やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

座談会
 システム生物医学―新しいポストゲノム医学の誕生(児玉龍彦×北野宏明×土居洋文×井原茂男)
  ・ゲノムからシステムへ
  ・「発生」という問題
  ・「増殖」という問題
  ・「適応」と「進化」という問題
  ・ミクロからマクロへの課題
  ・インタラクトーム―蛋白質相互作用
  ・システム生物学の世界―文化論的背景
Introduction
 エピゲノム解析からシステムズバイオロジーに向かう21世紀の医療―序にかえて(児玉龍彦)
  ・ゲノム解読からの4つの波とシステム生物医学の誕生
  ・エピゲノム科学とエピゲノム創薬
  ・エピジェネティック・スイッチを解き明かすシステム生物学
第1章 システム生物医学の理論
 1.生物学的ロバストネスとゲノムワイドネットワーク解析(北野宏明)
  ・ロバストネスとはなにか
  ・生物学的ネットワークの大域構造
  ・進化可能でロバストなシステムのアーキテクチュア
  ・モジュールのロバストネス
  ・アーキテクチュア
  ・ロバストネスと脆弱性のトレードオフ
 2.概日時計発振機構の分子メカニズムを再考する(中嶋正人・上田泰己)
  ・哺乳類概日時計の構成要素とシステムの同定
  ・転写・翻訳系に依存しない概日時計システム
  ・哺乳類概日時計分子モデル再考
  ・哺乳類概日時計をつくる
 3.短周期発現リズムを刻む遺伝子(影山龍一郎)
  ・分節時計
  ・細胞時計
  ・分節時計と細胞時計
  ・その他の短周期リズムを刻む遺伝子
 4.インタラクトームネットワーク解析(井原茂男)
  ・文献情報処理システムによる相互作用解析
  ・インタラクトームからのマイクロアレイ解析
第2章 システム生物医学のための方法論
 5.ターゲテドプロテオミクス―高親和性抗体を用いた蛋白質複合体解析法(浜窪隆雄)
  ・プロテオミクスの問題点
  ・蛋白質複合体解析
  ・プロテオミクスの手法
  ・バイオマーカー探索
  ・免疫アフィニティーによるターゲテドプロテオミクス
 6.エピゲノミクス―転写レギュローム(金田篤志)
  ・DNAメチル化とヒストン修飾
  ・DNAメチル化情報のマッピング
  ・ChIP-chip法,ChIP-seq法によるエピゲノム情報マッピング
  ・高速シークエンサーによるDNAメチル化解析─Shotgun Bisulfite Sequencing
  ・空間的なゲノム構造
 7.蛋白質の時空間情報―シミュレーション構築のための必須パラメータを求めて(松田道行・青木一洋)
  ・バーチャル空間で癌細胞を再現するために必要とされるもの
  ・蛋白質定量法
  ・蛋白質の局在・濃度
  ・蛋白質の相互作用
  ・螢光共鳴エネルギー移動を利用した蛋白質の活性測定法
  ・実測したパラメータに基づくモデルの構築
 8.多様な脂質結合ドメインによるシグナルの空間制御―ホスホイノシタイドによるシグナル制御(竹縄忠臣)
  ・生理活性脂質の分類と機能
  ・脂質結合ドメイン
  ・PI(4,5)P2は細胞膜に存在し,結合蛋白質を細胞膜へリクルートする
  ・PI(3,4,5)P3とPI(3,4)P2はシグナルスイッチとして働く
  ・PI(4)P,PI(3)PとPI(3,5)P2は細胞内小器官膜に存在し膜輸送に関与する
  ・ホスフォイノシタイドはエンドサイトーシスや膜のチューブ状化に関与する
  ・ホスフォイノシタイド結合ドメインの解析と応用
第3章 疾患のシステム生物医学
 9.自然免疫―システム生物学的アプローチの果たしうる役割(熊谷雄太郎・竹内 理・審良静男)
  ・TLR,リガンド,アダプター分子
  ・細胞質内の受容体群
  ・シグナルの特異性
  ・システム生物学的アプローチの現状
 10.Alzheimer病―システム生物医学によるアプローチ(富田泰輔・岩坪 威)
  ・Aβ産生とAlzheimer病発症
  ・アミロイド仮説に基づくAlzheimer病治療戦略
  ・Alzheimer病治療薬開発におけるバイオマーカーの確立
 11.高血圧関連遺伝子の生活習慣病における重要性(高橋信行)
  ・高血圧原因遺伝子同定におけるマウスモデルの必要性
  ・マウスモデルで予想外の結果が得られたときのコンピュータシミュレーションを用いたアプローチ
  ・アンジオテンシン変換酵素(ACE)の糖尿病性腎症における役割
 12.網羅的解析から読み解く破骨細胞および骨芽細胞分化の分子基盤(西川恵三・高柳 広)
  ・破骨細胞分化の鍵となるRANKL-RANKシグナルシステム
  ・RANKシグナルを統合する転写因子NFATc1
  ・骨芽細胞における転写因子NFATの役割
  ・おわりに―網羅的なトランスクリプトーム情報を用いた今後の展望
 13.血管内皮細胞活性化のシステム的解析―VEGF,トロンビン刺激のフィードバック因子DSCR-1による抗炎症・抗血管新生作用(南 敬)
  ・VEGF,トロンビン,TNF-α signalを介した網羅的遺伝子発現プロファイル比較
  ・血管内皮細胞におけるDSCR-1発現制御機構
  ・DSCR-1構成的発現による内皮細胞の増殖,血管新生能の阻害
  ・DSCR-1安定発現による活性化血管内皮細胞の遺伝子変動の網羅的プロファイル
  ・DSCR-1構成的発現による活性化内皮細胞の単球接着能の阻害
 14.生活習慣病のシステム生物医学によるアプローチ―転写因子SREBPと核内受容体PPARによる代謝制御機構(酒井寿郎・田中十志也)
  ・転写因子sterol regulatory element binding protein(SREBP)
  ・SREBPの“コレステロール応答性 2 段階 SREBP切断機構”
  ・スタチン(HMG CoA還元酵素阻害剤)による血中コレステロール低下作用の機序
  ・メタボリックシンドローム発症機構
  ・“同化作用(anabolism)”を誘導する転写因子SREBP-1cとメタボリックシンドローム
  ・PPAR(peroxisome proliferator-activated receptor:PPAR)
  ・核内レセプター PPARの発見の歴史
  ・PPARの構造と転写活性化のメカニズム
  ・PPARのサブタイプ
  ・PPARのリガンド
  ・PPARαと脂質代謝
  ・フィブラートによる血中トリグリセリド降下作用の機序
  ・PPARαと抗炎症効果および粥状動脈硬化巣形成への影
  ・PPARγ:脂肪分化を誘発する核内レセプター
  ・脂肪細胞分化およびグリタゾンとインスリン抵抗性
  ・PPARδ異化作用を亢進させる脂肪燃焼センサー─栄養成分の燃焼によるあらたな生活習慣病への治療展望
  ・骨格筋細胞でのPPARδ標的遺伝子の解析
  ・PPARδアゴニストによるメタボリック症候群改善作用
  ・PPARδの生理的役割
  ・PPARδの遺伝子改変マウス
  ・心筋における PPARδの役割
 15.発癌に関与するパスウェイと転写因子ネットワーク(白石哲也)
  ・発癌に関与するパスウェイ
  ・転写因子ネットワーク

 ・サイドメモ目次
  Leon Lederman
  螢光共鳴エネルギー移動(FRET)
  クラスリン依存性エンドサイトーシス
  膜変形と膜局率形成
  DSCR-1の機能
  ネットワークの構造