2026/10/19
2026年10月18日(日),東京国際フォーラム(東京都千代田区)にて,標記発表会が開催された(会長:渡辺隆史氏,明海大学・朝日大学歯学部生涯研修部長).
同生涯研修部では,2014年度に歯科総合医育成コース認定医制度を設け,高度な専門的知識と技術を備えた総合臨床歯科医師の育成に取り組んできた.その総合医らが集い症例を検討する「歯科総合医症例発表会」は,今回で第3回目を迎えた.
特別講演では,林 揚春氏(東京都)が「患者本位の欠損補綴治療を求めて」と題して登壇した.年間約500本のインプラント治療を単独歯から無歯顎まで手がけてきた氏は,治療の「結果(アウトプットバリュー)」以上に「過程(プロセスバリュー)」を重視する考え方を,実際の症例とともに提示した.患者が理解し,自ら選び,支え続けられる治療設計の要点について,聴講者が明日から実践できるように丁寧な説明がなされた.
症例発表では,5名の演者が登壇した.
「開咬をマウスピース矯正にて治療したCASE」の演題で登壇した青木義親氏(新潟県)は,ワイヤー矯正では困難な臼歯の圧下をマウスピース矯正によって行い,カウンタークロックワイズローテーションで前歯部の被蓋を獲得した開咬症例を報告した.
「インプラント時代に見直す天然歯の価値と可能性」の演題で登壇した堀井信哉氏(新潟県)は,「なるべく歯を残す」という臨床姿勢のもと,歯の外傷と自家移植に焦点を当て,天然歯のポテンシャルを最大限に活用した症例を供覧した.
「ARPからリッジリコンストラクションへ――抜歯窩マネージメントの新たな応用」の演題で登壇した大串侑暉氏(福岡県)は,骨壁欠損を伴う抜歯窩に対し,ARPの基本コンセプトを応用してリッジリコンストラクションを行った症例を報告し,その有用性を考察した.
「重度歯周病患者に対する歯周病治療とSPTの一症例――治療後約7年経過症例」の演題で登壇した磯貝佳史氏(千葉県)は,広汎型歯周炎ステージⅣグレードCの患者に対し,歯周基本治療に歯周外科処置および歯周組織再生療法を併用し,SPT移行後約7年間,抜歯に至ることなく安定した経過を報告した.
「垂直骨量の少ない上顎左側大臼歯部に対しエクストラワイド・ショートインプラントを埋入した一症例」の演題で登壇した玉置佳嵩氏(神奈川県)は,垂直骨量が不足する部位にエクストラワイド・ショートインプラントを選択し,グラフトレスサイナスリフトを併用して低侵襲に治療した例を発表した.
このほか,今回は「症例相談コーナー」を設け,現在の臨床における悩みを2名の会員が共有した.提示されたスライドをその場で見ながら,講師や歯科総合医らが活発に議論するスピーディーな展開となった.