第2版の序
栄養士も臨床検査の知識を持たなければならないと筆者が医歯薬出版の雑誌『臨床栄養』で提唱したのが,1975年であるから,かれこれ27年前のことになる.最近では管理栄養士諸氏がテレビで堂々と検査の話を交えて栄養指導をしているのを拝見すると隔世の感がある.当時は栄養士に臨床検査の知識など必要ないというのが,栄養士の大勢の考えであったようである.このような筆者の意図を汲んで作られた本書が長年に亘り,栄養士の学校教育に広く使用されていることは内容の充実と先進性を物語るものと本書の編者として自負している.また,筆者の考えに共感して出版を決意された医歯薬出版に感謝と敬意を表するものである.
今回の改訂にあたっては,とくに各方面から要望の強かった経腸栄養法,高カロリー輸液を増頁のうえ,内容の充実を図った.その他,臨床栄養の基盤となる病態生理にも重点を置き,疾病によりどのようなことが体内で起こり,それをどのようにすれば把握でき,治療,とくに栄養と結びつけられるのかが理解できるように記述されている.さらに,教育現場サイドからのご指摘のあった点についても極力筆を加えていただいた.本書がさらに永く栄養士学校教育に使用され,わが国の栄養士のレベルアップに貢献できることを念願している.今後とも教育者,学生,読者のご叱正をいただいて,一層の内容充実を図りたい所存である.
2002年4月
椎名晋一
初版の序
本書の前身である「最新臨床栄養学」を作るにあたって,病態把握に役立つと考えて,大胆にも臨床検査についての内容を多く盛り込んだ.それにより,従来の教科書にない斬新な本となって臨床栄養の知識を得るのに大いに役だったとの評価を得た.
それから15年を経て,教育の方針も変わったので,この際全面的に内容を見直すことになり,新たに「臨床栄養学」として登場することになった.
本書では全体を総論と各論に分けた.〈総論〉は病態生理,臨床検査,検査食,栄養法について述べた.また,〈各論〉は臓器の構造・生理に次いで,各種疾病について病因,症状,検査所見,治療を,それに次ぐ食事療法は基本方針,栄養基準・食品構成,食品の選択と献立,調理の要点,食事指導・生活指導などについて述べた.
本書は学生のもっとも関心のある管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)に完全準拠するよう編集に心がけた.とくに,疾患についてはその数と範囲が大幅に増加したので,個々の疾患について簡潔に要領よく記述するようにした.
これらの内容の充実をはかるため,医学担当の執筆者として多数の専門家にお願いした.また,栄養学担当の執筆者も新陣容としたので,期待に応える教科書を作ることができたと自負している.
最後に,なお著者らの気づかずにいる点について読者のご指摘をいただいて,内容を一層充実させ,斯界の教育に貢献したいと念願している.
1995年8月
補訂にあたって
「腎臓病食品交換表」(医歯薬出版発行)の改訂(第6版)にともない,腎臓病の食事療法について,一部訂正を加えた.
1997年1月
椎名晋一
初版の序
本書の前身の「最新臨床栄養学」が発刊されてから15年が過ぎた.この間,折にふれて手直しや改訂を行ってきたが,今回は全面的に目次,内容が見直された.栄養士養成に携わる著者らは,医師の臨床栄養学理論を受けて,栄養面および食事療法について記述した.
周知のように,食事療法は元来,同じ病名でも,それぞれ異なる病態に対応して,患者一人ひとりの栄養基準や留意事項などを記入した食事箋で主治医より指示される.これに従って,治療食の計画が始められ,当該患者の嗜好や食習慣,喫食時刻などが考慮されて,献立作成,調理,供食といった一連の段取りが,それぞれの担当メンバーによって進められる.
そこで治療食を文字通り疾病治療の一環として役立てるには,ベッドサイドや栄養指導室などで実施されている患者や家族に対する食事指導の際に,治療食についての意識的なインフォームドコンセントはもちろんのこと,食事療法に関係するスタッフ相互のインフォームドコンセントも必要である.最近,某病院の循環器病棟の患者さん20人の治療食や間食の摂取状況を10日間ほど観察する機会を得たが,健康志向や病気に対する知識や意識の高まりであろうか,ほとんどの患者さんは提供された治療食をきちんと食べ,余計な間食をとる人は見なかった.治療食に対する認識は以前に比べてずいぶんよくなったものだと食事療法に対する希望を新たにした.
今回は,“簡潔にできる限りわかりやすく” 表現することを目標にしたが, 今後も必要に応じて改訂を重ねる所存である.諸先生のご示唆,ご指導をいただければ幸である.
1995年8月
山口和子
栄養士も臨床検査の知識を持たなければならないと筆者が医歯薬出版の雑誌『臨床栄養』で提唱したのが,1975年であるから,かれこれ27年前のことになる.最近では管理栄養士諸氏がテレビで堂々と検査の話を交えて栄養指導をしているのを拝見すると隔世の感がある.当時は栄養士に臨床検査の知識など必要ないというのが,栄養士の大勢の考えであったようである.このような筆者の意図を汲んで作られた本書が長年に亘り,栄養士の学校教育に広く使用されていることは内容の充実と先進性を物語るものと本書の編者として自負している.また,筆者の考えに共感して出版を決意された医歯薬出版に感謝と敬意を表するものである.
今回の改訂にあたっては,とくに各方面から要望の強かった経腸栄養法,高カロリー輸液を増頁のうえ,内容の充実を図った.その他,臨床栄養の基盤となる病態生理にも重点を置き,疾病によりどのようなことが体内で起こり,それをどのようにすれば把握でき,治療,とくに栄養と結びつけられるのかが理解できるように記述されている.さらに,教育現場サイドからのご指摘のあった点についても極力筆を加えていただいた.本書がさらに永く栄養士学校教育に使用され,わが国の栄養士のレベルアップに貢献できることを念願している.今後とも教育者,学生,読者のご叱正をいただいて,一層の内容充実を図りたい所存である.
2002年4月
椎名晋一
初版の序
本書の前身である「最新臨床栄養学」を作るにあたって,病態把握に役立つと考えて,大胆にも臨床検査についての内容を多く盛り込んだ.それにより,従来の教科書にない斬新な本となって臨床栄養の知識を得るのに大いに役だったとの評価を得た.
それから15年を経て,教育の方針も変わったので,この際全面的に内容を見直すことになり,新たに「臨床栄養学」として登場することになった.
本書では全体を総論と各論に分けた.〈総論〉は病態生理,臨床検査,検査食,栄養法について述べた.また,〈各論〉は臓器の構造・生理に次いで,各種疾病について病因,症状,検査所見,治療を,それに次ぐ食事療法は基本方針,栄養基準・食品構成,食品の選択と献立,調理の要点,食事指導・生活指導などについて述べた.
本書は学生のもっとも関心のある管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)に完全準拠するよう編集に心がけた.とくに,疾患についてはその数と範囲が大幅に増加したので,個々の疾患について簡潔に要領よく記述するようにした.
これらの内容の充実をはかるため,医学担当の執筆者として多数の専門家にお願いした.また,栄養学担当の執筆者も新陣容としたので,期待に応える教科書を作ることができたと自負している.
最後に,なお著者らの気づかずにいる点について読者のご指摘をいただいて,内容を一層充実させ,斯界の教育に貢献したいと念願している.
1995年8月
補訂にあたって
「腎臓病食品交換表」(医歯薬出版発行)の改訂(第6版)にともない,腎臓病の食事療法について,一部訂正を加えた.
1997年1月
椎名晋一
初版の序
本書の前身の「最新臨床栄養学」が発刊されてから15年が過ぎた.この間,折にふれて手直しや改訂を行ってきたが,今回は全面的に目次,内容が見直された.栄養士養成に携わる著者らは,医師の臨床栄養学理論を受けて,栄養面および食事療法について記述した.
周知のように,食事療法は元来,同じ病名でも,それぞれ異なる病態に対応して,患者一人ひとりの栄養基準や留意事項などを記入した食事箋で主治医より指示される.これに従って,治療食の計画が始められ,当該患者の嗜好や食習慣,喫食時刻などが考慮されて,献立作成,調理,供食といった一連の段取りが,それぞれの担当メンバーによって進められる.
そこで治療食を文字通り疾病治療の一環として役立てるには,ベッドサイドや栄養指導室などで実施されている患者や家族に対する食事指導の際に,治療食についての意識的なインフォームドコンセントはもちろんのこと,食事療法に関係するスタッフ相互のインフォームドコンセントも必要である.最近,某病院の循環器病棟の患者さん20人の治療食や間食の摂取状況を10日間ほど観察する機会を得たが,健康志向や病気に対する知識や意識の高まりであろうか,ほとんどの患者さんは提供された治療食をきちんと食べ,余計な間食をとる人は見なかった.治療食に対する認識は以前に比べてずいぶんよくなったものだと食事療法に対する希望を新たにした.
今回は,“簡潔にできる限りわかりやすく” 表現することを目標にしたが, 今後も必要に応じて改訂を重ねる所存である.諸先生のご示唆,ご指導をいただければ幸である.
1995年8月
山口和子
<総 論>
1 病態生理(椎名晋一)
1 糖質代謝異常
1.糖尿病
2.低血糖
3.糖原病
4.その他の先天性糖代謝異常疾患
2 脂質代謝異常
1.高脂血症
2.先天性脂質代謝異常
3.低脂血症
3 たんぱく質・アミノ酸代謝異常
1.低たんぱく血症
2.高γ-グロブリン血症
3.血漿たんぱく質の特定分画の欠乏
4.アミロイドーシス
5.先天性アミノ酸代謝異常
6.高尿酸血症
4 水と電解質の代謝異常
1.水の代謝異常
2.電解質の代謝異常
付)酸-塩基平衡の異常
5 ビタミンの異常
2 臨床検査(椎名晋一)
1 臨床検査の基礎知識
1.検査成績の判断
2 末梢血液検査
1.貧血の検査
2.白血球の検査
3.骨髄検査
4.赤血球沈降速度
3 血液生化学検査
1.糖代謝
2.血清たんぱくと分画
3.血清脂質
4.電解質
4 尿検査
1.たんぱく尿
2.尿糖
3.尿ケトン体
4.尿ビリルビン
5.尿ウロビリノゲン
6.潜血反応
7.尿沈渣
5 糞便検査
1.便潜血反応
2.ヒトヘモグロビン反応
6 細菌検査
1.塗抹検査
2.培養検査
3.感受性試験
7 臓器機能検査
1.腎機能検査
2.肝機能検査
3.膵機能検査
3 検査食(井上紀久子)
1 潜血検査食
2 甲状腺機能検査食
3 低残渣食
4 栄養法
1 経口栄養……(山口和子)
2 経腸栄養法……(田代亜彦)
3 高カロリー輸液
<各 論>
1 胃・腸(河合 誠・山口和子・中野慶子)
1 食欲不振
2 胃炎
1.急性胃炎
2.慢性胃炎
3 胃・十二指腸潰瘍
1.慢性潰瘍
2.急性胃潰瘍
4 下痢と便秘
1.下痢
2.便秘
5 過敏性腸症候群
6 潰瘍性大腸炎
7 クローン(Crohn)病
2 肝・胆・膵
1 肝炎……(河合 誠・山口和子)
1.急性ウイルス性肝炎
2.慢性ウイルス性肝炎
2 肝硬変……(椎名晋一・山口和子)
3 脂肪肝……(河合 誠・山口和子)
4 胆石・胆嚢炎
1.胆石症
2.胆嚢炎
5 膵炎
1.急性膵炎
2.慢性膵炎
3 内分泌・代謝
1 肥満とるい痩……(内村 功・井上和子)
1.肥満
2.るい痩
2 高脂血症
3 糖尿病……(内村 功・柿村葉子)
4 高尿酸血症……(内村 功・西千代子)
5 甲状腺機能亢進症・低下症
1.甲状腺機能亢進症
2.甲状腺機能低下症
4 循環器(椎名晋一・永野君子)
1 動脈硬化症
2 高血圧症
3 うっ血性心不全
4 虚血性心疾患
5 脳卒中
5 腎臓(椎貝達夫・片山喜美子)
1 浮腫と脱水
2 腎不全
1.急性腎不全
2.慢性腎不全
3 腎不全(透析期)
4 糸球体腎炎
1.急性糸球体腎炎
2.慢性糸球体腎炎
5 ネフローゼ症候群
6 血液
1 造血と栄養……(山崎博男)
2 鉄欠乏性貧血……(山崎博男・村上 淳・熊野昭子)
3 巨赤芽球性貧血
7 感染症(保崎清人・井上紀久子)
1 発熱時の栄養
2 慢性消耗性疾患
8 アレルギー(保崎清人・五十嵐桂葉)
1 アレルギーと食事
9 骨・関節疾患(内村 功・江澤郁子)
1 骨粗鬆症
2 くる病・骨軟化症
10 歯科(内村 功・山口和子)
1 むし歯
2 歯周病
11 栄養欠陥(内村 功・森 成子)
1 低栄養・栄養失調症
12 心身症(保崎清人・森 成子)
1 神経性食欲不振症
2 神経性大食症
13 外科(山森秀夫)
1 術前栄養
2 術後栄養
14 小児
1 小児疾患栄養の特異性……(滝田 齊)
2 栄養失調症……(滝田 齊・西岡葉子)
3 消化不良症
4 周期性嘔吐症
5 牛乳過敏症
6 小児腎臓病……(滝田 齊・片山喜美子)
1.遺伝性腎症
2.糸球体腎炎
3.ネフローゼ症候群
4.上部尿路感染症
7 小児糖尿病……(滝田 齊・井上紀久子)
8 先天性代謝異常症……(滝田 齊・山口和子)
1.フェニルケトン尿症
2.ヒスチジン血症
3.ホモシスチン尿症
4.メープルシロップ尿症
5.ガラクトース血症
付表
参考文献
索引
1 病態生理(椎名晋一)
1 糖質代謝異常
1.糖尿病
2.低血糖
3.糖原病
4.その他の先天性糖代謝異常疾患
2 脂質代謝異常
1.高脂血症
2.先天性脂質代謝異常
3.低脂血症
3 たんぱく質・アミノ酸代謝異常
1.低たんぱく血症
2.高γ-グロブリン血症
3.血漿たんぱく質の特定分画の欠乏
4.アミロイドーシス
5.先天性アミノ酸代謝異常
6.高尿酸血症
4 水と電解質の代謝異常
1.水の代謝異常
2.電解質の代謝異常
付)酸-塩基平衡の異常
5 ビタミンの異常
2 臨床検査(椎名晋一)
1 臨床検査の基礎知識
1.検査成績の判断
2 末梢血液検査
1.貧血の検査
2.白血球の検査
3.骨髄検査
4.赤血球沈降速度
3 血液生化学検査
1.糖代謝
2.血清たんぱくと分画
3.血清脂質
4.電解質
4 尿検査
1.たんぱく尿
2.尿糖
3.尿ケトン体
4.尿ビリルビン
5.尿ウロビリノゲン
6.潜血反応
7.尿沈渣
5 糞便検査
1.便潜血反応
2.ヒトヘモグロビン反応
6 細菌検査
1.塗抹検査
2.培養検査
3.感受性試験
7 臓器機能検査
1.腎機能検査
2.肝機能検査
3.膵機能検査
3 検査食(井上紀久子)
1 潜血検査食
2 甲状腺機能検査食
3 低残渣食
4 栄養法
1 経口栄養……(山口和子)
2 経腸栄養法……(田代亜彦)
3 高カロリー輸液
<各 論>
1 胃・腸(河合 誠・山口和子・中野慶子)
1 食欲不振
2 胃炎
1.急性胃炎
2.慢性胃炎
3 胃・十二指腸潰瘍
1.慢性潰瘍
2.急性胃潰瘍
4 下痢と便秘
1.下痢
2.便秘
5 過敏性腸症候群
6 潰瘍性大腸炎
7 クローン(Crohn)病
2 肝・胆・膵
1 肝炎……(河合 誠・山口和子)
1.急性ウイルス性肝炎
2.慢性ウイルス性肝炎
2 肝硬変……(椎名晋一・山口和子)
3 脂肪肝……(河合 誠・山口和子)
4 胆石・胆嚢炎
1.胆石症
2.胆嚢炎
5 膵炎
1.急性膵炎
2.慢性膵炎
3 内分泌・代謝
1 肥満とるい痩……(内村 功・井上和子)
1.肥満
2.るい痩
2 高脂血症
3 糖尿病……(内村 功・柿村葉子)
4 高尿酸血症……(内村 功・西千代子)
5 甲状腺機能亢進症・低下症
1.甲状腺機能亢進症
2.甲状腺機能低下症
4 循環器(椎名晋一・永野君子)
1 動脈硬化症
2 高血圧症
3 うっ血性心不全
4 虚血性心疾患
5 脳卒中
5 腎臓(椎貝達夫・片山喜美子)
1 浮腫と脱水
2 腎不全
1.急性腎不全
2.慢性腎不全
3 腎不全(透析期)
4 糸球体腎炎
1.急性糸球体腎炎
2.慢性糸球体腎炎
5 ネフローゼ症候群
6 血液
1 造血と栄養……(山崎博男)
2 鉄欠乏性貧血……(山崎博男・村上 淳・熊野昭子)
3 巨赤芽球性貧血
7 感染症(保崎清人・井上紀久子)
1 発熱時の栄養
2 慢性消耗性疾患
8 アレルギー(保崎清人・五十嵐桂葉)
1 アレルギーと食事
9 骨・関節疾患(内村 功・江澤郁子)
1 骨粗鬆症
2 くる病・骨軟化症
10 歯科(内村 功・山口和子)
1 むし歯
2 歯周病
11 栄養欠陥(内村 功・森 成子)
1 低栄養・栄養失調症
12 心身症(保崎清人・森 成子)
1 神経性食欲不振症
2 神経性大食症
13 外科(山森秀夫)
1 術前栄養
2 術後栄養
14 小児
1 小児疾患栄養の特異性……(滝田 齊)
2 栄養失調症……(滝田 齊・西岡葉子)
3 消化不良症
4 周期性嘔吐症
5 牛乳過敏症
6 小児腎臓病……(滝田 齊・片山喜美子)
1.遺伝性腎症
2.糸球体腎炎
3.ネフローゼ症候群
4.上部尿路感染症
7 小児糖尿病……(滝田 齊・井上紀久子)
8 先天性代謝異常症……(滝田 齊・山口和子)
1.フェニルケトン尿症
2.ヒスチジン血症
3.ホモシスチン尿症
4.メープルシロップ尿症
5.ガラクトース血症
付表
参考文献
索引