2026/10/20
10月10日(土),11日(日)の2日間,パピヨン24ガスホール(福岡県福岡市)にて標記学術大会が「歯科医療の未来を考える」をテーマに開催された(大会長:長田耕一郎氏/佐賀県武雄市開業).本学会は故・筒井昌秀氏と筒井照子氏(福岡県北九州市)が提唱した包括歯科臨床のコンセプトを継承するJACDと咬合療法研究会が合併して設立されたもので,14回目の今大会では,「歯科医療の未来」セッション15題,歯科技工士セッション3題,コデンタルセッション4題のほか,テーブルクリニック,ポスター発表,企業展示も行われ,各会場とも賑わいをみせた.
「歯科医療の未来」セッションは,①包括歯科臨床の未来,②超高齢社会における歯科医療,③デジタルデンティストリー,④総括講演の4つのパート構成で行われた.
初日の「包括歯科臨床の未来」では,まず基調講演として木下俊克氏(福岡県北九州市)が登壇.「過去の歩みを未来へ繋ぐ」と題し,包括歯科臨床36年の経験をもとに患者の主訴に対してどのように原因を探り治療を進めているかを示した.その後に行われた交流講演では台湾の張 祖澤氏が「材料補填を超えた『生理的誘導』へのパラダイムシフト」のタイトルで講演.インプラント失敗後の骨喪失に対してComposite Regenerative Matrixを適用し長期安定を示す症例を多数提示し,今後の組織再構築の可能性を示した.
2日目に行われた「超高齢社会における歯科医療」では,教育講演として「生活の中から生まれる健康と満足感―今を生き,未来につなぐ歯科医療」のタイトルで今井美恵氏(松本歯科大学地域連携歯科学講座教授)が,「歯科の一員として高齢社会に貢献し得ること」のタイトルで藤井みずき氏(愛知県名古屋市,歯科衛生士)が登壇した.今井氏は,病院歯科での義歯治療を通じて実感した超高齢社会における歯科医療の役割を,藤井氏は,訪問診療・外来診療での咀嚼リハビリーテーションを通じた生活支援のあり方を述べ,歯科がチームで取り組む重要な領域であることを示した.
「デジタルデンティストリー」では,「顎運動可視化技術からみる次世代歯科医療の展望―デジタルが導く個別最適化医療(Personalized Dentistry)」と題し,杉元敬弘氏(京都府京田辺市)が講演.デジタル技術により機能を動的・客観的に捉えることが可能となったこと,それにより患者の特性に応じた最適な治療が可能になることを紹介した.
講演する筒井照子氏・祐介氏
講演する筒井祐介氏・武男氏
「総括講演」では,筒井照子氏・祐介氏・武男氏が「歯周治療と矯正治療の連携―長期症例にみる包括的治療の成果と共通原則の探求」のタイトルで講演.歯周治療・補綴治療・矯正治療を組み合わせた包括的治療について,故・昌秀氏と照子氏の連携を基盤に現在の照子氏・祐介氏・武男氏による体制へ移行後も安定した治療成果が継続して得られていることを長期症例とともに提示.共有された治療概念が成果を支えているとまとめた.