まえがき
医療機関にとって,医療安全推進は最優先課題です.
過去10年間にわたり,本邦では医療の安全推進と質の向上に関して,さまざまな取り組みがなされてきました.医療法の改正により,病院や有床診療所だけでなく,歯科診療所においても安全管理のための指針の整備,院内報告制度の整備,および安全に関する職員研修の実施などが義務化されました.
本書のねらいは,歯科医療における医療安全に関して,さまざまな視点からより実践的な“読んで役に立つ”内容をご提供することです.歯科医師,歯科衛生士,および歯科医療に関わるプロフェッショナルはもちろんのこと,歯科医療をめざす卒前の学生にも役に立つ内容になっております.さらに,ベテラン歯科医から研修歯科医まで,研修や指導に際して活用いただくことも可能です.
本書は,総論と各論から構成されており,総論では歯科医療をとりまく医療安全の現状と課題,および今後の展望,各論で歯科医療に関する具体的な内容を展開しています.特に各論では,歯科医療に携わる第一線でご活躍中の諸先生方がご執筆され,医療安全を推進するために,必要な考え方や具体的な取り組みについて,豊富な写真と事例紹介,詳細な記載など,よりわかりやすく,簡便に表現していただきました.
読者のさまざまなニーズに応えるため,重要な項目は囲み記事や太字などで強調し,最新の情報やキーワードが網羅され,参考文献も充実しております.本書は,携帯に便利なサイズで,見開き読み切りを原則としていますので,どこから読んでいただいても,ポイントが一目でわかるようになっています.診療室はもとより,気楽に持ち歩きも可能ですので,さまざまな場所で本書を紐解いていただければと思います.
現在,歯科医療を実践されておられる方々,あるいはこれから歯科医療に携わる予定の方々が,本書をご覧になることで,医療安全に関するリスクセンスを磨かれて,安全で良質な歯科医療の提供はもちろんのこと,ご自身が明るく,楽しく自信を持って医療に邁進されることになれば,望外の幸せと存じます.ご多忙の折,本書の執筆を快くお引き受けいただきました諸先生に,改めて深謝申し上げます.
最後に,本書の上梓に当たって,名実共に大変お世話になりました医歯薬出版株式会社 歯科書籍編集部の大城惟克氏に,ここで改めて感謝の意を表します.
2010年8月
石川雅彦
医療機関にとって,医療安全推進は最優先課題です.
過去10年間にわたり,本邦では医療の安全推進と質の向上に関して,さまざまな取り組みがなされてきました.医療法の改正により,病院や有床診療所だけでなく,歯科診療所においても安全管理のための指針の整備,院内報告制度の整備,および安全に関する職員研修の実施などが義務化されました.
本書のねらいは,歯科医療における医療安全に関して,さまざまな視点からより実践的な“読んで役に立つ”内容をご提供することです.歯科医師,歯科衛生士,および歯科医療に関わるプロフェッショナルはもちろんのこと,歯科医療をめざす卒前の学生にも役に立つ内容になっております.さらに,ベテラン歯科医から研修歯科医まで,研修や指導に際して活用いただくことも可能です.
本書は,総論と各論から構成されており,総論では歯科医療をとりまく医療安全の現状と課題,および今後の展望,各論で歯科医療に関する具体的な内容を展開しています.特に各論では,歯科医療に携わる第一線でご活躍中の諸先生方がご執筆され,医療安全を推進するために,必要な考え方や具体的な取り組みについて,豊富な写真と事例紹介,詳細な記載など,よりわかりやすく,簡便に表現していただきました.
読者のさまざまなニーズに応えるため,重要な項目は囲み記事や太字などで強調し,最新の情報やキーワードが網羅され,参考文献も充実しております.本書は,携帯に便利なサイズで,見開き読み切りを原則としていますので,どこから読んでいただいても,ポイントが一目でわかるようになっています.診療室はもとより,気楽に持ち歩きも可能ですので,さまざまな場所で本書を紐解いていただければと思います.
現在,歯科医療を実践されておられる方々,あるいはこれから歯科医療に携わる予定の方々が,本書をご覧になることで,医療安全に関するリスクセンスを磨かれて,安全で良質な歯科医療の提供はもちろんのこと,ご自身が明るく,楽しく自信を持って医療に邁進されることになれば,望外の幸せと存じます.ご多忙の折,本書の執筆を快くお引き受けいただきました諸先生に,改めて深謝申し上げます.
最後に,本書の上梓に当たって,名実共に大変お世話になりました医歯薬出版株式会社 歯科書籍編集部の大城惟克氏に,ここで改めて感謝の意を表します.
2010年8月
石川雅彦
まえがき
【総 論】
1 なぜ,今,医療安全なのか……?(石川雅彦)
2 歯科における医療安全対策の特殊性(平田創一郎)
3 歯科医療におけるインシデント・アクシデントの現状と課題,歯科医療安全管理体制構築のための指針(平田創一郎)
歯科診療で発生するインシデント・アクシデントとは?
歯科医療安全管理体制構築のための指針
医療安全への取組方法とこれからの課題は何か?
医療安全の基本用語
4 「患者さんが必要とする医療を安全に実践する」ための教育・研修プログラム(長坂 浩)
5 医療安全管理を確立するためのコミュニケーションマネージメントとは(齋藤高弘)(中島 丘)
【各 論】
1 大学病院・専門医療におけるエラーの予防と対応策
1)組織の規模の違いによる事例(平田創一郎)
2)医療行為のリスク(バックグラウンド)の違いによる事例(山口秀紀)
2 研修歯科医が起こしやすいエラーの予防と対応策
1)大学病院研修中の場合(1)(齋藤高弘)
接 遇
コミュニケーション
歯科治療技能
大学病院研修中の場合(2)(町野 守)
研修施設でみられた具体的なヒヤリ・ハット事例とは?
2) 開業歯科医院での研修中に(1)(別部智司)
開業歯科医院での研修中に(2)(浅野倉栄)
不慣れな環境での設備,器具・器材の取り扱い
院内スタッフ・患者さんとのコミュニケーションの構築
3 開業歯科医院におけるエラーの予防と対応策(中島 丘)
一般歯科診療室で生じたエラー事例
訪問歯科診療での安全性確保
4 小児歯科・障害者歯科・矯正治療におけるエラーの予防と対応策(守安克也)
小児歯科診療の医療事故の特徴
小児歯科診療における医療安全対策
誤飲・誤嚥の予防策
矯正治療における医療安全対策
5 口腔外科におけるエラーの予防と対応策(小早川元博)
抜歯時のエラー
あなどれない粘膜疾患
不安愁訴をともなう顎関節症
ビスフォスフォネート服用中の骨粗鬆症患者の抜歯は,顎骨壊死を起こす可能性があります
6 インプラント治療時のトラブルの予防と対応策(今村栄作)
審美ゾーンのトラブル
補綴装置完成後の破折などのトラブル
発音障害や空気漏れ
インプラント周囲の炎症にともなうトラブル
7 歯科衛生士が取り組む医療安全
1)医療安全における歯科衛生士の役割(山口秀紀)
2)歯科衛生士業務におけるエラーと対応策(山口秀紀)
歯科衛生士が行う業務におけるヒヤリ・ハットの現状
歯科衛生士が行うリスクマネジメント
3)歯科衛生士学校で教えるエラー回避策(浅野倉栄)
4)一般開業医勤務歯科衛生士の医療安全への取り組み(中島 丘)
5)情報共有の重要性(山口秀紀)
8 口腔ケアや訪問歯科診療で起こるエラーの予防と対応策
1)「口腔ケア」でもエラーは起こる!(米山武義)
口腔ケアで起こりうるエラー
エラーを未然に防ぐポイント
2)こんな事故も起きます…施設での口腔ケアから(浅野倉栄)
3)嚥下内視鏡検査(VE)で起こるエラー(浅野倉栄)
4)転倒・転落のリスクを知ろう(米山武義・浅野倉栄)
5)誤嚥・窒息のリスクを知ろう・チョークサイン(米山武義・浅野倉栄)
6)ICUにおける口腔ケア中のエラー(米山武義)
7)NST(栄養管理チーム)のエラー(米山武義)
9 医療安全のための分析ツールとは(石川雅彦)
RCAとは?
HFMEAとは?
10 院内スタッフが報告するインシデントレポート(山本真樹)
報告しやすい環境整備
歯科医院でも簡単にできる事例分析
11 これだけは知っておきたい医療安全のための感染防御(町野 守)
12 これだけは知っておこう! 医療安全に必要な投薬禁忌・薬剤知識(別部智司)
薬剤アレルギーの病歴聴取の重要性
薬物相互作用について
処方に関連したエラー
13 医療安全のためのカルテ記載法(中島 丘)
14 医療安全のための情報収集はどのようにするか?(中島 丘)
15 器材の保守点検不備.器材が引き起こすエラー
1)局所麻酔注射器・電動麻酔注射器(注射針も含む)(別部智司)
2)笑気吸入鎮静器・酸素ボンベ(山口秀紀)
3)パルスオキシメータ(長坂 浩)
4)生体モニタ(心電図・血圧計)(長坂 浩)
5)自動体外式除細動器(AED)(中島 丘)
6)口腔外科関連器材(小早川元博)
7)レーザー(Co/YAG)・低エネルギーレーザー(齋藤高弘)
8)タービン・エンジン・倍速コントラ(齋藤高弘)
9)コンプレッサー・石膏トラップなど(別部智司)
10)エックス線関連器材(別部智司)
11)嚥下内視鏡(浅野倉栄)
12)マイクロスコープ(山本真樹)
13)点滴回路/輸液ポンプ/チューブ/カテーテル(山口秀紀)
14)救急蘇生セットと歯科用吸引装置(小早川元博)
15)小児歯科・矯正関連器材(守安克也)
16)インプラント関連器材(今村栄作)
17)気管挿管器材(長坂 浩)
18)口腔外バキューム装置(守安克也)
19)「プレフィルドシリンジ」とは?(中島 丘)
20)顎関節症の検査・治療に用いる器材(町野 守)
21)口腔ケアに用いる器具・器材(米山武義)
おわりに(平田創一郎)
【コラム】
off-the-job training(Off-JT)(中島 丘)
モニタって何?(中島 丘)
歯科医師会が行っている医療安全事業(田口章太)
歯科診療にあたり,最も大切なことは(中島 丘)
情報共有の方法(中島 丘)
マギール鉗子と喉頭鏡(中島 丘)
医薬品による副作用を防ぐために(久保不二子)
誤った接続を起こさない方法(中島 丘)
投薬した薬剤で副作用が出てしまったら(久保不二子)
機器の保守点検(中島 丘)
同姓同名(読みが同じ名前)(中島 丘)
同音異義語・紛らわしい言葉(中島 丘)
裏面照射(中島 丘)
機器の破損事例(中島 丘)
酸素カニューラのコネクタが合わない(中島 丘)
水銀血圧計を準備しましょう(中島 丘)
歯科医師から問い合わせのあった薬剤に関する事項(久保不二子)
索 引
【総 論】
1 なぜ,今,医療安全なのか……?(石川雅彦)
2 歯科における医療安全対策の特殊性(平田創一郎)
3 歯科医療におけるインシデント・アクシデントの現状と課題,歯科医療安全管理体制構築のための指針(平田創一郎)
歯科診療で発生するインシデント・アクシデントとは?
歯科医療安全管理体制構築のための指針
医療安全への取組方法とこれからの課題は何か?
医療安全の基本用語
4 「患者さんが必要とする医療を安全に実践する」ための教育・研修プログラム(長坂 浩)
5 医療安全管理を確立するためのコミュニケーションマネージメントとは(齋藤高弘)(中島 丘)
【各 論】
1 大学病院・専門医療におけるエラーの予防と対応策
1)組織の規模の違いによる事例(平田創一郎)
2)医療行為のリスク(バックグラウンド)の違いによる事例(山口秀紀)
2 研修歯科医が起こしやすいエラーの予防と対応策
1)大学病院研修中の場合(1)(齋藤高弘)
接 遇
コミュニケーション
歯科治療技能
大学病院研修中の場合(2)(町野 守)
研修施設でみられた具体的なヒヤリ・ハット事例とは?
2) 開業歯科医院での研修中に(1)(別部智司)
開業歯科医院での研修中に(2)(浅野倉栄)
不慣れな環境での設備,器具・器材の取り扱い
院内スタッフ・患者さんとのコミュニケーションの構築
3 開業歯科医院におけるエラーの予防と対応策(中島 丘)
一般歯科診療室で生じたエラー事例
訪問歯科診療での安全性確保
4 小児歯科・障害者歯科・矯正治療におけるエラーの予防と対応策(守安克也)
小児歯科診療の医療事故の特徴
小児歯科診療における医療安全対策
誤飲・誤嚥の予防策
矯正治療における医療安全対策
5 口腔外科におけるエラーの予防と対応策(小早川元博)
抜歯時のエラー
あなどれない粘膜疾患
不安愁訴をともなう顎関節症
ビスフォスフォネート服用中の骨粗鬆症患者の抜歯は,顎骨壊死を起こす可能性があります
6 インプラント治療時のトラブルの予防と対応策(今村栄作)
審美ゾーンのトラブル
補綴装置完成後の破折などのトラブル
発音障害や空気漏れ
インプラント周囲の炎症にともなうトラブル
7 歯科衛生士が取り組む医療安全
1)医療安全における歯科衛生士の役割(山口秀紀)
2)歯科衛生士業務におけるエラーと対応策(山口秀紀)
歯科衛生士が行う業務におけるヒヤリ・ハットの現状
歯科衛生士が行うリスクマネジメント
3)歯科衛生士学校で教えるエラー回避策(浅野倉栄)
4)一般開業医勤務歯科衛生士の医療安全への取り組み(中島 丘)
5)情報共有の重要性(山口秀紀)
8 口腔ケアや訪問歯科診療で起こるエラーの予防と対応策
1)「口腔ケア」でもエラーは起こる!(米山武義)
口腔ケアで起こりうるエラー
エラーを未然に防ぐポイント
2)こんな事故も起きます…施設での口腔ケアから(浅野倉栄)
3)嚥下内視鏡検査(VE)で起こるエラー(浅野倉栄)
4)転倒・転落のリスクを知ろう(米山武義・浅野倉栄)
5)誤嚥・窒息のリスクを知ろう・チョークサイン(米山武義・浅野倉栄)
6)ICUにおける口腔ケア中のエラー(米山武義)
7)NST(栄養管理チーム)のエラー(米山武義)
9 医療安全のための分析ツールとは(石川雅彦)
RCAとは?
HFMEAとは?
10 院内スタッフが報告するインシデントレポート(山本真樹)
報告しやすい環境整備
歯科医院でも簡単にできる事例分析
11 これだけは知っておきたい医療安全のための感染防御(町野 守)
12 これだけは知っておこう! 医療安全に必要な投薬禁忌・薬剤知識(別部智司)
薬剤アレルギーの病歴聴取の重要性
薬物相互作用について
処方に関連したエラー
13 医療安全のためのカルテ記載法(中島 丘)
14 医療安全のための情報収集はどのようにするか?(中島 丘)
15 器材の保守点検不備.器材が引き起こすエラー
1)局所麻酔注射器・電動麻酔注射器(注射針も含む)(別部智司)
2)笑気吸入鎮静器・酸素ボンベ(山口秀紀)
3)パルスオキシメータ(長坂 浩)
4)生体モニタ(心電図・血圧計)(長坂 浩)
5)自動体外式除細動器(AED)(中島 丘)
6)口腔外科関連器材(小早川元博)
7)レーザー(Co/YAG)・低エネルギーレーザー(齋藤高弘)
8)タービン・エンジン・倍速コントラ(齋藤高弘)
9)コンプレッサー・石膏トラップなど(別部智司)
10)エックス線関連器材(別部智司)
11)嚥下内視鏡(浅野倉栄)
12)マイクロスコープ(山本真樹)
13)点滴回路/輸液ポンプ/チューブ/カテーテル(山口秀紀)
14)救急蘇生セットと歯科用吸引装置(小早川元博)
15)小児歯科・矯正関連器材(守安克也)
16)インプラント関連器材(今村栄作)
17)気管挿管器材(長坂 浩)
18)口腔外バキューム装置(守安克也)
19)「プレフィルドシリンジ」とは?(中島 丘)
20)顎関節症の検査・治療に用いる器材(町野 守)
21)口腔ケアに用いる器具・器材(米山武義)
おわりに(平田創一郎)
【コラム】
off-the-job training(Off-JT)(中島 丘)
モニタって何?(中島 丘)
歯科医師会が行っている医療安全事業(田口章太)
歯科診療にあたり,最も大切なことは(中島 丘)
情報共有の方法(中島 丘)
マギール鉗子と喉頭鏡(中島 丘)
医薬品による副作用を防ぐために(久保不二子)
誤った接続を起こさない方法(中島 丘)
投薬した薬剤で副作用が出てしまったら(久保不二子)
機器の保守点検(中島 丘)
同姓同名(読みが同じ名前)(中島 丘)
同音異義語・紛らわしい言葉(中島 丘)
裏面照射(中島 丘)
機器の破損事例(中島 丘)
酸素カニューラのコネクタが合わない(中島 丘)
水銀血圧計を準備しましょう(中島 丘)
歯科医師から問い合わせのあった薬剤に関する事項(久保不二子)
索 引








