やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文

 医療に限らず,質が問われる時代です.一人座して十年一日の医療をしているようでは,医療の質の低下は免れえません.
 外来医療の質の向上をするためには,次の3つのステップが必要です.
 (1) 現状把握
 まず自らが行っている医療の現状を明らかにします.
 (2) 標準との比較
 その自分の医療が標準と一致しているかを検討します.標準としては,広く認められているガイドラインがあればそれを利用しますが,ガイドラインに相当するものがない場合は多くの同僚が採用している方法か,理論的に正しい,あるいは好ましいと思われるものを標準とします.
 (3) 変更
 現状と標準の間に相違があれば,自分の現状を標準に合うように変更します.
 この問題集は,読者の行う気管支喘息の医療について,現状把握と標準との比較が効率良く行えるように配慮しました.検定試験でもありませんし,合否があるわけでもありません.気楽に読み進めて下さい.
 ただし,医療の標準は時とともに変化します.この問題集を作成した頃はまだ経皮吸収型の塩酸ツロブテロール貼付剤は発売されていなかったためにそれについてはまったく触れていません.また文献として引用している喘息予防・管理ガイドラインも出版される前でした.原稿の作成から出版までのわずかな時間差だけでも状況が変化してしまうため,標準の認識に限界があることをご理解いただければ幸いです.
 外来診療の質の向上を検討する委員会
 委員長 崎山 弘
 日本外来小児科学会
 第二次外来診療の質の向上を検討する委員会
 <委員長>
 崎山 弘 東京都府中市
 <委員>
 永田紀四郎 青森県五所川原市
 三浦義孝 岩手県盛岡市
 藤木 栄 宮城県仙台市
 永井幸夫 宮城県仙台市
 鈴木 滋 福島県いわき市
 五十嵐正紘 栃木県河内郡
 原 朋邦 埼玉県所沢市
 峯 真人 埼玉県岩槻市
 新津直樹 山梨県甲府市
 岡本裕一 神奈川県大和市
 横田俊一郎 神奈川県小田原市
 藤後幸博 三重県松坂市
 神谷 齊 三重県津市
 山田至康 兵庫県神戸市
 熊谷直樹 兵庫県尼崎市
 岡藤輝夫 兵庫県姫路市
 西垣正憲 大阪府堺市
 森 茂 岡山県岡山市
 西岡敦子 香川県高松市
 井上哲志 愛媛県温泉郡
 向田隆通 愛媛県伊予郡
 徳丸 実 愛媛県松山市
 西野泰生 島根県松江市
 渡利 寛 島根県江津市
 及川 馨 島根県平田市
 片渕幸彦 福岡県大川市
 下村国寿 福岡県福岡市
 武谷 茂 福岡県久留米市
 岩元二郎 大分県大分市
 村上直樹 鹿児島県鹿児島市
 島田 康 熊本県天草郡
 編集協力 西藤成雄 滋賀県守山市
 はじめに

Q1.喘息発作
Q2.行政・疫学
Q3.患者家族の指導・教育
Q4.運動誘発喘息(EIA)
Q5.テオフィリンと他の薬剤の相互作用
Q6.経口キサンチン製剤
Q7.生活指導
Q8.あなたの医療機関ではどこまでやっていますか
Q9.アスピリン喘息
Q10.気管支喘息の病理
Q11.抗アレルギー薬・漢方治療
Q12.症例問題
Q13.診療のコツ・アイデア
Q14.喘息発作の合併症
Q15.喘息発作持続状態
Q16.MDIの使用法について
Q17.吸入ステロイド
Q18.DSCG
Q19.ピークフローメーター
Q20.ペットアレルギー
Q21.アレルギー検査
Q22.生活環境
Q23.環境整備
Q24.学校生活
Q25.予防接種
Q26.思春期の喘息死
Q27.喘息の保険診療

付録 患者満足度調査について
 おわりに