監修のことば
頭部X線規格写真(セファロ)の分析は,小児・成人を問わず,矯正歯科診断をするうえで最も重要な情報である.しかし,セファロ分析には顎顔面骨の解剖や成長に関する正確な知識を必要とするため,歯科矯正学の専門教育を受けていなければ敷居の高い作業であろうと思われる.矯正歯科の専門医にとっても,セファロ分析にかかる時間は無視できないものがある.最近,従来のX線フィルムから,徐々にデジタルX線システムの導入がなされつつある.したがって,デジタル時代の到来に併せて,新しいセファロ分析の手法も学ぶ必要がある.
本書の著者である本学の佐藤亨至講師は,以前からセファロ分析用ソフトウェアである“WinCeph“の開発に従事してきており,本ソフトを利用した研究業績も数多い.そこで,現在すでに“WinCeph”のユーザーであり,さらに効率のよい使い方を覚えたいと思われている矯正歯科医を対象とするだけではなく,日常臨床に矯正歯科治療を取り入れておられる一般歯科医の方々,歯科矯正学を勉学中の歯学生や研修歯科医の方々に向けた本書の刊行を発案された.本書に添付されている“WinCeph機能限定版”のソフトを実際に操作しながら,本書を読み進めていただければ,いっそう理解しやすく,セファロ分析は意外にとっつきやすいものだと感じられることであろう.そして,セファロ分析から得られる情報が矯正歯科治療を行ううえで,非常に有益なものであることに気づかれることと思う.また同時に,本ソフトはセファロ分析だけではなく,模型分析,デジタルデータの整理・管理,患者さんへの説明のための報告書の作成,プレゼンテーションなどにも利用できる便利なツールになるに違いない.
コンピュータとうまく付き合いながら効率よくセファロ分析を行い,日常の矯正歯科治療における正しい診断・治療指針を導く一助として,本書を十分にご活用いただければ幸いである.
2006年12月
東北大学大学院歯学研究科顎口腔矯正学分野 教授
山本照子
序文
矯正歯科臨床においては,診断および治療結果の評価のために頭部X線規格写真,いわゆるセファロの分析が必須となっている.コンピュータが現在のように普及する前は,セファロの分析には膨大な時間を必要とした.X線フィルムからトレース図を作成したうえで,必要な補助線を引いて計測点を設定し,ノギスおよび分度器を用いて測定値を求めたわけである.しかし,現在においてはコンピュータを使うことによって,その何十分の一かの時間で,計測結果が簡単に得られるようになったのである.ここでは,デジタル時代のセファロ分析と呼ぶことにする.
本書は,わが国で開発されたセファロ分析用の代表的なソフトウェアである“WinCeph“の最新バージョン(バージョン8)を利用し,デジタル時代の効率的な活用方法を記載したものである.本ソフトウェアは単にセファロ分析だけにとどまらず,患者管理機能までを含んだ多機能の矯正歯科治療支援プログラムと位置づけられている.添付している“WinCeph機能限定版”のソフトウェアを実際に操作しながら読んでいただくことが可能なように工夫してある.また,矯正歯科医や小児歯科医を目指してこれからセファロ分析について勉強しようとする方々はもちろんのこと,矯正治療を手がけてみたいと思っていたがセファロ分析のためのトレースがあるためにとっつきにくかった一般の歯科医や,外科的矯正治療に関わる口腔外科の方々にも大いに役立つはずである.ただし,コンピュータを用いてセファロ分析を行うことで,セファロ上の計測点設定のための解剖学的知識が必要なくなったわけではない.また,計測結果から,自動的に治療方針を導いてくれるものでもない.
これまでセファロ分析に人間が膨大な時間をかけて行っていた作業をコンピュータが支援してくれることにより,短縮された時間を利用して,診断と治療方針の立案にいっそう時間を注いでいただけるよう配慮した内容構成になっている.
2006年12月
東北大学病院 講師
佐藤亨至
頭部X線規格写真(セファロ)の分析は,小児・成人を問わず,矯正歯科診断をするうえで最も重要な情報である.しかし,セファロ分析には顎顔面骨の解剖や成長に関する正確な知識を必要とするため,歯科矯正学の専門教育を受けていなければ敷居の高い作業であろうと思われる.矯正歯科の専門医にとっても,セファロ分析にかかる時間は無視できないものがある.最近,従来のX線フィルムから,徐々にデジタルX線システムの導入がなされつつある.したがって,デジタル時代の到来に併せて,新しいセファロ分析の手法も学ぶ必要がある.
本書の著者である本学の佐藤亨至講師は,以前からセファロ分析用ソフトウェアである“WinCeph“の開発に従事してきており,本ソフトを利用した研究業績も数多い.そこで,現在すでに“WinCeph”のユーザーであり,さらに効率のよい使い方を覚えたいと思われている矯正歯科医を対象とするだけではなく,日常臨床に矯正歯科治療を取り入れておられる一般歯科医の方々,歯科矯正学を勉学中の歯学生や研修歯科医の方々に向けた本書の刊行を発案された.本書に添付されている“WinCeph機能限定版”のソフトを実際に操作しながら,本書を読み進めていただければ,いっそう理解しやすく,セファロ分析は意外にとっつきやすいものだと感じられることであろう.そして,セファロ分析から得られる情報が矯正歯科治療を行ううえで,非常に有益なものであることに気づかれることと思う.また同時に,本ソフトはセファロ分析だけではなく,模型分析,デジタルデータの整理・管理,患者さんへの説明のための報告書の作成,プレゼンテーションなどにも利用できる便利なツールになるに違いない.
コンピュータとうまく付き合いながら効率よくセファロ分析を行い,日常の矯正歯科治療における正しい診断・治療指針を導く一助として,本書を十分にご活用いただければ幸いである.
2006年12月
東北大学大学院歯学研究科顎口腔矯正学分野 教授
山本照子
序文
矯正歯科臨床においては,診断および治療結果の評価のために頭部X線規格写真,いわゆるセファロの分析が必須となっている.コンピュータが現在のように普及する前は,セファロの分析には膨大な時間を必要とした.X線フィルムからトレース図を作成したうえで,必要な補助線を引いて計測点を設定し,ノギスおよび分度器を用いて測定値を求めたわけである.しかし,現在においてはコンピュータを使うことによって,その何十分の一かの時間で,計測結果が簡単に得られるようになったのである.ここでは,デジタル時代のセファロ分析と呼ぶことにする.
本書は,わが国で開発されたセファロ分析用の代表的なソフトウェアである“WinCeph“の最新バージョン(バージョン8)を利用し,デジタル時代の効率的な活用方法を記載したものである.本ソフトウェアは単にセファロ分析だけにとどまらず,患者管理機能までを含んだ多機能の矯正歯科治療支援プログラムと位置づけられている.添付している“WinCeph機能限定版”のソフトウェアを実際に操作しながら読んでいただくことが可能なように工夫してある.また,矯正歯科医や小児歯科医を目指してこれからセファロ分析について勉強しようとする方々はもちろんのこと,矯正治療を手がけてみたいと思っていたがセファロ分析のためのトレースがあるためにとっつきにくかった一般の歯科医や,外科的矯正治療に関わる口腔外科の方々にも大いに役立つはずである.ただし,コンピュータを用いてセファロ分析を行うことで,セファロ上の計測点設定のための解剖学的知識が必要なくなったわけではない.また,計測結果から,自動的に治療方針を導いてくれるものでもない.
これまでセファロ分析に人間が膨大な時間をかけて行っていた作業をコンピュータが支援してくれることにより,短縮された時間を利用して,診断と治療方針の立案にいっそう時間を注いでいただけるよう配慮した内容構成になっている.
2006年12月
東北大学病院 講師
佐藤亨至
Chapter1 デジタル時代のセファロ分析の基礎
1―従来のセファロ分析法
2―デジタル時代のセファロ分析法
Chapter2 デジタル時代のセファロ分析の準備
1―セファロのデジタル化の方法
2―データの整理・管理
1)セファロ画像ファイルの管理
2)セファロ以外の資料のデジタル化
3―患者とのコミュニケーションツールとしての利用
Chapter3 デジタル時代のセファロ分析の実際
1―動作環境
2―インストール
3―起動と分析項目の設定
4―基本情報入力
5―画像管理
6―キャリブレーション
7―計測点の設定
8―図形分析
9―線計測と角度計測
1)線計測
2)角度計測
10―代表的な側面セファロ分析法
1)Ricketts & McNamara分析とVTO
2)Open Bite分析
3)Steiner & Tweed分析
4)Northwestern法
5)Kimの分析
6)Jarabakの分析
7)Level anchorage分析
8)その他の分析
11―正面セファロの分析法
1)Ricketts分析
2)その他の分析
12―分析結果の解釈と診断
Chapter4 デジタル時代のセファロ分析の応用
1―セファロの重ね合わせ
1)トレース画像を作成して重ね合わせる方法
2)エックス線画像を直接重ね合わせる方法
2―顔写真の活用
3―歯列模型の活用
4―成長分析
5―報告書(情報提供書)の作成
6―プレゼンテーション
7―他のアプリケーションとの連携
1―従来のセファロ分析法
2―デジタル時代のセファロ分析法
Chapter2 デジタル時代のセファロ分析の準備
1―セファロのデジタル化の方法
2―データの整理・管理
1)セファロ画像ファイルの管理
2)セファロ以外の資料のデジタル化
3―患者とのコミュニケーションツールとしての利用
Chapter3 デジタル時代のセファロ分析の実際
1―動作環境
2―インストール
3―起動と分析項目の設定
4―基本情報入力
5―画像管理
6―キャリブレーション
7―計測点の設定
8―図形分析
9―線計測と角度計測
1)線計測
2)角度計測
10―代表的な側面セファロ分析法
1)Ricketts & McNamara分析とVTO
2)Open Bite分析
3)Steiner & Tweed分析
4)Northwestern法
5)Kimの分析
6)Jarabakの分析
7)Level anchorage分析
8)その他の分析
11―正面セファロの分析法
1)Ricketts分析
2)その他の分析
12―分析結果の解釈と診断
Chapter4 デジタル時代のセファロ分析の応用
1―セファロの重ね合わせ
1)トレース画像を作成して重ね合わせる方法
2)エックス線画像を直接重ね合わせる方法
2―顔写真の活用
3―歯列模型の活用
4―成長分析
5―報告書(情報提供書)の作成
6―プレゼンテーション
7―他のアプリケーションとの連携








