やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社



 「臨床から包括的にとらえる歯の形と特徴およびその表現」について,目で見て把握できる一冊にしたいという編集依頼を受け,数回にわたり編集会議を重ねた結果,本書の企画趣旨として,
 1.若い歯科医師,歯科技工士そして歯科衛生士など,比較的臨床経験の少ない歯科医療従事者および関係者にも抵抗なく読まれる構成にすること.
 2.図解を多用し,ビジュアル的に臨床に即応した内容にすることで,保存版として日常臨床におけるハンドブック的な存在となること.
 3.臨床上の必要性により,必ずしも巻頭からでなく部分的に読んでも内容を理解することが容易なこと.
 4.多種多様なわが国の歯科臨床を反映し,偏ることなくできるだけ多くの分野の執筆者を選出すること.
 などが挙げられた.
 これらを鑑み,特にPartIにおいては,三次元の歯科臨床を二次元の誌面にて解説するにあたって,X線写真のトレースや口腔内の三次元的イラストを駆使し,読者の理解を深めようと試みてみた.また,従来の成書においては,各専門分野ごとに“縦割り“的に語られてきたクラウン・ブリッジの臨床を,治療部位別にオールラウンドに,すなわち歯科臨床の“横割り”的な構成にすることにより,読者が直面している治療部位に即応した理解が得られるよう誌面が許す限り心がけてみた.
 また,天然歯の歯冠そして歯根形態の理解は,単に歯冠修復処置にとどまることなく,歯内療法処置,歯周治療など,日常臨床に欠かすことのできない知識であり,特に日本人におけるそれらの平均的な大きさなどは,臨床上普遍的な有用項目と考え,Opening Graphとして巻頭に添付し,いつでも確認し,理解を深められるように配慮した.
 本書がより深い興味のきっかけとして,そして日常臨床の少なからぬヒントとなれば幸いである.
 2001年12月
 編集委員(五十音順)
 寺西邦彦 東京都港区・寺西歯科医院
 山口周行 東京都中野区・シュウデンタルラボ
 山口芳正 東京都江東区・フェスタデンタルテクノロジー
 Opening Graph 目で見る歯のかたち 東京歯科大学解剖学教室 前付
 序文 寺西邦彦・山口周行・山口芳正
 Graph 咬合と歯の異常 東京歯科大学解剖学教室

PartI 臨床に現れる各歯・各部の特徴
 上顎前歯のはなし〜その1〜 羽兼雅広・岩渕一文
 上顎前歯のはなし〜その2〜 飯沼 学・狩野淳志
 上顎小臼歯のはなし〜その1〜 湯谷裕行
 上顎小臼歯のはなし〜その2〜 依田洋明・松崎正樹
 上顎大臼歯のはなし〜その1〜 南 昌宏
 上顎大臼歯のはなし〜その2〜 三浦宏之
 下顎前歯のはなし〜その1〜 松川敏久
 下顎前歯のはなし〜その2〜 新井俊樹
 下顎小臼歯のはなし〜その1〜 白井輝充
 下顎小臼歯のはなし〜その2〜 富澤直基
 下顎大臼歯のはなし〜その1〜 五十嵐洋・内藤孝雄
 下顎大臼歯のはなし〜その2〜 五十嵐洋・内藤孝雄
PartII トータライズド・ケースプレゼンテーション
 ラボサイドとのコミュニケーションによる機能・審美の構築 吉木邦夫
 審美性の回復に重点をおいた症例 伊藤雄策・土屋 覚
 機能回復に重点をおいたケース 弘岡秀明
PartIII 歯牙形態を“作る”
 前歯編 黒田貴代江・片岡繁夫
 臼歯編 大畠一成

付録・キーワード解説