やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 “歯ぎしり“については皆さんよく知っていることと思いますが,“咬みしめ”についてはいかがですか?“歯ぎしり“や“咬みしめ”で歯を失うことがあるということをご存じでしょうか?
 昔から「歯を食いしばる」とか「歯ぎしりをする」という言葉は,「我慢をする」とか「いらいらする」というような意味で,日常的に慣用句として使われてきました.
 歯には食べる,発音するという役割のほかにも,歯ぎしりをすることで精神的なストレスを発散する役目もあると言われています.けれども,過度の“歯ぎしり“や“咬みしめ”は,「ギリギリ」音が鳴って周囲の人の迷惑になるというだけではなく,口の中や周囲の組織に大きな影響を及ぼし,歯を失う原因にもなりかねないのですが,そのことはまだあまり知られていません.
 “歯ぎしり“や“咬みしめ”のことを総称して“ブラキシズム“というのですが,私たちはこの“ブラキシズム”について,歯科医院に来院される患者さんを通じて,その実態や影響を研究しています.まだすべてを解明できたわけではありませんが,研究からわかってきたことを,この本で,わかりやすく解説してみようと考えました.
 ブラキシズムのことをもっと知っていただくことで,歯を守り,いつまでもご自分の歯でおいしく食事をし,明るい笑顔で,楽しい人生を送っていただきたいというのが,私たちの「ねらい」であり,「願い」なのです.
 2008年 夏
 牛島 隆
 栃原 秀紀
 永田 省藏
 山口 英司
●はじめに
(1)“ブラキシズム”を知っていますか?
(2)ブラキシズムはどうして問題なの?
(3)ブラキシズムは発見しにくい!
(4)チェックしてみましょう
 あなたはどのタイプ?
(5)ブラキシズム・タイプ別特徴
 歯ぎしり型(グラインディングタイプ)
 咬みしめ型(クレンチングタイプ)
 きしませ型(ナッシングタイプ)
 混合型(コンプレックスタイプ)
(6)なぜ発見することが大切なのか?
(7)歯科医院で行うブラキシズムへの対応
(8)家庭で行うブラキシズムへの対応
(9)睡眠時無呼吸症候群(SAS)
(10)スポーツマウスガード(マウスピース)
(11)子どもの歯ぎしり・悪習癖
(12)ブラキシズム以外の悪習癖
(13)ブラキシズムの研究から
●あとがき

 コラム
  ・骨の隆起:これって歯肉の腫瘍?
  ・防げるむし歯と歯周病
  ・歯がなくなってもなくならないブラキシズム