序
脳神経内科領域の疾患は治療が難しいということが以前からよく知られていますが,近年はその治療が著しく進歩してきました.治療が難しい代表的疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)も2剤が保険収載され,毎年のように新しい治験も実施されています.
ALSの代表的な症状は筋力低下ですが,筋力低下を生じる疾患としては筋疾患,末梢神経疾患などもあげられます.それらを鑑別するものとしては神経伝導検査,筋電図などが一般的であり現在も重要な検査ですが,最近では,神経筋超音波検査が神経筋疾患の評価に用いられることが増えてきました.神経伝導検査や筋電図は患者さんに痛みを生じその実施も生理検査室で行われることがほとんどですが,超音波はほとんど侵襲がなくその実施も外来診察室でも病棟のベッドサイドでも行えます.侵襲が少ないことから繰り返し検査可能であり,こまめに経過を追うことができることもメリットです.
本書は,徳島大学の高松直子臨床検査技師と山ア博輝医師によって企画され,総論として神経筋超音波検査の基礎,主な神経・筋の解剖とエコー所見を取り上げ,各論で各疾患の神経筋超音波所見を解説しています.神経筋超音波検査の実際と具体例を網羅した入門書となっています.
今後,各神経筋疾患の治療が進歩し,早期診断,早期治療がますます求められるようになってきます.神経筋超音波が広く普及し神経筋疾患の早期診断に寄与することを期待いたします.
2021年8月
和泉唯信
脳神経内科領域の疾患は治療が難しいということが以前からよく知られていますが,近年はその治療が著しく進歩してきました.治療が難しい代表的疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)も2剤が保険収載され,毎年のように新しい治験も実施されています.
ALSの代表的な症状は筋力低下ですが,筋力低下を生じる疾患としては筋疾患,末梢神経疾患などもあげられます.それらを鑑別するものとしては神経伝導検査,筋電図などが一般的であり現在も重要な検査ですが,最近では,神経筋超音波検査が神経筋疾患の評価に用いられることが増えてきました.神経伝導検査や筋電図は患者さんに痛みを生じその実施も生理検査室で行われることがほとんどですが,超音波はほとんど侵襲がなくその実施も外来診察室でも病棟のベッドサイドでも行えます.侵襲が少ないことから繰り返し検査可能であり,こまめに経過を追うことができることもメリットです.
本書は,徳島大学の高松直子臨床検査技師と山ア博輝医師によって企画され,総論として神経筋超音波検査の基礎,主な神経・筋の解剖とエコー所見を取り上げ,各論で各疾患の神経筋超音波所見を解説しています.神経筋超音波検査の実際と具体例を網羅した入門書となっています.
今後,各神経筋疾患の治療が進歩し,早期診断,早期治療がますます求められるようになってきます.神経筋超音波が広く普及し神経筋疾患の早期診断に寄与することを期待いたします.
2021年8月
和泉唯信
序(和泉唯信)
総論
1.神経筋超音波を始める前に
(濱口浩敏)
1 神経筋超音波の基礎
1 超音波の基礎知識
1)超音波とは
2)超音波の性質
3)臨床における超音波診断の特徴
2 超音波診断装置の設定
1)プローブの選択
2)周波数の違いによる画像表示
3)ゲイン
4)ダイナミックレンジ
5)フォーカス
6)STC・TGC
7)エコーゼリーの役割
3 プローブの走査
1)頸神経根
2)末梢神経
3)筋
4)異方性
2.主な神経・筋の解剖とエコー所見(検査法と正常画像)
1 末梢神経(高松直子)
1 末梢神経の構造と評価法
2 計測法
3 上肢
1)正中神経
2)尺骨神経
3)橈骨神経
4 下肢
1)脛骨神経
2)総腓骨神経
3)腓腹神経
2 頸神経根と腕神経叢(山ア博輝)
1 頸神経根
1)頸神経根における神経エコーの有用性
2)頸神経根の基本的解剖
3)頸神経根における神経エコーの実際
4)頸神経根の観察が有用な疾患
2 腕神経叢
1)腕神経叢における神経エコーの有用性
2)腕神経叢の基本的解剖
3)腕神経叢における神経エコーの実際
4)腕神経叢の観察が有用な疾患
5)その他の腕神経叢エコー
6)他の重要な神経枝
7)腕神経叢を評価するうえで重要な血管
advanced 神経エコーに必要な末梢神経解剖(野寺裕之)
1 腕神経叢
2 下垂足の鑑別
3 局所診断の落とし穴
3 筋(高松直子)
1 筋の構造とエコーによる評価法
2 頭頸部
1)頸部胸鎖乳突筋
2)僧帽筋
3)舌筋
3 上肢
1)三角筋
2)上腕二頭筋
3)上腕三頭筋
4)総指伸筋
5)尺側手根屈筋
6)深指屈筋
7)浅指屈筋
8)第1背側骨間筋
4 下肢
1)大腿直筋
2)外側広筋
3)内側広筋
4)前脛骨筋
5)腓腹筋
6)ヒラメ筋
5 腹部
1)腹直筋
2)横隔膜
各論
1.神経疾患
1 絞扼性ニューロパチー(山ア博輝)
手根管症候群
肘部尺骨神経障害
advanced ギヨン管症候群
橈骨神経麻痺
腓骨神経麻痺
胸郭出口症候群
advanced DNTOS
2 自己免疫性・炎症性ニューロパチー(山ア博輝・高松直子)
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
ギラン・バレー症候群
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
3 遺伝性ニューロパチー(高松直子・山ア博輝)
シャルコー・マリー・トゥース病1A型
遺伝性圧脆弱性ニューロパチー
4 神経変性疾患(山ア博輝)
筋萎縮性側索硬化症
5 腫瘍性疾患(高松直子)
神経線維腫症(I型,II型)
ガングリオン
6 その他の末梢神経障害(山ア博輝)
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー
POEMS症候群
神経サルコイドーシス
advanced 神経痛性筋萎縮症
2.筋疾患
1 遺伝性筋疾患(高松直子・吉田 剛)
筋強直性ジストロフィー1型
ベッカー型筋ジストロフィー
遠位型ミオパチー
孤発性成人発症型ネマリンミオパチー
2 炎症性筋疾患(吉田 剛・高松直子)
皮膚筋炎
免疫介在性壊死性ミオパチー
封入体筋炎
irAEによる筋炎
筋サルコイドーシス(結節型)
3 その他(吉田 剛)
横紋筋融解症
サルコペニア
総論
1.神経筋超音波を始める前に
(濱口浩敏)
1 神経筋超音波の基礎
1 超音波の基礎知識
1)超音波とは
2)超音波の性質
3)臨床における超音波診断の特徴
2 超音波診断装置の設定
1)プローブの選択
2)周波数の違いによる画像表示
3)ゲイン
4)ダイナミックレンジ
5)フォーカス
6)STC・TGC
7)エコーゼリーの役割
3 プローブの走査
1)頸神経根
2)末梢神経
3)筋
4)異方性
2.主な神経・筋の解剖とエコー所見(検査法と正常画像)
1 末梢神経(高松直子)
1 末梢神経の構造と評価法
2 計測法
3 上肢
1)正中神経
2)尺骨神経
3)橈骨神経
4 下肢
1)脛骨神経
2)総腓骨神経
3)腓腹神経
2 頸神経根と腕神経叢(山ア博輝)
1 頸神経根
1)頸神経根における神経エコーの有用性
2)頸神経根の基本的解剖
3)頸神経根における神経エコーの実際
4)頸神経根の観察が有用な疾患
2 腕神経叢
1)腕神経叢における神経エコーの有用性
2)腕神経叢の基本的解剖
3)腕神経叢における神経エコーの実際
4)腕神経叢の観察が有用な疾患
5)その他の腕神経叢エコー
6)他の重要な神経枝
7)腕神経叢を評価するうえで重要な血管
advanced 神経エコーに必要な末梢神経解剖(野寺裕之)
1 腕神経叢
2 下垂足の鑑別
3 局所診断の落とし穴
3 筋(高松直子)
1 筋の構造とエコーによる評価法
2 頭頸部
1)頸部胸鎖乳突筋
2)僧帽筋
3)舌筋
3 上肢
1)三角筋
2)上腕二頭筋
3)上腕三頭筋
4)総指伸筋
5)尺側手根屈筋
6)深指屈筋
7)浅指屈筋
8)第1背側骨間筋
4 下肢
1)大腿直筋
2)外側広筋
3)内側広筋
4)前脛骨筋
5)腓腹筋
6)ヒラメ筋
5 腹部
1)腹直筋
2)横隔膜
各論
1.神経疾患
1 絞扼性ニューロパチー(山ア博輝)
手根管症候群
肘部尺骨神経障害
advanced ギヨン管症候群
橈骨神経麻痺
腓骨神経麻痺
胸郭出口症候群
advanced DNTOS
2 自己免疫性・炎症性ニューロパチー(山ア博輝・高松直子)
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
ギラン・バレー症候群
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
3 遺伝性ニューロパチー(高松直子・山ア博輝)
シャルコー・マリー・トゥース病1A型
遺伝性圧脆弱性ニューロパチー
4 神経変性疾患(山ア博輝)
筋萎縮性側索硬化症
5 腫瘍性疾患(高松直子)
神経線維腫症(I型,II型)
ガングリオン
6 その他の末梢神経障害(山ア博輝)
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー
POEMS症候群
神経サルコイドーシス
advanced 神経痛性筋萎縮症
2.筋疾患
1 遺伝性筋疾患(高松直子・吉田 剛)
筋強直性ジストロフィー1型
ベッカー型筋ジストロフィー
遠位型ミオパチー
孤発性成人発症型ネマリンミオパチー
2 炎症性筋疾患(吉田 剛・高松直子)
皮膚筋炎
免疫介在性壊死性ミオパチー
封入体筋炎
irAEによる筋炎
筋サルコイドーシス(結節型)
3 その他(吉田 剛)
横紋筋融解症
サルコペニア














