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256巻7号 2016年2月13日
がん免疫療法のブレークスルー
はじめに
AYUMI がん免疫療法のブレークスルー はじめに 西村泰治
  悪性腫瘍に対する免疫療法は,腫瘍細胞の膜に発現する分子に対するヒト化モノクローナル抗体の受動免疫療法により大きく発展した.また,腫瘍関連抗原(tumor-associated antigens:TAAs)が種々の分子生物学的手法により同定され,TAAsの能動免疫がアジュバントや樹状細胞などを利用して試みられたが効果は限定的であった.その後,患者の腫瘍組織に浸潤するT細胞を体外で増やし,これを患者体内に戻す養子免疫療法が著効を示し,さらにTAA特異的細胞傷害性T細胞(CTL)が発現するT細胞レセプター遺伝子を,患者の末梢血T細胞に強制発現させ養子免疫する治療法が奏効を示した.  近年,活性化T細胞に免疫抑制を誘導する分子であるCTLA-4やPD-1/PD-L1に特異的なヒト化抗体を用いた免疫チェックポイント阻害療法(immune checkpoint blockade therapy:ICBT)が,進行がんに対して驚愕に値する効果を上げている.ICBTはとくに体細胞突然変異を多数有する種々の腫瘍で効果が強く,また腫瘍細胞のエキソーム解析が簡便迅速化されて,患者の腫瘍細胞に固有のミスセンス変異をもつネオ抗原(Neo TAA)が同定され,これらに特異的なT細胞の免疫応答の抑制解除がICBTの効果の要因と推測されている.さらに,Neo TAAペプチドでCTL/Th細胞を活性化する能動免疫療法,そのICBTとの併用の臨床試験が開始され注目を浴びている.腫瘍細胞に発現するHLA分子に結合するTAAペプチドを質量分析により同定し,これらを能動免疫する治療法も奏効し,また強力かつ安全に自然免疫系を活性化するアジュバントが開発され注目されている.  さらに,がん細胞の細胞膜抗原に反応する単鎖抗体を細胞外にもち,これにT細胞を活性化するCD3ζ鎖分子や副刺激分子の細胞質ドメインを融合させた,いわゆるChimeric antigen receptor(CAR)をコードする遺伝子を末梢ナイーヴT細胞に強制発現させ,これを養子免疫する治療法が難治性白血病で著効を示し,今後は固形腫瘍への応用が期待される.  このように免疫療法は悪性腫瘍の第4の治療法として着実に定着しつつある.今後は多様な免疫療法どうしの,さらに免疫療法と従来のがん治療法との併用による治療効果の飛躍的な向上が期待される.また個々の患者のがんや免疫応答性の個体差にも配慮し,治療の効果を判定および推測できるバイオマーカーの同定により,がん免疫療法を個別化することも重要な課題である.本特集ではこのような,がん免疫療法の最前線とその将来性について紹介する.
目 次
抑制性免疫補助受容体を標的としたがん免疫療法の基礎研究……岡崎拓・岡崎一美 詳細
免疫チェックポイント阻害療法の臨床研究――開発状況と副作用……北野滋久 詳細
TIL/TCR遺伝子導入T細胞の養子免疫療法……池田裕明 詳細
CAR遺伝子導入T細胞によるがん免疫細胞療法……玉田耕治 詳細
プライミングアジュバントの開発──副作用の少ない免疫療法の確立に向けて……瀬谷司・松本美佐子 詳細
がん抗原ワクチン療法の現状と展望……平山真敏・西村泰治 詳細
がん免疫療法の個別化のためのバイオマーカー……河上裕 詳細
TOPICS
【循環器内科学】
VDAC2による心筋ミトコンドリア機能と細胞死の制御……丹野雅也 
【糖尿病・内分泌代謝学】
ILC2が白色脂肪組織のベージュ化を促進する……角朝信・戸邉一之 
【腎臓内科学】
KLHL蛋白の血管・腎におけるアンジオテンシンIIシグナリングにおける役割……銭谷慕子・内田信一 
連載
【医学教育の現在――現状と課題】
4.基礎医学の教育・研究の過去,現状,課題……坂井建雄 
速報
ヒト心外膜脂肪組織に貯蔵されている酸化LDLおよびHDLの作用に関する研究……内田康美・他
フォーラム
聴覚障害のある女性が置かれている境遇を考える──ジェンダー視点からみた聴覚障害と統計……小林洋子・田宮菜奈子
【パリから見えるこの世界】
41.哲学的感情,あるいは世界の全体をどこに見るのか……矢倉英隆 
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がん免疫療法のブレークスルー
256巻7号 2016年2月13日
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