やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第5版改訂にあたって
 2007年を迎え,在宅看護論が看護基礎教育に組み込まれて10年が経過しました.地域看護学領域は法や制度がめまぐるしく変化するために,本書は増刷するたびに内容を点検し,新しい情報を提供してきました.本書は新しいデータの記載が特徴にもなっており評価もいただいておりますので,著者の先生方にはご負担をおかけしていますが,社会の変動に遅れない,在宅看護の今後の方向性を考えられる内容を継続していきたいと思います.
 第5版の改訂では,2006年の介護保険制度改正実施に伴い,内容を一新しました.また,2000年に介護保険制度が開始されてから,住民へのサービスに地域の特性が少なくなってきたため,各地域の社会資源の特徴を削除しました.学生が在宅看護論を学ぶために必要なもののみにスリム化を図りましたので,本書にある内容はしっかり学習していただきたいと思います.
 本書をご利用いただいている教育機関の教員の方から,本書に対するご意見を直接うかがう機会がしばしばございます.継続してご利用いただき大変ありがたく,テキストへの要望も直接うかがうことで参考になります.しかし,お会いできる方は限りがありますので,テキストへのご意見や改善点を出版社に直接送っていただけますと,次回の増刷や増補のときに修正できますので,ご協力をよろしくお願いいたします.教育は教授する者,学習する者の参加で行われます.テキストも利用される教員の方,学生のみなさまのご意見が反映された内容になるように努力していきたいと存じます.
 2006年11月
 木下由美子

第4版改訂にあたって
 1997年に初版が出版されてから6年が経過しました.2000年に介護保険制度が施行されて,在宅で療養する人々に大きな影響を与えたと同時に,看護する者にとっても大変目まぐるしく,また,「介護」と比較しながら「看護」を考える年月でもありました.
 訪問看護をもっと利用したくても看護師の人数が少ないから希望どおりの訪問がしてもらえない,あるいは,訪問看護を依頼したが医療処置ができないと断られたなどのお話を聞くことがあります.看護を地域に広げる努力をしてきた私たちは非常に残念に思います.
 「在宅看護論」の授業,演習,実習を通して,在宅看護に興味をもち,地域で看護する看護職者が増えるように,そして,地域で生活する療養者および障害者や,そのご家族と一緒に看護を考えていくために,なんらかのお役に立ちたいと本書を出版しました.6年の経過を通して,あらためて出版した時の初心に戻り,今回の改訂に取り組みました.
 第4版の改訂では,『現代社会と在宅看護論』に在宅看護で学んでいただきたい内容を追加し,『地域で療養する人と社会資源』に「訪問看護ステーションの管理と経営」を加え,内容をわかりやすくしました.『基本的生活行動と訪問看護とのかかわり』にアセスメントの項目を,『在宅での医療処置』の章に病院から在宅へ移行する継続看護を追加し,その章の最後に「災害時の被災予防」を加えました.『ケアマネジメント』の章の公的介護保険に関しては2003年の新しい内容に変え,「介護支援専門員のサービス提供の実際」を追加しました.『在宅看護の変遷』の章に「在宅療養者の権利」の追加と「諸外国における在宅看護」も内容を刷新いたしました.
 そして,本書の特徴でもある,すっきりと見やすく,読みやすい内容はいままでどおりです.ボリュームを増やさないで内容を豊富にする努力をいたしましたがいかがでしょうか.本書をお読みいただき,率直なご意見を聞かせていただけることを願っております.
 2003年12月
 木下由美子

第3版改訂にあたって
 看護婦(士)課程のなかに新カリキュラムとして「在宅看護論」が誕生してから3年が経過し,ちょうど本年2000年の春には,本書で学習した卒業生を送り出したことになります.
 看護教育の場においては,その「在宅看護論」を学習した学生が実習を経験し,平成11年度の看護婦(士)国家試験を受けたことで,授業や演習の目標が考えやすくなったものと思われますが,1997年に出版された本書をテキストとして使用してくださった方々が看護職として働いていることを思うとき,患者さんの退院後の生活を考えた看護を適切に行えているだろうかと,編著者として責任を感じるところです.
 この時期にあたって,幸い多くの方々に活用していただいている本書の内容を,在宅看護の本来の姿にさらに近づけることを願って,改訂第3版として内容の刷新を図りました.
 今回の改訂では,在宅看護にとって欠かせない継続看護の視点を強調するとともに,前回の増補時に加えた公的介護保険制度の実施後の問題をはじめ,近年の在宅看護にかかわる大きな動きに沿って全編を見直し,ページ数が許す限り追加・修正を行いました.さらに,介護保険制度における訪問看護と介護保険施設などについて加えると同時に,「地域における社会資源の特徴」では,地域数を増やして最新の資料に沿った各地域の特徴の紹介に努めました.
 在宅では生活と健康問題をマッチさせ,療養者の意思や希望を尊重しながら看護を考えていかなければなりません.在宅看護,医療機関から地域へ継続する看護の一層の充実のために本書がお役に立てることを願いつつ,読者の皆様からのご意見,ご批判を賜りたいと存じます.
 2000年11月
 木下由美子

序文
 平成9年度より「在宅看護論」が新しく看護婦課程のカリキュラムに加えられることになりました.その背景には,健康に問題のある高齢者の増加や,医療施設への入院よりも生活の場である在宅で過ごしたいという療養者の希望があるなど,これまでおもに医療機関で行われていた看護が,療養者の自宅で行われるようになり,看護を提供する場が変化してきたことがあげられます.看護を学び,将来は医療機関で働こうと考えている人たちにとっては,働く場所が増えたと考えてよいでしょう.
 しかし,在宅では医療機関のような医療設備は整っていません.また,“医療職は自分ひとりしかいない”という環境で,どのような看護をすればよいのかわからず,不安を抱くこともあるでしょう.そこで,在宅看護について一緒に考えていくために,このテキストを出版することになりました.
 本書の特徴は,在宅看護を初めて経験する人に「在宅看護は責任は重いが,看護を楽しく進めることができて,やりがいがある」と感じていただけるように構成しました.各章の節ごとに,学習のねらいとキーワードを設けて,そこでは具体的に何を学ぶべきかをわかりやすくしました.在宅看護での留意点については,ワンポイントアドバイスで紹介しています.若い人たちにはちょっと苦手な「訪問時の在宅のマナー」も,実習前に読むときっと役に立つはずです.また,学内演習を必要とするところは演習の欄を設けました.
 地域看護の分野では,平成9年度に地域保健法が施行となり,平成12年を目標に公的介護保険制度の準備が進行中です,本書には,この分野の現段階での新しい情報が網羅されています.公的介護保険が制度化された段階ではさらに改訂が必要となるでしょう.
 なお,本書の執筆者は教育および在宅看護の分野で活躍されている方々であり,また,これからの在宅看護を担う世代の方にもご協力をいただきました.本書が多くの方のお目にとまり,教科書としてご採用いただけることを心より念願いたしております.本書をお読みいただきましたご感想など,忌憚のないご意見,ご批判をいただければ幸いでございます.
 1996年12月吉日
 木下由美子

第2版増補にあたって
 平成12年4月に公的介護保険制度が開始されるにあたり,地域看護学の一分野である在宅看護論においても変化をともなうことから,次のような点を中心に本書の増補を行いました.すなわち,公的介護保険制度をわかりやすく解説し最新の情報を追加しました.さらに,公的介護保険制度と在宅看護論の中では最も関連する訪問看護,その看護を実践する訪問看護ステーションについて最近の動向を反映させて内容充実を図りました.
 今後とも新しい情報・動向を視野に入れながら,在宅看護論の基礎づくりを考えていきたいと思います.
 2000年1月
 木下由美子
1 在宅で看護するということ
 1 現代社会と在宅看護論(木下由美子)
  1 在宅ケアを取り巻く最近の変化
   1)医療・福祉・保健の変化
    人口構成の変化 医療の変化 福祉の変化 保健の変化
   2)家族の変化
   3)在宅の選択
  2 地域看護と在宅看護
    公衆衛生看護学から地域看護学への改正 地域看護学とは 在宅看護の位置づけ 在宅看護の対象 在宅看護の学習が必要な職場
  3 在宅看護の目的と特性,そして学び
   1)在宅看護の目的
    地域で生活し療養する人の援助
   2)在宅看護の特性
    在宅(訪問)看護と医療機関内(病棟)看護の比較 療養者が自己決定したことへの援助 ケアマネジメントの能力 単独の看護判断に伴う責任 効果的な施設利用への援助 医療機関と同レベルの看護と応用的なケア
   3)在宅看護での学び
    共に築く看護 生活を支える看護 保健・医療・福祉職との協働と支援 責任がとれる看護 選ばれる看護
 2 地域で療養する人と社会資源(木村恵子)
  1 地域で生活する人・療養する人
   1)健康レベルからみた対象者の特性
    健康レベルによるケアの段階
   2)個人の特性からみた対象者の特性
    年齢 役割 家族のライフサイクル
   3)地域の特性
    地域の生活習慣・生活信条への理解
  2 地域で療養する人を支える保健・医療・福祉
   1)社会資源とはなにか
    社会資源とは 供給主体からみた社会資源の分類 サービスの内容や特徴からみた社会資源の分類 サービスの機能からみた社会資源の分類
   2)社会資源を活用するプロセス
    社会資源を活用するために 介護保険法における社会資源活用のプロセス 障害者自立支援法制定までの経緯 障害者自立支援法の特徴 障害者自立支援法における支援システム 障害者自立支援法における社会資源活用のプロセス 社会資源活用と看護職の役割
   3)地域で療養する人を支えるサービス
    地域包括支援センター 訪問介護(ホームヘルプ) 訪問入浴サービス 訪問リハビリテーション 通所介護(デイサービス) 通所リハビリテーション(デイケア) 療養通所介護 短期入所介護(ショートステイ) 認知症対応型共同生活(グループホーム)における介護 シルバーサービス(民間企業による介護サービス)
  3 地域で療養する人を支える専門職と連携
   1)地域で療養する人を支える専門職とその役割
   2)他職種との連携方法
    チームケアの構造 連携するうえで重要なこと
   3)他職種との連携の実際
    事例:介護保険制度を利用して半年が経過した高齢女性 本人・家族の希望と総合的な援助の方針 援助内容 訪問看護師とホームヘルパーとの連携 訪問看護師と作業療法士との連携 本事例における連携の効果
  4 地域で療養する人を支える居住環境・日常生活用具
   1)居住環境を整えるための住宅改修
    適切な居住環境のためのアセスメント 住宅改修のポイント
   2)日常生活用具のいろいろ
    生活の自立度を上げるための用具の活用 適切な用具の選択
 3 地域で療養する人を支える訪問指導と訪問看護
  1 訪問指導および訪問看護実施機関(木村恵子)
   1)行政が行う訪問指導
    潜在的なニーズに対応する 保健所 市町村
   2)医療機関(病院・診療所)が行う訪問看護
    在宅療養への移行を支える
   3)訪問看護ステーションが行う訪問看護
    老人医療受給者を対象とした訪問看護 健康保険受給者を対象とした訪問看護 介護保険要介護認定者
   4)民間経営が行う訪問看護
    多様なニーズに対応する
  2 訪問看護ステーション( 1)〜 6)木村恵子, 7)野島あけみ)
   1)訪問看護ステーション創設の目的
    訪問看護ステーション創設の目的 期待される効果
   2)訪問看護ステーションの設置
    訪問看護ステーションの設置数 どこが開設主体となるか 訪問看護ステーションの実施形態
   3)訪問看護ステーションの従事者
    管理者および活動に従事する者 職種別にみた従事者数
   4)訪問看護サービスの流れと特徴
    訪問看護サービスの提供手順 複数の病院・診療所の医師との連携 他機関との連携
   5)訪問看護ステーションの利用者
    基本的属性 利用者の要介護度
   6)訪問看護サービスの内容
    サービスの内容 要介護度別にみた訪問看護サービスの内容 訪問回数と1回の滞在時間 今後必要性の増すサービスの内容
   7)訪問看護ステーションの管理と経営
    訪問看護ステーションの運営 管理者業務・役割 訪問看護ステーションの経営・管理 訪問看護ステーションの収益とは
  3 継続看護(1) 2)木下由美子, 3)木村恵子)
   1)退院計画
   2)継続看護
    (1) 医療機関側
    (2) 訪問看護側
   3)在宅から施設へ
    安心した在宅生活をすごすために 在宅から施設への看護の一貫性 継続看護の体制 継続看護のための看護師の役割
 4 在宅ケアと現代家族(齋藤泰子)
  1 在宅看護ではなぜ家族との関わりが重要となるのか
  2 家族の機能・役割・形態はどう変わったか
   1)家族とは-家族の形態の変化
    家族形態の分類とわが国の変化 縮小し高齢化が加速する家族 多様化する家族の姿
   2)家族の機能とその変化
    家族の機能
  3 家族のヘルスケア機能を考える
   1)家族生活と家族のヘルスケア機能
    看護が対象とする家族の機能 普段は意識されないが重要なヘルスケア機能
   2)介護者としての家族とヘルスケア機能
    介護の大変さを家族で分かち合う
   3)家族の中に病人がいるということ
    精神的なストレス 家庭生活への影響 家族の絆の強化
  4 「家族を理解するための諸理論」はどのように応用できるか
   家族を理解するための諸理論と看護への応用
    (1) 家族システム理論
     家族システム理論とは 家族システム理論の応用
    (2) 家族危機理論
     危機に関する家族の適応過程と家族危機の発生 予測できる危機と予測できない危機 家族危機理論の応用
    (3) 家族発達論
     家族周期の変化と段階別発達課題 家族発達論の応用
  5 家族看護過程(アセスメント〜看護診断・計画立案〜計画の実施〜評価)
    看護職に求められる家族看護の視点
   1)家族看護アセスメント
    事例 家族アセスメントの内容 家族の構造:家族の構成員一人ひとりに関して 家族の機能:コミュニケーションを中心に 家族アセスメントの際に考慮すべきこと
   2)家族看護診断
    援助ニーズを判断する
   3)家族看護計画を立てる
    目標を設定する 援助仮説を設定する
   4)家族援助の実際
    療養者を支える家族に働きかける 家族をとりまく環境とのパイプ役となる
   5)家族看護過程の評価
    家族の再生・自立を援助できたか
  6 家族看護-看護職に新たに求められる視点
   1)家族の健康管理
    支え手である家族成員の健康管理
   2)独居の生活自立困難者の看護
    独居高齢者の急増 社会・日常生活の自立度アセスメント 孤立させない社会資源の導入
   3)虐待をさせないための看護
    虐待の社会的認識が低いわが国 虐待の分類 わが国に特徴的な高齢者虐待の姿 虐待の予防と看護職にできること
2 地域で療養する人の理解
 地域で療養する人にみられるおもな疾患・症状の特徴と在宅ケア
  1 在宅で療養する慢性疾患のある人へのケア(篠原柳子)
   事例1:陳旧性肺結核による呼吸不全で在宅酸素療法を行っている人へのケア アセスメント 看護診断 看護目標 看護計画 評価
  2 在宅で療養する身体に障害がある人へのケア(宮崎歌代子)
   1)糖尿病網膜症による視覚障害
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導
   2)脳卒中後遺症
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導 事例2:脳梗塞後遺症(左不全麻痺,運動性失語,まだら認知症)の人へのケア 看護診断 看護目標 看護計画
  3 在宅で療養する難病のある人へのケア(遠藤信子)
   1)全身性エリテマトーデス(SLE)
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導
   2)パーキンソン病(PD)
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導
   3)筋萎縮性側索硬化症(ALS)
   疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導 事例3:筋萎縮性側索硬化症の人へのケア 看護診断 看護目標 看護計画 評価
  4 在宅で療養する悪性腫瘍のある人へのケア(篠原柳子)
    在宅看護の対象者として増え続ける悪性腫瘍療養者 病期の段階による主目標 家族への援助 症状コントロールの重要性
   1)悪性腫瘍
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導
   2)癌性疼痛のケア
    特徴 アセスメント ケア 教育・指導 事例4:甲状腺癌術後骨転移のある人へのケア(骨折で再入院するまでの期間) アセスメント 看護診断 看護目標 看護計画 評価
  5 在宅で療養する感染症のある人へのケア(宮崎歌代子)
   1)肺結核症
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導
   2)HIV感染症
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導
   3)MRSA感染症
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導 事例5:肺気腫・慢性呼吸不全でMRSAを保菌している人へのケア 看護診断 看護目標 看護計画
  6 在宅で療養する精神障害のある人へのケア(遠藤信子)
   1)統合失調症
    疾患の特徴 アセスメント ケア・教育・指導
   2)気分障害
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導
   3)神経症
    疾患の特徴 アセスメント ケア 教育・指導 事例6:統合失調症の人へのケア 看護診断 看護目標 看護計画 評価
  7 在宅で療養する認知症のある人へのケア(遠藤信子)
    認知症の特徴 認知症高齢者の心理 アセスメント 家庭介護の基本的な心構え ケアとケアの効果,留意点 介護者への支援 認知症の人と家族の会(国際名:日本アルツハイマー病協会)
  8 在宅で療養する終末期を迎えた人へのケア(宮崎歌代子)
    自分の家で死を迎えたい
   1)老いて死に逝く人
    特徴 アセスメント ケア 教育・指導
   2)癌(悪性新生物)で亡くなる人
    特徴 アセスメント ケア 教育・指導 事例7:癌の告知を受けケアチームのネットワークで在宅死を迎えられた人へのケア 看護診断 看護目標 看護計画
3 在宅看護の展開(在宅の特徴を踏まえて)
 1 在宅看護での看護過程の特徴(原 礼子)
    人間関係展開のプロセスと問題解決のプロセス
  看護過程の構成要素
    在宅看護の看護過程
   1)アセスメント
    情報の組み立てによる対象者の理解 情報収集における文化的影響 豊富で質のよい情報を得るには 何のために情報を集めるのか どのような情報を集めるのか どこから情報を集めるのか 情報収集にあたっての注意点 在宅看護における基礎情報項目とアセスメント項目 初回訪問の重要性
   2)看護診断
    何を優先してケアを提供していくか
   3)計画立案
    訪問看護の実践計画 計画立案にあたっての留意点
   4)実施
    計画の確認と修正 実施上の留意点
   5)評価
    評価の内容 効果的な評価を行うには 在宅看護の評価のもう1つの側面
   6)事例を通しての具体的な在宅看護の展開
    事例:外国暮らしで脊髄腫瘍と診断されて帰国したBさん 初回訪問:基本的情報・アセスメント 5回目の訪問:再アセスメント・計画修正
   7)記録
    在宅看護における記録の役割 記録にあたっての注意点 記録様式
   8)訪問看護の終結
 2 在宅看護・訪問時の面接技術(木下由美子)
  1 初回訪問の面接技術
   1)看護者を知ってもらう
    自己紹介 第一印象の重要性
   2)相手を知る
    情報収集 非言語的コミュニケーション 信頼関係の形成 信頼関係を形成するには 話に集中できる条件を整える
  2 面接の条件
   1)場の設定
    決定者は誰か 面接の場に多人数いる場合
   2)コミュニケーションの障害がある場合
    感覚器の障害 言語障害
 3 基本的生活行動と訪問看護とのかかわり(奥山則子・松村美枝子)
  1 食事
    「食べる」本人と「つくる」介護者を考えた援助 食品の入手と調理 アセスメント
   1)本人の食事への援助
    食事の評価は身体全体,生活全体から 事例1:肥満なのに食事のコントロールができない 事例2:脱水症の体験から決まった量の水分摂取へ 事例3:好物をきっかけに食欲を回復 食事は安全・安楽に 事例4:飲み込みの悪い子どもにとろみをつけた飲み物の工夫 生活機能の維持・発達を促す 事例5:ひ孫と一緒の食事
   2)介護者への援助
    負担を軽くするには 適切な食事内容 事例6:配食サービスの利用 家族と療養者との献立の工夫と楽しみ 事例7:泣いて催促されると甘いものを与えてしまう
  2 排泄
    援助を受ける気兼ねと介護者の負担 アセスメント
   1)自立のための排泄援助や用具の活用
    排泄環境の整備 障害や自立度に合った用具の選択 尿路感染症の予防 事例8:排泄用具の工夫でオムツかぶれが治る
   2)失禁への対応
    排泄間隔や失禁の種類の観察 オムツの選択と活用 排泄時のサインを見つける
   3)排泄のトラブル
    便秘と下痢 不潔行為を伴うトラブルへの対処
  3 清潔
   保健衛生と快適な生活への援助 アセスメント
   1)身体の清潔
    入浴のプラス要因とマイナス要因 入浴前後の観察と浴室の環境整備 湯の温度と体への影響 市販入浴剤への注意 入浴が無理な場合 事例9:浴室の改造で入浴できた 事例10:入浴用リフトの使用で自宅の風呂に入れた 事例11:お風呂の中の関節運動は痛くない
   2)頭髪,口腔その他の清潔
    身だしなみの援助 なぜ口腔ケアが必要か 障害者(児)への口腔ケア 事例12:出張散髪で散髪できた 事例13:口腔ケアの実施で食欲や体調が改善した
  4 寝具・寝衣・衣服・更衣
    アセスメント
   1)寝具
    寝具の選択と清潔への配慮 ベッドと布団の利点と布団利用時の工夫 ベッド選びのポイント 事例14:ベッドにしたら見える景色が変わった 掛け物の選び方と注意点 シーツの選び方と工夫 枕の選び方
   2)寝衣・衣服
    衣服の選択と購買への配慮 寝衣,肌着の選び方と工夫 事例15:車椅子生活者への巻きスカートの勧め
   3)更衣の援助
    更衣を援助するときの配慮と工夫
  5 睡眠
    不眠への理解と介護者の睡眠の確保 アセスメント
   1)安眠のための援助
    環境の整備 不眠予防の工夫 事例16:昼間の活動で夜眠れるようになった
   2)眠剤服用時の援助
    不眠の原因除去と服薬の指導
   3)介護者への援助
    介護者の睡眠確保への対策
  6 移動
    介護者への移動技術の指導 アセスメント
   1)体位変換
    体位変換時の良肢位の保持の工夫 移動のための工夫
   2)移動の援助と補助器具
    起き上がりと起立の援助 移乗 歩行の援助 事例17:介護リフトの使用で車椅子への移動が楽になった
   3)車椅子利用の援助
    機種の選択と作り替え 車椅子での外出 事例18:リクライニング型車椅子の利用で,座位保持ができなくても外出できた
   4)住宅改造
    在宅療養継続のための住宅改造 事例19:住宅改造で一人で行動できるようになった 災害時の備え
  7 リハビリテーションと生きがい
    リハビリテーションにおける看護者の役割 アセスメント
   1)リハビリテーションへの動機づけ
    リハビリテーションへの意欲を引き出すために 事例20:「死ぬ前にもう一度墓参りがしたい」とリハビリ訓練に励む 事例21:看護者の言葉かけで腰上げ訓練をするようになった
   2)継続のための援助
    無理なく楽しく続けられる工夫 事例22:好きなゲームで声が出せた 事例23:床のキャンディー拾いで屈伸運動 事例24:夫婦で通所サービスを利用
   3)介護者への援助
    療養者と介護者の関係と看護者のアプローチ 家族調整のためのアイデア提供 小児リハビリと家族への共感 事例25:過保護に育ったので何もできない
  8 服薬
    服薬管理の重要性 アセスメント
   1)服薬管理と指導
    服薬状況の把握 服薬目的と服薬方法の理解 療養者に対する内服の工夫と指導 薬の保管
   2)薬と副作用
    副作用の早期発見に対する本人と家族への指導 副作用にとくに注意が必要な薬 薬と食べ合わせ飲み合わせ 在宅訪問服薬管理指導 事例26:自分の薬を友人にすすめて冷や汗
 4 在宅での医療処置
  1 在宅医療処置のある患者の継続看護(野田京子)
   1)継続看護と指導料
    継続看護の必要性 情報不足が招く入院患者の不安 在宅医療と入退院時の指導料 訪問開始前に訪問看護師が調整すべきこと 診療報酬と衛生材料
   2)在宅医療処置のある患者の継続看護の実際
    事例:褥瘡処置と胃瘻,膀胱留置カテーテルがあり退院したAさん 訪問看護師から医療機関の看護師への連携
  2 医療処置の実際
   1)感染の予防と対応(鹿渡登史子)
    在宅医療処置の感染制御のポイント
   2)創や褥瘡の手当て(藤田智子)
    疾患 必要物品 手順 教育および指導上の注意
   3)人工肛門,人工膀胱(藤田智子)
    疾患 必要物品 手順 教育および指導上の注意
   4)間欠的自己導尿・膀胱留置カテーテル・膀胱洗浄(峯久美子)
    疾患 必要物品 手順 教育および指導上の注意
   5)経管栄養法(峯久美子)
    疾患 必要物品 手順 教育および指導上の注意
   6)中心静脈栄養法(藤田智子)
    疾患 必要物品 手順 教育および指導上の注意
   7)酸素療法(藤田智子)
    疾患 必要物品 手順 教育および指導上の注意
   8)気管カニューレ(峯久美子)
    疾患 必要物品 カフ付き気管カニューレ交換の手順 教育および指導上の注意
   9)人工呼吸療法(峯久美子)
    疾患 必要物品 人工呼吸器装着の手順 教育および指導上の注意
   10)CAPD(連続携行式腹膜透析)(藤田智子)
    疾患 必要物品 手順 教育および指導上の注意
   11)持続皮下注入法(鹿渡登史子)
    疾患 必要物品 手順:シリンジ注入ポンプ(持続注入器)を使用する場合 教育および指導上の注意
   12)緊急時の対応(鹿渡登史子)
    緊急状態 家庭の備え 手順 教育および指導
   13)死後の処置(鹿渡登史子)
    在宅死亡の特徴 必要物品 手順 看護のポイント
  3 災害時の被災予防(廣部すみえ)
   1)日頃の安全対策の点検と指導
    食料と水の確保 医薬品の入手方法のシステム化 防火設備の点検と防災用具の準備 ベッドの周囲の安全対策 避難方法の確認と家族との連絡方法の取り決め 医師および訪問看護師,ケアマネジャーへの連絡方法の明示 町内の福祉係や民生委員への連絡方法の確認 緊急通報装置の設置 災害時の訪問看護師の具体的行動フローシートの作成
   2)災害時の対応と訪問看護師の役割
    (1)急性期の対応(発災から3日間) (2)亜急性期(発災後3日〜3週程)の対応 (3)復旧・復興期(3週〜3年程)
4 ケアマネジメント
 1 ケアマネジメントの理解(白井京子)
  1)ケアマネジメントの必要性
   社会資源活用へのアプローチ 要援護者の抱える問題の複雑化・多様化 社会資源の多様化・専門分化 家族機能の低下 ケアの質の評価が求められている
  2)ケアマネジメントの定義
   要援護者の全面的生活支援システム 保健・医療・福祉の一体化 本来のケアマネジメントと公的介護保険制度における「ケアマネジメント」の違い
  3)ケアマネジメントの目標
   要援護者の自立とQOL向上への援助 要援護者の自己決定への働きかけ
 2 ケアマネジメントのプロセス(白井京子)
  1)入口(entry)
   要援護者を発見するには
  2)アセスメント
   何が問題か,どんなニーズをもっているか 生活全体のアセスメント 問題を把握するためのアセスメント アセスメントを効果的に行うには 「在宅ケアアセスメントマニュアル」
  3)計画
   ケア目標の設定とケア計画 その地域で入手可能な社会資源のチェック 要援護者が選択するための話し合い 社会資源
  4)実施
   手続き,ケアの供給,サービスの管理
  5)評価
   ケアが目標を達成しているか
  6)終結
 3 ケアマネジャー(白井京子)
  1)誰がケアマネジャーになるか
   保健・医療・福祉の専門家によるチーム
  2)ケアマネジメント機関
   ケア計画と実施の決定権を持つ機関
  3)ケアマネジャーの役割と資質
   ケアマネジャーの役割 ケアマネジャーの資質
 4 公的介護保険( 1)〜 5)白井京子, 6)7)三戸部由喜子)
  1)介護保険制度導入の背景とねらい
   背景 ねらい
  2)介護保険制度改革の背景とねらい
   背景 ねらい
  3)介護保険制度のしくみ
   保険給付の対象者 介護保険の財源 保険給付の内容 申請から介護保険のサービスを受けるまでの流れ 要介護認定の方法 要介護度別の在宅介護サービスの利用限度額
  4)介護支援専門員(ケアマネジャー)と訪問看護師との連携
  5)介護保険の現状の問題・課題
   地域格差の課題 経済的負担 定額制 訪問看護への影響 評価
  6)介護支援専門員
   居宅介護支援事業 介護支援専門員の意義 介護支援専門員の役割と機能 介護支援専門員の位置づけ 介護支援専門員の基本姿勢
  7)介護支援専門員のサービス提供の実際
   事例 ケアマネジャー訪問:情報収集 ケアプランの検討,作成 プランの評価,サービスの調整 ケア会議
5 在宅看護の変遷
 1 日本の在宅看護(沖 壽子)
  1 訪問看護の制度的成り立ち
   1)在宅看護の歴史
    在宅看護の芽生え 公衆衛生看護の発展 公共としての公衆衛生看護が開始 第二次大戦後の公衆衛生看護 在宅を支える多様な基盤 訪問看護制度が保健医療制度に 法律改正による訪問看護の拡大 看護婦3年課程に「在宅看護論」 介護保険法成立
   2)訪問看護と法律
    老人保健法と訪問看護制度 健康保険法と訪問看護制度 介護保険法と訪問看護 診療報酬と訪問看護 訪問看護と「保健師助産師看護師法」および「医師法」との関連
   3)今後の在宅看護に関連する制度的な動き
    保健所法から地域保健法へ 伝染病予防法が100年ぶりに改正 健康増進法の制定 「身体拘束ゼロ作戦」の推進 看護師の質向上のための検討 ALS患者の在宅療養の支援 個人情報保護法
  2 在宅療養者の権利
   1)人権の尊重と権利
    人権の尊重 すべての人々に健康を 患者の権利 ノーマリゼーション(normalization)
   2)在宅看護に求められる倫理 254 ――― 看護職の倫理規程 在宅看護に求められる看護職者の倫理とは
 2 諸外国における在宅看護(鳩野洋子)
    各国の在宅看護関連事項
   1)イギリス
    保健医療のシステムの現状と特徴 在宅看護の提供形態 在宅看護の提供者
   2)スウェーデン
    保健医療のシステムの現状と特徴 在宅看護の提供形態 在宅看護の提供者
   3)カナダ
    保健医療のシステムの現状と特徴 在宅看護の提供形態 在宅看護の提供者
   4)アメリカ
    保健医療システムの現状と特徴 在宅看護の提供形態 在宅看護の提供者
   5)オーストラリア
    保健医療のシステムの現状と特徴 在宅看護の提供形態 在宅看護の提供者
   6)アジア

 ●ワンポイント:糖尿病療養指導士とは 地域包括支援センター 新予防給付の内容 地域密着型サービス 療養通所介護
 ●ワンポイントアドバイス:社会資源利用に対する偏見・抵抗感にどう対応する? 訪問看護はおもしろい 今日は何のために訪問するの? 訪問カバンには何が入っているの? 今日の訪問は来てよかった,来なくてもよかった 訪問滞在時間は短めに 洗濯物や洗い物は少なく 各家庭のやり方に合わせる 訪問の最後の一言 訪問から戻ったら
 ●ワンポイント「在宅でのマナー」:訪問時間の約束 訪問する前に 言葉づかい コートはどこで? 雨の日,雪の日の訪問 脱いだ靴はどこに? 訪問中のマナー あなたの座る場所は? お茶やお菓子を出されたときは? 手洗い ごみの始末
 ●参考文献・URL一覧
 ●索引