広汎型重度慢性歯周炎患者に対する再生治療(斎田寛之)
CHAPTER 3 根分岐部病変に対するエビデンスに基づいた治療法の選択(浦野 智)
CHAPTER 4 根分岐部病変におけるDecision Making
1 予知性を高めるためのテクニカルポイント&マテリアルの選択(根本康子)
2 下顎2度の根分岐部病変に対する歯周組織再生治療(里見美佐)
CHAPTER 5 歯肉退縮に対するコンセンサスに基づいた治療法の選択(小延裕之)
CHAPTER 6 歯肉退縮におけるDecision Making
1 マイクロスコープを用いたエンベロップテクニックとトンネリングテクニック(石川明寛)
2 骨縁下欠損を伴った歯肉退縮に対するstageアプローチ(片山明彦)
第VI編 今後の再生治療
CHAPTER 1 細胞培養液,プリントシート,3Dプリント(岩ア剣吾)
CHAPTER 2 細胞治療(岩田隆紀)
COLUMN 歯周組織再生治療を失敗しないためには(清水宏康)
索引














