やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
難易度が高まる国家試験
 理学療法士・作業療法士国家試験の過去10年間の受験者状況を見ると,理学療法士は第30回受験者1,454名から第39回受験者4,289名の約3倍に,作業療法士は第30回受験者888名から第39回受験者3,469名の約3.9倍に増加しています.また国家試験合格率は10年間を平均すると,理学療法士96.48%,作業療法士91.95%とたいへん高い合格率を維持しています.しかし,わが国の超高齢社会の到来を背景に,政府の規制緩和政策によって,平成10年度以降,理学療法士・作業療法士の養成校が急増したため,国家試験受験者は今後さらに増加することが明らかです.厚生労働省は「養成校の規制緩和は行うが,国家試験では理学療法士・作業療法士の資質を問う」とはっきりと打ち出しており,今後国家試験の難易度が高くなることが予測されています.実際に2004年3月に実施された第39回の国家試験では,理学療法・作業療法の専門分野の実地問題(1番〜40番までの問題)で五者二択問題(「正しい〔誤っている〕ものを2つ選べ」)が4問ずつ出題されました.これは二択両方とも正解しなければ得点にはなりませんので,確かに難易度は上がっているわけです.厚生労働省はさらに「今後も五者複択問題を実地問題以外の専門分野や共通問題にも徐々に出題していく」と表明しています.
勉強しやすい受験参考書が必要
 このように難易度が高くなるといわれている国家試験に,養成校や大学で理学療法士・作業療法士を目指して学習している学生の皆さんに一人でも多く合格していただくために,「最もほしい,最も勉強しやすい」受験参考書兼問題集が必要だと考え,「基礎医学必修ポイント」「臨床医学必修ポイント」の作成に取りかかりました.
 本書の工夫した点と特長は次の通りです.
 (1)第29回から第39回までの国家試験の共通問題11回分(1,100問)を詳細に分析して科目・項目ごとに分類し,学習テーマを明確にした.
 (2)科目ごとに出題傾向と対策の要点を示した.
 (3)頻繁に出題される重要項目には一目でわかるように「重要」マークをつけた.
 (4)出題頻度を3段階に分け,問題ごとに出題頻度を色分けして示した.
 (5)項目・テーマごとに1ページ読み切りにした.
 (6)ページの上段に問題を配置し,下段には必修ポイントとして図や表を掲載し,受験生が最低限知っておくべき内容を絞り込んだ.
 (7)必修ポイントには覚えやすい「語呂合わせ講座」を設け,暗記しやすくした.
 (8)図表の中で暗記すべき内容はすべて赤字で示した.
 (9)問題の右側にチェックシートを設け,選択肢ごとに正誤(○×)と「解答」を記入できるようにした.
 (10)ページの最下段の解答シートに選択肢ごとの正誤(○×)と解答番号を示した.
 (11)知っておいた方がよい参考資料(例:小児科学の反射反応の月例図表,精神医学の統合失調症や感情障害の比較表など)をコンパクトにまとめて掲載した.
 (12)巻末に100問の自己評価テストを収録した.
短期間で効率的な受験勉強を
 国家試験を受験する受験生の皆さんは短い受験期間(たぶん11月頃から年度末の2月頃までの約3〜4カ月間)で,学内で学習したすべての内容(基礎医学,臨床医学,理学療法および作業療法の専門分野)を復習し直さなくてはなりません.できるだけ少ない時間で効率よく,しかも国家試験の内容に沿った深さまで学習するためには,よりよい受験参考書兼問題集が必要です.本書はまさにその受験参考書と問題集が一冊にまとまった最適書と確信しています.
 来る3月に行われる国家試験に向けて,受験生の皆さんが本書をしっかりと活用して有意義な学習ができることを願ってやみません.受験当日の最後の最後まであきらめずに本書と共にがんばり抜いてください.
 受験生の皆さんが無事に国家試験合格を勝ち取られることを祈ります.
・はじめに
・本書のページ構成
・合格のための学習テクニック
・出題傾向と対策の要点
◆解剖生理学1(植物機能)
 循環系
  脈管系
  心臓の構造
  バイタルサイン
  心臓の刺激伝導系
  血圧調節
  肺循環
  体液
  血液細胞
 消化と吸収
  消化酵素
  口腔内消化
  嚥下
  消化管の解剖
  胃の生理機能・蠕動運動
  消化液と吸収機能
  胃の運動と消化液
  肝臓と胆嚢
  肝臓の機能
  胆嚢と膵臓
 排泄
  腎臓の構成要素
  腎臓の位置と構造
  腎臓の生理機能
  膀胱の構造
  膀胱内圧
  排尿機構
  膀胱の神経支配と排尿の生理
  排尿中枢と神経因性膀胱
  前立腺の構造
  排便の生理
 呼吸
  呼吸器系の構造
  健常成人の呼吸量
  安静時呼吸
  呼吸運動と強制呼息
  CO2と換気
  呼吸中枢と呼吸の生理
  運動時の呼吸,湿性ラ音,頻呼吸
 代謝
  基礎代謝
  エネルギー代謝
  体温調節
  体温の上昇
  糖代謝
  骨代謝
  ビタミンと必須アミノ酸
 内分泌系
  器官とホルモン
  ホルモンの作用
 発生と組織
  細胞の基本構造
  細胞膜電位
  発生
  染色体
◆解剖生理学2(動物機能)
 中枢神経
  大脳の構造
  大脳皮質の機能局在
  大脳基底核
  大脳辺縁系
  大脳皮質の血管支配
  大脳皮質の機能
  脳波
  脳膜
  視床下部
  中脳
  延髄
  小脳
  中枢神経の構造(総合)
  脳室
  中枢神経の発生過程
  脊髄の構造
  伝導路かんたんチェックポイント
  上行伝導路
  下行伝導路
  上行路と下行路(総合)
  反射中枢
  排尿中枢
 末梢神経
  神経線維の構造
  神経線維の伝導
  神経伝達物質
  神経線維の種類(直径と伝導速度)
  ゴルジ腱器官とIb線維
  単シナプス反射
  脳神経とその働き
  (副交感神経を含んだ)脳神経
  自律神経(交感神経と副交感神経)
  表在感覚の神経支配
  腕神経叢
  仙骨神経叢
 筋
  筋原線維の構造
  運動単位と神経支配比
  赤筋と白筋
  筋収縮の生理
  筋紡錘
  ゴルジ腱器官
  神経筋接合部の興奮伝達
 感覚
  感覚受容器(表在・深部・特殊)
  視覚系の構造・機能
  視覚路と視覚中継核
  聴覚・平衡覚・耳の構造
  聴覚路
  皮膚の構造と爪
  特殊感覚(総合)
◆運動学
 骨
  骨の構造と解剖
  骨の分類
  頸椎の構造と運動
  骨盤の解剖
  体幹
  上肢
 関節
  関節の形状分類
  関節包
  滑膜性関節
  上肢
  手根管
  手の機能的肢位
  手の動きの特徴
  足部の関節(ショパール関節とリスフラン関節)
  膝関節
  膝関節(半月板)
  股関節運動の制限因子
  頸椎の回旋運動
  脊柱の靭帯
 筋
  運動単位
  筋の形状
  遠心性筋収縮
  肩甲骨に付着する筋
  肩甲骨の運動
  上肢骨(肩甲骨,鎖骨,靭帯,関節)の運動
  肩関節水平屈曲に作用する筋
  肩関節外旋に作用する筋
  上腕骨に付着する筋
  手指の運動に作用する筋,手内在筋
  手部の骨に付着する筋
  手関節掌屈に作用する筋
  前腕骨間膜に起始する筋
  肘・前腕・手部に作用する筋
  大転子に付着する筋
  骨盤に付着する筋
  股関節運動の制限因子
  スカルパ三角
  股関節の内旋に作用する筋
  二関節筋
  下腿外旋筋
  足のアーチに関与する筋
  足部骨に付着する筋
  足根管を通る筋・神経
  足関節運動に作用する筋
  咀嚼筋,表情筋
  前鋸筋,頸部回旋筋
  脊椎に付着する筋
  腰方形筋の作用
  各種の運動現象
 神経支配
  二重神経支配の筋
  上肢の筋の支配神経
  正中神経支配
  橈骨神経支配
  腕神経叢
  上肢の神経障害と手の変形
  腰神経叢
  脛骨神経支配の筋
  肩甲骨に付着する筋と支配神経
  呼吸筋・顔面筋
 正常歩行
  歩行時のモーメント
  歩行周期
  重心移動と関節角度
  歩行時(遊脚相)の活動筋
 バイオメカニクス
  てこ
  筋の反作用(リバースアクション)
  仕事と力学的エネルギー
  力学的エネルギーの計算
  運動の変数
 姿勢
  さまざまな肢位・立位姿勢
  立位姿勢の筋活動
 動作分析
  立ち上がり動作と座る動作
  さまざまな動作
 学習運動

 文献
 自己評価テスト
 自己評価テスト(チェックシート)
 自己評価テスト(解答シート)
 X(2)対策実力テスト
 索引
 付録
  「第43回PT・OT国試問題の概要」
  「出題傾向と対策の要点」(第43回)
  第43回PT・OT国家試験(共通問題 基礎医学)
  第42回PT・OT国家試験(共通問題 基礎医学)
  第41回PT・OT国家試験(共通問題 基礎医学)
  国家試験合格率(第30回〜第43回)