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257巻11号 2016年6月11日
腎臓発生学と再生医学への応用
はじめに
AYUMI 腎臓発生学と再生医学への応用 はじめに 西中村隆一
  腎不全の原因の第一位は糖尿病であり,人工透析を受ける患者数は増加の一途で,現在国内で31万人.医療費も年間1.5兆円と社会的コストも大きい.にもかかわらず腎不全の根治療法は存在せず,腎移植もドナー不足に悩まされている.腎臓をつくれればよいが,それはきわめて難しい.しかし,発生学および幹細胞学の発展によって,それがけっして夢物語ではないことが示されつつある.
 著者は20年前大学院を卒業した直後に腎臓発生研究を開始したが,それはサイエンスなのかと批判されるくらい,雲をつかむような話であった.カエルを使って遺伝子をとり,ノックアウトマウスをつくって腎臓が欠損することをみつけるのに5年.その遺伝子Sall1が発現する領域にネフロン前駆細胞が存在することを証明するのに5年.さらに8年かけてヒトiPS細胞から腎臓組織が誘導できたときの感動は,言葉で表現できるものではない.この間,他グループの進展もめざましく,腎臓を創ることは夢ではなく達成可能な目標になってきた.
 本特集では,試験管内での腎臓組織構築法の開発を皮切りに,動物内での臓器再生の試みや,今後の課題でもある腎臓間質・血管の発生機構,そしてミニ臓器による応用に至るまで,最新の成果を第一線の研究者の方々にまとめていただいた.遠くない将来に,人工透析を必要としない社会が実現することをめざしたいところである.しかし現時点で誘導できる腎臓は未熟であり,これを成熟させ機能をもたせなければならない.そのためには正常発生で何が起こっているのかを正確に理解する必要がある.臓器をつくるのは錬金術ではなく,iPS細胞に液性因子や化合物を振りかけるだけの研究に未来はない.あくまでも発生で何が起こっているかを見極めて,それを再生に適用するのが,結局は近道であるし,サイエンスとしてもおもしろい.だからこそ,本特集の表題は腎臓発生学からはじまっている.それを心にとめつつ,楽しんで読んでいただきたい.
目 次
ネフロン前駆細胞の試験管内誘導と増幅培養法の開発……谷川俊祐・西中村隆一 詳細
自己組織化を利用した腎臓オルガノイドの作成……里実 詳細
iPS細胞を用いた腎疾患に対する再生医療の展望……末田伸一・長船健二 詳細
動物体内でヒト臓器をつくる……松成ひとみ・長嶋比呂志 詳細
尿細管間質とエリスロポエチン産生細胞……鈴木教郎・山本雅之 詳細
臓器発生における血管-神経ネットワーク構築のしくみ……山崎智子・向山洋介 詳細
ヒト器官原基創出と臨床応用……武部貴則・谷口英樹 詳細
TOPICS
【遺伝・ゲノム学】
次世代シーケンシングによるHLA-omics解析……細道一善 
【免疫学】
エンハンサーによるIL-7レセプターの発現の制御……生田宏一・他 
【疫学】
喫煙と大動脈瘤・大動脈解離のリスク……多田村朋未・他 
注目の領域
高齢者介護における皮膚裂傷(skin tear)の現状と実態……大西山大・他 
速報
膀胱直腸障害に対するリハビリテーションの効果検討……山下惣平・他
250巻から70周年をつなぐ連載
29.プロスタグランジン受容体群の分子実体の発見とその後の研究展開……成宮周 
フォーラム
【パリから見えるこの世界】
45.作るのではなく,生まれいずるのを待つ,そしてネガティブ・ケイパビリティ再び……矢倉英隆 
書評
『医療者の心を贈るコミュニケーション――患者さんと一緒に歩きたい』(日下隼人 著)……赤木美智男 
フォーラム
【外国人にやさしい医療――言葉の壁をこえて】
6.医療通訳の現場から……岩本弥生 
学会レポート
3.Gender-Specific Medicine in Cardiovascular Disease -Up to Date-……瀧原圭子 
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腎臓発生学と再生医学への応用
257巻11号 2016年6月11日
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