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256巻2号 2016年1月9日
早期慢性膵炎
はじめに
AYUMI 早期慢性膵炎 はじめに 下瀬川徹
  慢性膵炎はさまざまな原因による膵の慢性炎症であり,炎症の持続によって膵実質の脱落と線維増生が非可逆性に進展し,進行例では膵内外分泌不全に至る疾患と定義されてきた.この定義に基づく診断基準は,慢性膵炎の特徴である膵石形成や膵管の不整拡張,膵外分泌機能の高度な低下を診断の要件とし,したがって進行した慢性膵炎を診断する基準であった.
 近年,このような診断基準によって診断された慢性膵炎患者の長期予後が明らかとなり,一般人に比べて男性で約10歳,女性では約16歳も寿命が短く,膵癌の罹患率が10倍以上も高いことが明らかにされている.慢性膵炎患者の生命予後の改善のためには,従来の固定した疾患概念から離れ,早期診断による早期の治療介入を探求することが大切である.
 1996年,Whitcombらによって,遺伝性膵炎の原因遺伝子がカチオニックトリプシノーゲンの点変異によることが明らかにされ,慢性膵炎発症の分子機序が明らかとなりつつある.また,遺伝的背景を濃厚に有する患者群が追跡可能となり,早期病態に光が当てられるようになった.遺伝性膵炎から得られた知識は,慢性膵炎一般の病態を理解するためにも有用である.
 このような背景から,2009年にわが国から早期慢性膵炎の臨床診断基準がはじめて提案された.その解釈にはなお議論があるが,診断基準の提唱により早期患者群が絞り込まれ,全国調査によりわが国における早期慢性膵炎の患者数や年間の新規発症数が推定可能となった.また,早期慢性膵炎患者の予後を前向きに追跡調査することにより,その臨床経過や病態がしだいに明らかにされようとしている.これは,長年にわたりほとんど進歩のなかった慢性膵炎の診療におけるブレークスルーといえる.一方では,臨床診断基準提唱からすでに6年が経過し,早期慢性膵炎に関して課題を整理する時期にきている.本特集はまさに,そのようなよい機会を与えていただいたと感謝している.
目 次
慢性膵炎診療の現状と課題──早期慢性膵炎は慢性膵炎に進行するか……成瀬達 詳細
遺伝性膵炎から学ぶ慢性膵炎早期像……粂潔・他 詳細
早期慢性膵炎の提唱と診断基準……下瀬川徹 詳細
早期慢性膵炎の画像……藤澤真理子・入澤篤志 詳細
全国調査からみた早期慢性膵炎の実態……正宗淳・下瀬川徹 詳細
早期慢性膵炎の前向き予後調査……伊藤鉄英 詳細
慢性膵炎の発症と進展のリスク因子……清水京子 詳細
早期慢性膵炎の治療薬……阪上順一・片岡慶正 詳細
EUS-elastographyを用いた早期慢性膵炎診断……桑原崇通・他 詳細
5年間にわたる早期慢性膵炎前向き調査……正宗淳・下瀬川徹 詳細
TOPICS
【免疫学】
HLA分子の安定性と自己免疫疾患……宮寺浩子 
【循環器内科学】
左心耳の形態と血栓形成との関連性……山本昌良 
【疫学】
全国がん登録の開始と院内がん登録の新しい展開……金村政輝・辻一郎 
連載
【医学教育の現在――現状と課題】
3.国際基準に基づく医学教育分野別認証評価……奈良信雄 
フォーラム
【高齢者ケアの現状と課題】
4.皮膚裂傷の話……堤寛 
【パリから見えるこの世界】
40.デフォルト・モード・ネットワーク,あるいはぼんやりすることの意味……矢倉英隆 
書評
『院内事故調査 実践マニュアル』(中島 勧 監修/(公財)生存科学研究所医療政策研究会 編著)……中島和江 
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早期慢性膵炎
256巻2号 2016年1月9日
週刊(B5判,70頁)
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