■はじめに
高齢者医療と介護保険の充実で,高齢者を取り巻く医療環境は,ひと昔前に比べて様変わりしました.要介護高齢者や障害者に対する取り組みも,チームアプローチの重要性が唱えられてきたことで,各職種の連携も図れるようになってきたように思います.
寝たきり患者や要介護者などに対する口腔ケアについては,以前より看護における質の指標でもあるといわれて久しいですが,いまだ,施設や病院によって格差があるのも事実です.これは,十分なチームアプローチがなされていなかったことも原因の1つではありますが,口腔ケアを清掃と位置づけてきたことや口腔ケアの知識や技術が職種間で共有されていなかったことにも問題があるようです.
近年の臨床研究では,口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防にも役立つことが認められてきており,介護予防にも取り入れようとする動きも出てきました.これは,口腔ケアが清掃効果だけでなく,食べる機能をはじめとした口の機能を改善して,嚥下機能や自浄作用もよくすることが理解されてきたことにもよるのでしょう.口腔は大脳皮質の感覚野や運動野においても大きな部分を占めており,その刺激が全身に及ぼす影響は大きいと考えられます.また,口から食べることで消化管が刺激され,消化管粘膜の改善で免疫機能も向上することも知られてきました.
一方,最近の厚生労働省の調査では,高齢者の約半数が口腔乾燥感を自覚しており,約3割ではいつも口腔乾燥感を自覚していることがわかりました.また,疾患やその薬物療法の副作用により口腔乾燥を生じることがしばしばあります.特に,要介護高齢者や寝たきり患者で口腔乾燥が生じると,食べる機能だけでなく話す機能も障害され,必要なコミュニケーション機能も発揮できず,乾燥感を訴えることすらできなくなります.
この食べる機能や話す機能などで,最も重要な位置を占めるのが唾液です.人は唾液をいつも飲み込んでいることで,嚥下のウォーミングアップをしています.唾液が減少したり,口が乾燥すると,この唾液嚥下の回数が極端に少なくなり,嚥下のウォーミングアップができないままに,食事をすることになります.そのために,誤嚥を生じることも少なくありません.
さらに,唾液減少や口腔乾燥があると,自浄作用の低下で口の動きも低下し口の中が汚れやすくなり,口腔そのものが細菌感染の温床にもなります.口腔は機能していることが大切であり,機能するための口腔環境を提供するのが口腔ケアといえます.
したがって,口腔ケアは,正常な口腔機能が発揮できる口腔環境を整えるためのツールであり,食べる機能,話す機能,笑う機能を維持するために不可欠なケアなのです.さらに,口腔機能低下を防止するリハビリテーションとしての役割もあります.特に何らかの要因で口を開けることができなくなった臥床患者さんにはもう一度大きく口を開けて笑ってほしい,そして自分の言葉で自分の気持ちを訴えてほしいといつも願っています.人工呼吸器や心電図モニターの監視も生命を維持していくためには大切な観察・援助技術ですが,口腔内のケアもその行為と同じくらい重要なケアです.その願いは,日々の看護業務や毎日の診察のなかで,どれくらい口腔内に眼を向けているかによって可能になるのではないでしょうか.
本書では,この口腔乾燥と口腔ケアの理解により,効果的な口腔ケアとリハビリテーションを臨床の現場で提供するために役立つ内容がまとめられています.口腔のケアやリハビリテーションを必要としている患者さんの役に立てれば光栄です.
最後になりましたが,本書の企画から関わっていただきました医歯薬出版編集部の担当者各位に厚く御礼申し上げます.また,お忙しいなか,執筆いただきました著者各位に深謝申し上げます.
2005年5月
編者 柿木 保明
山田 静子
高齢者医療と介護保険の充実で,高齢者を取り巻く医療環境は,ひと昔前に比べて様変わりしました.要介護高齢者や障害者に対する取り組みも,チームアプローチの重要性が唱えられてきたことで,各職種の連携も図れるようになってきたように思います.
寝たきり患者や要介護者などに対する口腔ケアについては,以前より看護における質の指標でもあるといわれて久しいですが,いまだ,施設や病院によって格差があるのも事実です.これは,十分なチームアプローチがなされていなかったことも原因の1つではありますが,口腔ケアを清掃と位置づけてきたことや口腔ケアの知識や技術が職種間で共有されていなかったことにも問題があるようです.
近年の臨床研究では,口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防にも役立つことが認められてきており,介護予防にも取り入れようとする動きも出てきました.これは,口腔ケアが清掃効果だけでなく,食べる機能をはじめとした口の機能を改善して,嚥下機能や自浄作用もよくすることが理解されてきたことにもよるのでしょう.口腔は大脳皮質の感覚野や運動野においても大きな部分を占めており,その刺激が全身に及ぼす影響は大きいと考えられます.また,口から食べることで消化管が刺激され,消化管粘膜の改善で免疫機能も向上することも知られてきました.
一方,最近の厚生労働省の調査では,高齢者の約半数が口腔乾燥感を自覚しており,約3割ではいつも口腔乾燥感を自覚していることがわかりました.また,疾患やその薬物療法の副作用により口腔乾燥を生じることがしばしばあります.特に,要介護高齢者や寝たきり患者で口腔乾燥が生じると,食べる機能だけでなく話す機能も障害され,必要なコミュニケーション機能も発揮できず,乾燥感を訴えることすらできなくなります.
この食べる機能や話す機能などで,最も重要な位置を占めるのが唾液です.人は唾液をいつも飲み込んでいることで,嚥下のウォーミングアップをしています.唾液が減少したり,口が乾燥すると,この唾液嚥下の回数が極端に少なくなり,嚥下のウォーミングアップができないままに,食事をすることになります.そのために,誤嚥を生じることも少なくありません.
さらに,唾液減少や口腔乾燥があると,自浄作用の低下で口の動きも低下し口の中が汚れやすくなり,口腔そのものが細菌感染の温床にもなります.口腔は機能していることが大切であり,機能するための口腔環境を提供するのが口腔ケアといえます.
したがって,口腔ケアは,正常な口腔機能が発揮できる口腔環境を整えるためのツールであり,食べる機能,話す機能,笑う機能を維持するために不可欠なケアなのです.さらに,口腔機能低下を防止するリハビリテーションとしての役割もあります.特に何らかの要因で口を開けることができなくなった臥床患者さんにはもう一度大きく口を開けて笑ってほしい,そして自分の言葉で自分の気持ちを訴えてほしいといつも願っています.人工呼吸器や心電図モニターの監視も生命を維持していくためには大切な観察・援助技術ですが,口腔内のケアもその行為と同じくらい重要なケアです.その願いは,日々の看護業務や毎日の診察のなかで,どれくらい口腔内に眼を向けているかによって可能になるのではないでしょうか.
本書では,この口腔乾燥と口腔ケアの理解により,効果的な口腔ケアとリハビリテーションを臨床の現場で提供するために役立つ内容がまとめられています.口腔のケアやリハビリテーションを必要としている患者さんの役に立てれば光栄です.
最後になりましたが,本書の企画から関わっていただきました医歯薬出版編集部の担当者各位に厚く御礼申し上げます.また,お忙しいなか,執筆いただきました著者各位に深謝申し上げます.
2005年5月
編者 柿木 保明
山田 静子
■総論
口腔乾燥とは
1 概要,頻度,自覚症状
1)口腔乾燥症の頻度
年齢別頻度/男女別頻度/生活環境との関連
2)自覚症状
2 口腔乾燥が注目されているわけ
3 口腔乾燥の主な原因
薬剤による副作用/口腔機能低下/放射線障害/体液の異常/全身性疾患/その他の疾患/口呼吸/部屋の乾燥
4 口腔乾燥症の関連因子と症状
1)関連因子の種類
2)刺激唾液量と安静時唾液量
3)唾液分泌と口腔乾燥症状
5 唾液分泌低下による口腔と全身の変化
■看護に役立つ基礎知識
1.唾液分泌のメカニズム(稲永)
1 自律神経の活動変化と唾液分泌
1)唾液は唾液腺によってつくられる
唾液腺の構造/唾液分泌/唾液の働き/唾液腺の神経支配/唾液核の神経細胞の活動調節
2)自律神経の活動が変化すると唾液量および組成は変化する
楽しい食事時の唾液/ストレスがあるときの唾液
3)刺激がないと唾液腺は萎縮する
2 体液量調節および電解質平衡と口腔乾燥
3 高齢者の生理的機能変化と唾液分泌
1)加齢による唾液腺の構造変化
2)加齢による体液調節系の変化と唾液分泌予備能力の減少
4 放射線障害による唾液分泌低下
2.唾液の成分・性状(小関)
1 口の機能を担う唾液
2 唾液の分泌と種類
3 唾液の成分
1)物理学的成分
無機成分(塩類)/唾液ムチン
2)生化学的成分
スタセリン・酸性プロリンリッチ糖タンパク(PRP)/ヒスチジンリッチタンパク(HRPs)/α-アミラーゼ/炭酸脱水素酸素
3)免疫学的成分
分泌型IgA(sIgA)/唾液ペリオキシダーゼ系/ラクトフェリン/リゾチーム/唾液アグルチニン/シスタチン/ヒスタチン
3.唾液と口臭(口臭の発生)(小関)
1 口臭とは
2 口臭の発生原因
3 口臭への唾液の影響
4 口臭の治療と予防法
4.口腔乾燥症の病態(中川・斎藤)
1 口腔乾燥症の原因
1)唾液分泌低下による口腔乾燥
2)保湿不良による口腔乾燥
口呼吸や口が開いた状態/夜間口腔乾燥
3)自覚的な乾燥感の訴え
口腔粘膜疾患/精神科的疾患による口腔乾燥症
2 唾液分泌低下の病理
1)体液,電解質の異常による唾液分泌低下
2)唾液腺の腺細胞障害による唾液分泌細胞数の減少
3)唾液腺に分泌刺激を与える神経への損傷による唾液分泌低下
4)神経と唾液腺細胞の間の伝達障害による唾液分泌低下
3 口腔乾燥症における粘膜の変化
1)口腔乾燥に特徴的な所見(乾燥,発赤,舌乳頭萎縮,口角びらん)
2)口腔乾燥症に関連する粘膜疾患
5.口渇を生じる生理的変化と全身疾患(中川・斎藤)
1 脱水
1)脱水とは
2)脱水の原因
3)脱水が問題となる理由
2 尿崩症
1)尿崩症とは
2)尿崩症の分類
中枢性尿崩症と腎性尿崩症/特発性尿崩症と続発性尿崩症
3)尿崩症が問題となる理由
口渇/脱水/心因性多飲症
3 透析
1)腎不全
2)慢性腎不全の経過
3)血液透析
4)血液透析が問題となる理由
口渇/唾液分泌低下
4 糖尿病
5 貧血
6.唾液腺細胞障害をきたす疾病(中川・斎藤)
1 シェーグレン症候群
1)シェーグレン症候群とは
2)シェーグレン症候群の診断
耳下腺造影法/口唇生検/唾液腺シンチグラフィー/血液検査
2 頭頸部放射線治療・唾液腺摘出手術による後遺症
3 慢性唾液腺炎
7.薬物による唾液分泌低下(##高##橋・友寄)
1 唾液分泌に影響のある薬剤の種類
2 薬剤の作用機序
抗うつ薬/抗不安薬,催眠薬,鎮静薬/抗精神病薬/鎮痙薬,抗コリン薬/抗パーキンソン薬/抗ヒスタミン薬/消化性潰瘍治療薬/血圧降下剤,利尿剤/透析液,高浸透圧の造影剤/副腎皮質ホルモン/筋弛緩薬/気管支拡張薬/散瞳・調節麻痺薬
3 薬物による唾液分泌低下への対応法
8.唾液低下による口腔環境の変化(秋房・西原)
1 細菌学的変化
1)う蝕病原性細菌
2)歯周病原性細菌
3)粘膜性疾患との関連
4)誤嚥性肺炎との関連
5)口腔内細菌について
2 舌苔内の細菌
3 真菌の変化
9.摂食・嚥下機能への影響(植田)
1 摂食・嚥下機能の区分と分類
2 摂食・嚥下障害における唾液に関連した異常所見
1)唾液分泌低下
2)口腔乾燥
3)流涎(唾液分泌亢進,唾液処理不良)
4)薬剤性唾液分泌障害
3 咀嚼期障害
1)食塊形成不良
2)味覚障害
4 口腔期障害
5 咽頭期障害
6 誤嚥性肺炎
7 言語機能への影響
10.唾液分泌低下と関連する口腔疾患(柿木)
1 根面う蝕
2 カンジダ症
3 舌痛症
4 口内炎・口腔内潰瘍
5 義歯不適合
6 舌粘膜の変化
7 そのほかの口腔所見
口腔乾燥感/唾液の粘稠感/口腔内灼熱感/味覚異常/食物摂取困難/嚥下障害/歯周炎/生活行動への影響
■臨床で必要な知識
1.唾液分泌と口腔乾燥の評価方法(柿木)
検査方法
1)問診・自覚症状
2)刺激唾液量
3)安静時唾液量
4)唾液湿潤度
5)口腔水分計
6)シェーグレン症候群の鑑別診断
7)唾液の物性検査
8)口腔機能障害
9)臨床診断基準
2.口腔観察と口腔ケアの評価方法(柿木)
1 口腔観察
1)痛み
2)腫れ
3)開口障害
4)口腔乾燥
5)口臭
6)味覚異常
7)リンパ節腫脹
8)粘膜の色調
2 口腔清掃と口腔ケアの評価
1)口腔ケアの程度
2)歯垢や歯石の評価
3)歯周炎の評価
4)唾液の評価
5)細菌学的評価
6)口腔機能
3.口腔環境の評価(小関)
1 う蝕活性度
微生物(細菌叢)の評価/宿主と歯の評価/飲食物(食餌)の評価/時間(環境)の評価
2 口臭の検査
官能試験/ガスクロマトグラフィによるVSC成分の測定/可搬型機器を用いた口臭測定
4.口腔機能の評価(植田)
1 嚥下機能の評価
1)ビデオX線造影検査
2)その他の装置診断
3)嚥下スクリーニング検査
2 咀嚼機能の評価
1)咀嚼評価表
2)咀嚼粉砕効率(咀嚼能力)検査法
3)咀嚼器官の評価
4)装置診断
5.口腔乾燥と唾液低下への対応(柿木)
1 原因療法
1)薬剤の副作用を除去・軽減
2)唾液分泌を促進する薬剤の使用
3)口腔機能障害に対する治療・リハビリテーション
4)水分補給
5)人工唾液
6)生活習慣や体質の改善
7)口呼吸への対応
8)嗜好品への対応
2 対症療法
1)口腔粘膜の保湿
2)口腔リハビリテーション
3 薬物治療
1)唾液分泌改善薬
2)漢方薬
唾液分泌低下/唾液分泌低下の関連症状/漢方薬の使用方法
3)その他の薬剤
4 口腔ケア
1)水分の使用
2)口腔粘膜の保湿
3)十分な清掃と自浄作用への効果
4)食前の口腔ケア
5)口腔機能障害への対応
6.口腔リハビリテーション(植田)
1 口腔体操(嚥下体操)
1)口唇訓練
2)舌訓練
3)頬ストレッチ
2 咀嚼訓練
3 振動刺激訓練
4 嚥下訓練
1)寒冷刺激法(thermal tactile stimulation)
2)咳訓練
3)流涎に対して
7.食事指導・生活指導(柿木)
1 食事機能の維持・改善
2 食事指導
3 嚥下訓練と食事形態
4 生活指導
■看護場面における対応
1.基本的ケアプラン:口腔乾燥患者の口腔ケアの実際(山田)
1 口腔乾燥のある患者をアセスメントするために必要な知識
2 口腔乾燥患者の看護計画
1)口腔ケアの目的
2)口腔ケアのポイント
3 口腔ケアの実際
2.事例別口腔ケアの展開
1 シェーグレン症候群(松野)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状と口腔乾燥の関連病態/検査/治療/予後/病期別(急性期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
2 心不全(皆川)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状/検査/治療/予後/病期別(急性期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔内不潔,口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
3 糖尿病(原田)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/症状/検査/治療/予後/病期別看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
4 全身性エリテマトーデス(岡本)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状/検査/治療/予後/病期別(急性期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔粘膜の変調に対しての視点)
アセスメント/看護計画
5 白血病(山田)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状/検査/治療/予後/病期別(急性期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
6 精神障害(北村)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状(事例による)/検査/治療/予後/病期別(回復期)看護のポイント
3)看護の展開(回復期)
アセスメント/看護計画
7 血液透析療法(近藤)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と種類/病態/症状/検査/予後/病期別(透析安定期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
8 放射線療法(石川)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義/治療/副作用/予後(5年生存率)/病期別(治療中)看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント /看護計画
3.セルフケア(在宅ケア)(近藤)
生活習慣の改善Q&A
よい生活習慣のためのポイント
4.口腔疾患に対応した食事の工夫(早川)
1 積極的に摂食する食品
2 食機能の低下時の対応
歯の喪失,義歯による咀嚼機能低下のある場合/唾液分泌量の低下時/嚥下障害(飲み込みにくい)がある場合
3 嚥下困難食のつくり方
1)調理方法の条件
2)ゼラチン,寒天,片栗粉,増粘剤の特徴と使用方法
ゼラチン/寒天/片栗粉または葛粉/増粘剤
4 脱水予防のための水分補給
健常人の標準的な水分出納
5 訓練開始食
6 疾患別による食事の工夫
白血病/糖尿病/全身性エリテマトーデス(SLE)/透析/シェーグレン症候群(SS)
5.口腔リハビリテーションの実際(植田)
1 意識障害における口腔乾燥の対応
2 舌機能不全患者における口腔乾燥の対応
3 舌運動不良患者における口腔乾燥の対応
4 唾液分泌亢進患者に対する口腔機能訓練
5 認知症患者における口腔乾燥の対応
6 味覚障害とリラクセーション
6.口腔ケア評価(山田)
1 口腔ケア評価の視点
2 口腔乾燥患者における口腔ケア評価の視点
1)第1段階
2)第2段階
3)第3段階
・トピックス(柿木,*秋房)
唾液の分泌と水分代謝の関連
誤嚥性肺炎について*
唾液と気管支粘膜,消化管分泌液
乾燥による舌粘膜や口腔粘膜の変化
睡眠薬長期服用の影響
唾液分泌と消化管機能の関連(便秘)
日常の食事(嚥下)と唾液分泌の関連
薬剤による唾液減少のメカニズム
唾液減少による口腔疾患の理解
カンジダ症,舌痛症,口内炎と唾液の関係
義歯と口腔乾燥
冷え性と唾液
口腔ケア:保湿の必要性
口腔乾燥とは
1 概要,頻度,自覚症状
1)口腔乾燥症の頻度
年齢別頻度/男女別頻度/生活環境との関連
2)自覚症状
2 口腔乾燥が注目されているわけ
3 口腔乾燥の主な原因
薬剤による副作用/口腔機能低下/放射線障害/体液の異常/全身性疾患/その他の疾患/口呼吸/部屋の乾燥
4 口腔乾燥症の関連因子と症状
1)関連因子の種類
2)刺激唾液量と安静時唾液量
3)唾液分泌と口腔乾燥症状
5 唾液分泌低下による口腔と全身の変化
■看護に役立つ基礎知識
1.唾液分泌のメカニズム(稲永)
1 自律神経の活動変化と唾液分泌
1)唾液は唾液腺によってつくられる
唾液腺の構造/唾液分泌/唾液の働き/唾液腺の神経支配/唾液核の神経細胞の活動調節
2)自律神経の活動が変化すると唾液量および組成は変化する
楽しい食事時の唾液/ストレスがあるときの唾液
3)刺激がないと唾液腺は萎縮する
2 体液量調節および電解質平衡と口腔乾燥
3 高齢者の生理的機能変化と唾液分泌
1)加齢による唾液腺の構造変化
2)加齢による体液調節系の変化と唾液分泌予備能力の減少
4 放射線障害による唾液分泌低下
2.唾液の成分・性状(小関)
1 口の機能を担う唾液
2 唾液の分泌と種類
3 唾液の成分
1)物理学的成分
無機成分(塩類)/唾液ムチン
2)生化学的成分
スタセリン・酸性プロリンリッチ糖タンパク(PRP)/ヒスチジンリッチタンパク(HRPs)/α-アミラーゼ/炭酸脱水素酸素
3)免疫学的成分
分泌型IgA(sIgA)/唾液ペリオキシダーゼ系/ラクトフェリン/リゾチーム/唾液アグルチニン/シスタチン/ヒスタチン
3.唾液と口臭(口臭の発生)(小関)
1 口臭とは
2 口臭の発生原因
3 口臭への唾液の影響
4 口臭の治療と予防法
4.口腔乾燥症の病態(中川・斎藤)
1 口腔乾燥症の原因
1)唾液分泌低下による口腔乾燥
2)保湿不良による口腔乾燥
口呼吸や口が開いた状態/夜間口腔乾燥
3)自覚的な乾燥感の訴え
口腔粘膜疾患/精神科的疾患による口腔乾燥症
2 唾液分泌低下の病理
1)体液,電解質の異常による唾液分泌低下
2)唾液腺の腺細胞障害による唾液分泌細胞数の減少
3)唾液腺に分泌刺激を与える神経への損傷による唾液分泌低下
4)神経と唾液腺細胞の間の伝達障害による唾液分泌低下
3 口腔乾燥症における粘膜の変化
1)口腔乾燥に特徴的な所見(乾燥,発赤,舌乳頭萎縮,口角びらん)
2)口腔乾燥症に関連する粘膜疾患
5.口渇を生じる生理的変化と全身疾患(中川・斎藤)
1 脱水
1)脱水とは
2)脱水の原因
3)脱水が問題となる理由
2 尿崩症
1)尿崩症とは
2)尿崩症の分類
中枢性尿崩症と腎性尿崩症/特発性尿崩症と続発性尿崩症
3)尿崩症が問題となる理由
口渇/脱水/心因性多飲症
3 透析
1)腎不全
2)慢性腎不全の経過
3)血液透析
4)血液透析が問題となる理由
口渇/唾液分泌低下
4 糖尿病
5 貧血
6.唾液腺細胞障害をきたす疾病(中川・斎藤)
1 シェーグレン症候群
1)シェーグレン症候群とは
2)シェーグレン症候群の診断
耳下腺造影法/口唇生検/唾液腺シンチグラフィー/血液検査
2 頭頸部放射線治療・唾液腺摘出手術による後遺症
3 慢性唾液腺炎
7.薬物による唾液分泌低下(##高##橋・友寄)
1 唾液分泌に影響のある薬剤の種類
2 薬剤の作用機序
抗うつ薬/抗不安薬,催眠薬,鎮静薬/抗精神病薬/鎮痙薬,抗コリン薬/抗パーキンソン薬/抗ヒスタミン薬/消化性潰瘍治療薬/血圧降下剤,利尿剤/透析液,高浸透圧の造影剤/副腎皮質ホルモン/筋弛緩薬/気管支拡張薬/散瞳・調節麻痺薬
3 薬物による唾液分泌低下への対応法
8.唾液低下による口腔環境の変化(秋房・西原)
1 細菌学的変化
1)う蝕病原性細菌
2)歯周病原性細菌
3)粘膜性疾患との関連
4)誤嚥性肺炎との関連
5)口腔内細菌について
2 舌苔内の細菌
3 真菌の変化
9.摂食・嚥下機能への影響(植田)
1 摂食・嚥下機能の区分と分類
2 摂食・嚥下障害における唾液に関連した異常所見
1)唾液分泌低下
2)口腔乾燥
3)流涎(唾液分泌亢進,唾液処理不良)
4)薬剤性唾液分泌障害
3 咀嚼期障害
1)食塊形成不良
2)味覚障害
4 口腔期障害
5 咽頭期障害
6 誤嚥性肺炎
7 言語機能への影響
10.唾液分泌低下と関連する口腔疾患(柿木)
1 根面う蝕
2 カンジダ症
3 舌痛症
4 口内炎・口腔内潰瘍
5 義歯不適合
6 舌粘膜の変化
7 そのほかの口腔所見
口腔乾燥感/唾液の粘稠感/口腔内灼熱感/味覚異常/食物摂取困難/嚥下障害/歯周炎/生活行動への影響
■臨床で必要な知識
1.唾液分泌と口腔乾燥の評価方法(柿木)
検査方法
1)問診・自覚症状
2)刺激唾液量
3)安静時唾液量
4)唾液湿潤度
5)口腔水分計
6)シェーグレン症候群の鑑別診断
7)唾液の物性検査
8)口腔機能障害
9)臨床診断基準
2.口腔観察と口腔ケアの評価方法(柿木)
1 口腔観察
1)痛み
2)腫れ
3)開口障害
4)口腔乾燥
5)口臭
6)味覚異常
7)リンパ節腫脹
8)粘膜の色調
2 口腔清掃と口腔ケアの評価
1)口腔ケアの程度
2)歯垢や歯石の評価
3)歯周炎の評価
4)唾液の評価
5)細菌学的評価
6)口腔機能
3.口腔環境の評価(小関)
1 う蝕活性度
微生物(細菌叢)の評価/宿主と歯の評価/飲食物(食餌)の評価/時間(環境)の評価
2 口臭の検査
官能試験/ガスクロマトグラフィによるVSC成分の測定/可搬型機器を用いた口臭測定
4.口腔機能の評価(植田)
1 嚥下機能の評価
1)ビデオX線造影検査
2)その他の装置診断
3)嚥下スクリーニング検査
2 咀嚼機能の評価
1)咀嚼評価表
2)咀嚼粉砕効率(咀嚼能力)検査法
3)咀嚼器官の評価
4)装置診断
5.口腔乾燥と唾液低下への対応(柿木)
1 原因療法
1)薬剤の副作用を除去・軽減
2)唾液分泌を促進する薬剤の使用
3)口腔機能障害に対する治療・リハビリテーション
4)水分補給
5)人工唾液
6)生活習慣や体質の改善
7)口呼吸への対応
8)嗜好品への対応
2 対症療法
1)口腔粘膜の保湿
2)口腔リハビリテーション
3 薬物治療
1)唾液分泌改善薬
2)漢方薬
唾液分泌低下/唾液分泌低下の関連症状/漢方薬の使用方法
3)その他の薬剤
4 口腔ケア
1)水分の使用
2)口腔粘膜の保湿
3)十分な清掃と自浄作用への効果
4)食前の口腔ケア
5)口腔機能障害への対応
6.口腔リハビリテーション(植田)
1 口腔体操(嚥下体操)
1)口唇訓練
2)舌訓練
3)頬ストレッチ
2 咀嚼訓練
3 振動刺激訓練
4 嚥下訓練
1)寒冷刺激法(thermal tactile stimulation)
2)咳訓練
3)流涎に対して
7.食事指導・生活指導(柿木)
1 食事機能の維持・改善
2 食事指導
3 嚥下訓練と食事形態
4 生活指導
■看護場面における対応
1.基本的ケアプラン:口腔乾燥患者の口腔ケアの実際(山田)
1 口腔乾燥のある患者をアセスメントするために必要な知識
2 口腔乾燥患者の看護計画
1)口腔ケアの目的
2)口腔ケアのポイント
3 口腔ケアの実際
2.事例別口腔ケアの展開
1 シェーグレン症候群(松野)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状と口腔乾燥の関連病態/検査/治療/予後/病期別(急性期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
2 心不全(皆川)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状/検査/治療/予後/病期別(急性期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔内不潔,口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
3 糖尿病(原田)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/症状/検査/治療/予後/病期別看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
4 全身性エリテマトーデス(岡本)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状/検査/治療/予後/病期別(急性期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔粘膜の変調に対しての視点)
アセスメント/看護計画
5 白血病(山田)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状/検査/治療/予後/病期別(急性期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
6 精神障害(北村)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と分類/病態/症状(事例による)/検査/治療/予後/病期別(回復期)看護のポイント
3)看護の展開(回復期)
アセスメント/看護計画
7 血液透析療法(近藤)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義と種類/病態/症状/検査/予後/病期別(透析安定期)看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント/看護計画
8 放射線療法(石川)
1)事例紹介
2)事例を理解するにあたっての基礎知識
定義/治療/副作用/予後(5年生存率)/病期別(治療中)看護のポイント
3)看護の展開(口腔乾燥に対しての視点)
アセスメント /看護計画
3.セルフケア(在宅ケア)(近藤)
生活習慣の改善Q&A
よい生活習慣のためのポイント
4.口腔疾患に対応した食事の工夫(早川)
1 積極的に摂食する食品
2 食機能の低下時の対応
歯の喪失,義歯による咀嚼機能低下のある場合/唾液分泌量の低下時/嚥下障害(飲み込みにくい)がある場合
3 嚥下困難食のつくり方
1)調理方法の条件
2)ゼラチン,寒天,片栗粉,増粘剤の特徴と使用方法
ゼラチン/寒天/片栗粉または葛粉/増粘剤
4 脱水予防のための水分補給
健常人の標準的な水分出納
5 訓練開始食
6 疾患別による食事の工夫
白血病/糖尿病/全身性エリテマトーデス(SLE)/透析/シェーグレン症候群(SS)
5.口腔リハビリテーションの実際(植田)
1 意識障害における口腔乾燥の対応
2 舌機能不全患者における口腔乾燥の対応
3 舌運動不良患者における口腔乾燥の対応
4 唾液分泌亢進患者に対する口腔機能訓練
5 認知症患者における口腔乾燥の対応
6 味覚障害とリラクセーション
6.口腔ケア評価(山田)
1 口腔ケア評価の視点
2 口腔乾燥患者における口腔ケア評価の視点
1)第1段階
2)第2段階
3)第3段階
・トピックス(柿木,*秋房)
唾液の分泌と水分代謝の関連
誤嚥性肺炎について*
唾液と気管支粘膜,消化管分泌液
乾燥による舌粘膜や口腔粘膜の変化
睡眠薬長期服用の影響
唾液分泌と消化管機能の関連(便秘)
日常の食事(嚥下)と唾液分泌の関連
薬剤による唾液減少のメカニズム
唾液減少による口腔疾患の理解
カンジダ症,舌痛症,口内炎と唾液の関係
義歯と口腔乾燥
冷え性と唾液
口腔ケア:保湿の必要性








