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日本リハビリテーション栄養学会誌の創刊に寄せて
 今回,日本リハビリテーション(以下リハ)栄養研究会を学会化・法人化して日本リハ栄養学会とするにあたり,学会誌「リハビリテーション栄養」を創刊した.日本リハ栄養学会の目的は,リハ栄養全般に関する会員相互および内外の関連学術団体との研究連絡,知識の交換,提携の場となることを通して,リハ栄養学の進歩普及に貢献するための事業を行い,学術文化の発展と医学および医療の向上に資することで障害者や高齢者の機能,活動,参加,QOLの向上に寄与することである.この目的を達成するための最も重要な事業は,学術集会の開催と質の高い学会誌の刊行である.
 当学会誌の特徴は,特集記事を充実させて雑誌かつ書籍として刊行することである.リハや栄養領域の学会誌では,特集記事がないもしくは8本以下の特集記事のことが多い.一方,当学会誌の特集記事は16本を基本とした.つまり,特集記事だけで1冊の書籍に相当する価値がある.また,日本リハ栄養学会員でなくても購読できるように,書籍として販売することにした.当面,年2回の発行予定である.雑誌かつ書籍という新しく難しい形に対応してくださった医歯薬出版株式会社の関係者に深謝する.
 学会誌には,学会員からの投稿論文が必要である.リハ栄養の領域を発展させるためには,リハ栄養研究の査読付き論文が欠かせない.今までリハ栄養の専門雑誌がなかったため,リハ栄養研究論文の投稿先はリハ雑誌,栄養雑誌,老年雑誌などに分散していた.しかし,リハ栄養の専門雑誌が創刊されたので,リハ栄養に関する総説,原著,症例報告,短報などは,当学会誌に投稿してほしい.
 リハ栄養学の進歩普及に貢献するためには,質の高い論文が求められる.そのため当学会誌では,研究デザインごとの報告ガイドラインのチェックリストについて,投稿時の添付を必須とした.たとえば観察研究ならSTROBE,症例報告ならCAREである.症例報告であれば執筆時にCAREを参照すればよいが,観察研究の場合,データ収集開始前にSTROBEを参照しながら研究デザインを作成して倫理審査委員会の承認を得ないと,質の高い論文にはならない.詳細は以下のホームページを参照してほしい(http://www.equator-network.org/).数多くの論文投稿を期待している.
 リハ栄養学の進歩普及には,日本リハ栄養学会の発展が重要である.従来の日本リハ栄養研究会は,入会条件にフェイスブックのアカウントをもっていることが含まれていて,フェイスブックが入会の壁となっていた.しかし,日本リハ栄養学会では,フェイスブックのアカウントがなくても入会可能とした.年会費を支払う会員には,当学会誌を送付する.リハ栄養に関心のある方は,ぜひ日本リハ栄養学会に入会して,リハ栄養学の進歩普及に貢献してほしい(https://sites.google.com/site/jsrhnt/home).
 2017年10月
 日本リハビリテーション栄養学会
 理事長 若林秀隆
特集 リハビリテーション栄養2.0─リハ栄養の新たな定義とリハ栄養ケアプロセス
 企画趣旨
なぜ栄養ケアマネジメントではなくリハビリテーション栄養ケアプロセスなのか
 (若林秀隆)
リハビリテーション栄養の新定義―リハビリテーション栄養とは何か
 (永野彩乃)
リハビリテーション栄養ケアプロセス
 (西岡心大)
リハビリテーション栄養アセスメント
 (古谷房枝)
リハビリテーション栄養と診断推論
 (前田圭介)
リハビリテーション栄養診断
 (1)栄養障害:低栄養・低栄養のリスク状態(吉村由梨)
 (2)栄養障害:過栄養・過栄養のリスク状態(塩濱奈保子)
 (3)栄養障害:栄養素の不足状態(園井みか)
 (4)栄養障害:栄養素の過剰状態(西岡心大)
 (5)サルコペニア(鈴木達郎)
 (6)栄養素摂取の過不足:栄養素の摂取不足・栄養素摂取不足の予測(上島順子)
 (7)栄養素摂取の過不足:栄養素の摂取過剰・栄養素摂取過剰の予測(小蔵要司)
リハビリテーション栄養ゴール設定
 (藤原 大)
リハビリテーション栄養介入
 (1)リハビリテーションからみた栄養管理(金久弥生)
 (2)栄養からみたリハビリテーション(森 隆志)
リハビリテーション栄養モニタリング
 (松尾晴代)

 日本リハビリテーション栄養学会誌の創刊に寄せて
 日本リハビリテーション栄養学会 入会のすすめ
 日本リハビリテーション栄養学会誌投稿規定
 次号予告