やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第3版の序

 1999年に本シリーズ第2版を発行してから,4年が経過した.この間,難易度があがっていく国家試験に対して精度を高めるべく,刷を重ね,年々見直しを行い,国試対策に取り組む学生の方々の期待に応えるよう編集を行ってきた.
 さて,このたび再度歯科衛生士試験出題基準の見直しが行われ,2003年6月にその内容が公開された.今回の改定の背景には,高齢社会,2000年の介護保険施行に対応した歯科衛生士の役割の拡充はもとより,少子化の進行や,健康日本21の策定,健康増進法施行などの健康支援への動きがある.歯科医療技術の進歩もある.そしてなにより,歯科衛生士教育が2年制から3年制へ移行し始め,今後進んでいくであろう全国区での3年制への移行を見すえた地ならしの意味が大きいと思われる.
 今回の出題基準の改定点を分析すると,上記のような点をふまえた項目の追加と,従来から指摘されてきた項目重複の整理と格付けの見直し,実際行われているまたは出題されている項目の明文化などであり,必要性に応じた小改定となっているといえる.
 この見直し後の出題基準は,2004年3月に実施される第13回歯科衛生士試験から適用される.よって本書の改訂は急務と考え,以上を考慮しかつ前版の基本的な編集方針は踏襲して,第3版として必要最小限の改訂を行った次第である.
 歯科衛生士学校の学生の方々が,本書で受験対策に取り組んでいただき,国家試験に合格されることを期待してやまない.
 2004年1月
 歯科衛生士試験対策検討会


第2版の序

 本シリーズを1996年に発行して以来3年が経過した.この間,国家試験対策に取り組む多くの歯科衛生士学校の学生の方々にご利用いただいた.本書の出版企画の意図は,「ただ単に知識の整理を行ったのみでなく,国家試験対策について十分検討し,学力向上のための効果的な勉強ができるように配慮した」(「第1版の序」より)ことにある.この所期の目的がほぼ達成できたことは,本書を編集した歯科衛生士試験対策検討会としては喜びにたえない.
 さて,このたび本書の第2版の改訂版を出版することになった.その理由は,以下のとおりである.
 本年(1999年)4月に「歯科衛生士試験出題基準」が改定された.今回の改定は5,6年以内に予定される歯科衛生士養成の修業年限延長(2年以上から3年以上へ)による「出題基準」大改定までの暫定措置として行われた.現在,歯科衛生士養成施設で使われている教科書の内容を,一部あと追い的に反映した性格をもつ小改定といえる.
 この出題基準の改定の内容を分析してみると,次のとおりである.@用語の言い換え,A項目の配列や内容の整理,B新しい項目の追加,C出題内容が他の科目にもわたるようになった,などである.
 しかもこの「新出題基準」は,来年(2000年)3月5日に行われる国家試験から適用される.そこで本書を国家試験受験生のために急きょ改訂した次第である.
 また,今年(1999年)3月実施の歯科衛生士国家試験の出題傾向の変化をみると,
 (1) 状況設定問題が増えた
 (2) 組み合わせ問題で,3項目組み合わせのものが出題された
 (3) カラーの口腔内写真を見て答える問題が出た
などの点で,従来とは傾向が変わってきている.合格率も過去数年の99.数%から96.9%へと低下し,受験者6,392名中200名が不合格となっている.
 以上のことを十分考慮し,また「出題基準」の大改定は5,6年後に行われることを予想して,本書の必要最小限の改訂をした次第である.
 読者の皆さんは,まず「本書の特徴および利用方法」を十分読んでから受験対策に取り組んでいただきたい.
 来春には,多くの受験生が専門性をもった立派な歯科衛生士として誕生することを期待している.
 1999年11月
 歯科衛生士試験対策検討会


第1版の序

 近年の急速な高齢化社会の到来と少子化は,保健・医療・福祉の基本的なフレームの見直しをわれわれに迫っている.
 歯科保健医療をとりまく環境も,1989年から厚生省が提唱している8020運動の推進,1992年からの老人保健法の歯科衛生士による寝たきり老人の訪問指導の実施,1994年の保健所法から地域保健法への改正,1995年の老人保健法による歯周疾患検診の導入,さらに1996年の社会保険歯科診療における歯周治療システムの大幅改定など,新たな時代の到来ともいうべき様相を呈してきた.そのような状況のもとで,歯科衛生士に期待される役割はきわめて大きくなってきている.
 歯科衛生士を目指す諸姉には,それゆえ,臨床や地域保健で活躍するための十分な基礎体力を,まずは教育を通じて身につけることが求められている.
 そこで,このたび教育と国家試験をつなぐ“橋”の役割を担うことをねらいとした本シリーズを企画した.
 本シリーズの発刊にあたっては,ただ単に知識の整理を行ったのみではなく,国家試験対策について十分に検討し,学力向上のための効果的な勉強ができるように配慮したつもりである.
 すなわち,厚生省の「歯科衛生士試験出題基準」をもとに,「歯科衛生士養成所教授要綱」を加味して各科目のセクション化をはかり,それぞれの重要なエッセンスを解説している.さらに,各科目ごとの主要なテーマを問題例としてあげ,それを解くための基本的な考え方を習得することで,国家試験問題を解くための思考過程が自然と備わるように構成した.また,知識の確認としての一問一答を科目ごとに付して,短時間で学習効果を高めるように工夫してある.
 本書を手にされた諸姉が,これを上手に利用することにより,所期の目的を達成されることを祈念している.
 1996年7月
 歯科衛生士試験対策検討会
第3版 ポイントチェック 歯科衛生士試験対策 4―歯科補綴学/口腔外科学・歯科麻酔学/小児歯科学/矯正歯科学― 目次

I編 歯科補綴学
 SECTION 1補綴治療の基礎知識
  I.基準平面
  II.顔面頭蓋・口腔の基準
  III.下顎骨と歯列
  IV.歯 列
  V.対合関係
  VI.咬合様式
  VII.顎 堤
  VIII.下顎運動と下顎位
  IX.咀嚼運動
  X.歯の喪失に伴う変化
 SECTION 2歯冠補綴装置
  I.被覆冠
  II.歯冠(合釘)継続歯
  III.その他
 SECTION 3ブリッジ(橋義歯)
  I.ブリッジの特徴
  II.ブリッジの構成と種類
  III.ポンティック
  IV.支台装置
  V.連結部
 SECTION 4床 義 歯
  I.床義歯の種類
  II.床義歯の構成
  III.全部床義歯の製作過程
  IV.部分床義歯の製作過程
  V.有床義歯のメインテナンス
  VI.インプラント義歯
  Key Point
  一問一答

II編 口腔外科学・歯科麻酔学
 SECTION 1口腔外科疾患
  I.先天異常と発育異常
  II.顎・顔面の損傷
  III.口腔軟組織の炎症
  IV.顎骨の病変
  V.顎関節の病変
  VI.顎口腔の【嚢】胞
  VII.顎骨の良性腫瘍
  VIII.口腔軟組織の良性腫瘍
  IX.唾液腺の病変
  X.腫瘍類似疾患
  IX.悪性腫瘍
  XII.前癌病変および類似病変
  XIII.神経性疾患および心因性疾患
  XIV.全身疾患の口腔病変
 SECTION 2小手術の種類
  I.抜 歯
  II.切開・排膿
  III.歯槽骨整形
  IV.埋伏歯抜去
  V.【嚢】胞摘出手術
  VI.【嚢】胞開窓手術
  VII.歯槽骨骨折手術
  VIII.顎骨骨折固定術
  IX.口腔インプラント術
  X.口腔出血に対する処置法
  IX.小手術用器具
 SECTION 3麻 酔
  I.局所麻酔
  II.全身麻酔
  III.精神鎮静法
  IV.有病者の歯科治療時のおもな留意点
 SECTION 4救急処置
  I.バイタルサイン
  II.ショックの救急処置
  Key Point
  一問一答

III編 小児歯科学
 SECTION 1小児歯科学の基礎知識
  I.小児歯科学の概要
  II.小児歯科の範囲
  III.小児の特徴
  IV.成長,発育,発達,成熟の定義
  V.器官の発育
  VI.年齢の評価
  VII.体位の評価
  VIII.生理的特徴
  IX.精神発達
 SECTION 2小児の歯列,咬合の発育
  I.頭蓋・顔面・口腔の発育
  II.乳歯・永久歯の発育
 SECTION 3小児におけるおもな口腔の疾病・異常
  I.おもな口腔の疾病・異常とその特徴
 SECTION 4小児歯科における応急的処置
  I.軟組織外傷
  II.乳歯,幼若永久歯の外傷
 SECTION 5小児の薬物療法
  I.薬物感受性
  II.薬用量
  III.投与法
  IV.薬物管理の注意事項
 SECTION 6乳歯齲【蝕】の特徴
  I.乳歯の特徴
  II.乳歯齲【蝕】
  III.幼若永久歯と齲【蝕】
  IV.乳歯齲【蝕】の予防
 SECTION 7乳歯齲【蝕】の処置
  I.歯冠修復
  II.小児の歯内療法
 SECTION 8咬合誘導
  I.保隙装置
  II.その他の咬合誘導
  III.咬合誘導装置の使用にあたっての注意
 SECTION 9定期健康診査(リコール)
  I.定期健診時の検査項目
 SECTION 10 小児歯科患者の対応
  I.幼児の行動と対応法
  II.治療時の一般的対応法
  III.不(非)協力的な小児の対処法
  IV.鎮静・減痛下の対応法
  V.全身麻酔下の対応法
 SECTION 11 障害児の特徴
  I.肢体不自由
  II.精神発達遅滞
  III.自閉症症候群
  IV.障害児への対応
  V.障害児の摂食・嚥下機能の発達
  Key Point
  一問一答

IV編 矯正歯科学
 SECTION 1顎顔面の成長発育
  I.頭部・顎・顔面の成長発育
 SECTION 2正常咬合
  I.成立と保持の条件
  II.正常咬合の種々の定義
 SECTION 3不正咬合
  I.歯の位置異常
  II.歯列弓形態の異常
  III.上下顎歯列弓関係の異常
  IV.不正咬合の分類
  V.不正咬合の原因
  VI.不正咬合による障害
 SECTION 4矯正力と歯の移動
  I.歯の移動に伴う組織変化
  II.矯正力の種類
  III.歯の移動様式
 SECTION 5診査,診断と治療の流れ
  I.矯正治療の一般的経過
  II.診 査
  III.症例分析
  IV.診 断
  V.動的治療
  VI.保 定
  VII.術後観察
 SECTION 6治療用器具,材料
  I.器 具
  II.材 料
 SECTION 7矯正装置
  I.矯正装置の分類
  II.舌側弧線装置
  III.顎間固定装置
  IV.双線弧線装置
  V.マルチブラケット装置(全帯環装置)
  VI.顎外固定装置
  VII.床矯正装置
  VIII.機能的矯正装置
  IX.側方拡大装置
  X.保定装置(リテーナー)
  Key Point
  一問一答

索引