やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

 原子力災害における“放射線の健康被害”と“災害の健康被害”―別冊化に際して(長瀧重信)
  ・福島原発事故における放射線の健康被害
  ・福島における“放射線の健康被害”以外の健康被害
  ・過去の“放射線の健康被害”と“災害の健康被害”の経験
  ・福島の“放射線の健康被害”と“災害の健康被害”
 はじめに(長瀧重信)
  ・科学者の社会に対する責任―意図的に論文を集めれば,正反対のことでも“科学的に正しい”と主張できる
  ・サイエンス(科学的事実)とポリシー(対処の考え方)
  ・サイエンスとポリシーを混同しないこと
  ・医学としての提言―サイエンスとポリシー,そして思いやり(人間愛)
福島原発事故における被ばく医療
 1.原発事故と医療人(山下俊一)
  ・原発事故への対応基準
  ・被曝医療と平時における医療人
  ・原発事故と緊急被曝医療体制
  ・福島原発事故における医療人
  ・緊急被曝医療体制のなかでの医療人
  ・福島県立医科大学における医療人
 2.内部被曝とその考え方(明石真言)
  ・内部被曝の線量評価の考え方
  ・内部被曝放射線の計測法―WBCを中心として
  ・WBCによる計測の実際
  ・内部被曝の線量評価
  ・東京電力福島第一原子力発電所の事故
 3.福島原発事故における内部被曝と健康影響(遠藤啓吾)
  ・外部被曝と内部被曝
  ・内部被曝の歴史―造影剤トロトラスト
  ・放射性セシウムと放射性ヨウ素
  ・現状とこれからの展望
 4.防災作業者の放射線健康リスク(鈴木 元)
  ・確定的影響
  ・確率的影響
  ・メンタルヘルス
緊急被ばく医療
 5.緊急被ばく医療体制の構築(青木芳朗)
  ・緊急被ばく医療
  ・“緊急被ばく医療のあり方について”と防災指針
  ・緊急被ばく医療とネットワークの構築
  ・放射線事故医療研究会と緊急被ばく医療フォーラム
 6.緊急被ばく医療体制―三次被ばく医療機関の活動を中心に(神谷研二・他)
  ・新しい緊急被ばく医療体制
  ・国際緊急被ばく医療ネットワークへの参加
  ・東京電力福島原子力発電所事故での課題
放射線影響
 7.放射線によるDNA損傷に対する応答機構(宮川 清)
  ・DNA損傷に対する応答機構
  ・放射線高感受性疾患のキャリア
  ・高発癌家系におけるDNA損傷応答機構
  ・バイスタンダー効果と適応応答
疫学
 8.疫学調査:広島・長崎の経験から福島へ(大久保利晃)
  ・被爆者の疫学調査
  ・被爆者の調査からわかったこと
  ・福島での被曝との比較
 9.チェルノブイリ原発事故が小児に及ぼした健康影響(柴田義貞)
  ・身体的影響
  ・精神的影響
  ・小児甲状腺癌多発の原因とリスク評価
 10.チェルノブイリ周辺地域における放射性セシウムの内部被曝線量と健康影響評価(林田直美・高村 昇)
  ・チェルノブイリ周辺地域の内部被曝線量
  ・放射性セシウムによるチェルノブイリの内部被曝の現状
  ・放射性セシウムの健康影響
放射線防護
 11.放射線防護の国際的枠組み(佐々木康人)
  ・電離放射線の光と影
  ・国際放射線医学会の防護活動
  ・核爆発実験と国連科学委員会設立
  ・放射線防護基準作成の国際的枠組み
  ・ICRP 2007年勧告の特徴
  ・2007年新勧告の防護体系
  ・放射線の健康影響
  ・福島原発事故の特徴
 12.放射線防護の考え方と実際の健康影響(酒井一夫)
  ・放射線影響の分類―放射線防護の観点から
  ・低線量放射線の影響―疫学研究から
  ・LNTモデルと生体防御機能
  ・低線量率長期被曝の健康影響
  ・おわりに―LNTモデルと現実の影響
 13.原発事故に対する放射線防護(草間朋子)
  ・放射線防護
  ・原発事故に対する放射線防護
  ・放射線防護上の健康影響の分類と,緊急時の放射線防護の目標
  ・防護対策を検討する際の“被曝状況”の区分
  ・福島原子力発電所の事故後の時間経過と,対応する“被曝状況”
  ・具体的な防護対策と参考レベル
  ・放射線防護における最適化の重要性
  ・公衆の被曝はなぜ,低く抑えられているか
  ・これからの放射線防護の課題
リスク・コミュニケーション
 14.リスク・コミュニケーションとは(堀口逸子・丸井英二)
  ・リスクコミュニケーションの歴史と定義
  ・リスク認知
  ・個人的選択と社会的論争
  ・平時と緊急時
  ・コミュニケーションの専門家との協働
 15.危機的状況におけるリスク・コミュニケーション(吉川肇子)
  ・リスク・コミュニケーションの技術のつたなさ
  ・危機管理者がもつ誤解
  ・パニック神話
  ・リスク・コミュニケーションの改善に向けて
 16.レポート:リスク・コミュニケーションの現場から(神田玲子)
  ・クライシスコミュニケーション
  ・事故後のケアコミュニケーション
  ・放射線に関する数値と放射線の影響
  ・事故後のコンセンサスコミュニケーション
  ・いま,発信すべき情報はなにか―合理的なリスク低減に向けた情報提供
 17.原子力災害後の現存被曝状況でのリスク・コミュニケーション(山口一郎)
  ・現存被曝状況でのリスク・コミュニケーションとは?
  ・リスク管理の指針をどのように決定すべきか
  ・対策は何のために?
  ・人びとの信頼を高めるための工夫
  ・リスク認知の主観性
  ・科学的なリスク評価の先にあるもの
  ・知識の啓発だけで問題は解決できるか
  ・リスクが受け入れられる時
  ・医療での放射線利用とリスク・コミュニケーション
 18.臨界事故における健康リスクと,JCO臨界事故におけるリスク・コミュニケーションの問題点(前川和彦)
  ・臨界事故の健康リスク
  ・医療面からみたJCO臨界事故の概要
  ・JCO臨界事故におけるリスク・コミュニケーション
  ・こうした経験は福島第一原発事故に生かされているか
環境放射線(食物も含む)
 19.食品の放射能汚染とリスク・コミュニケーション(唐木英明)
  ・食品の汚染と風評被害
  ・食品の放射線基準
  ・放射能の恐怖
 20.福島原発事故の環境生物への影響(酒井一夫)
  ・ヒト以外の生物種の防護
  ・影響評価と誘導考慮参考レベル
  ・標準動植物
  ・福島の事例における線量評価
  ・線量の評価
 21.農耕地の汚染と農産物への影響(村松康行)
  ・環境中に放出された放射性核種
  ・土壌の汚染とその広がり
  ・農作物への移行経路:水稲への移行を中心に
  ・葉や樹皮からの転流の重要性(新茶,果物)
  ・森林におけるキノコや山菜への移行
  ・129Iを用いた原発事故由来の131Iの推定

 サイドメモ目次
  福島“県民健康管理調査”
  DNA二本鎖切断修復
  線量推定システム
  リスク・コミュニケーション
  リスクコミュニケーションとクライシスコミュニケーション
  Bq(ベクレル)
  Grice(グライス)の会話の原則(maxims of conversation)
  注意深い取組み(precautionary approach)