2026/09/14
第32回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会(大会長:加賀谷 斉氏・国立長寿医療研究センター副院長)が9月11日から13日まで,神戸国際展示場および神戸ポートピアホテルで開催された.テーマは「State of the Artを超えて」.一般演題は767題,うち英語演題115題で,AI翻訳も導入された.同学会が神戸で開かれるのは今回が初めてとなる.
12日の会長講演で加賀谷氏は,本学会のテーマである「State of the Artを超えて」になぞらえながら教育講演のラインナップを紹介した後,「運動学習と転移」,「嚥下モデルと臨床」のそれぞれの切り口から自身が本格的に摂食嚥下リハビリテーションの臨床と研究を始めてから20年の歩みを振り返った.また,リクライニング位が誤嚥を減らすことは1980年代から国内では知られていたにもかかわらず,数年前まで海外ではなかなか受け入れられなかった話を例にあげ,海外発信の重要性を説いた.AIの進歩により言語の壁は急速に低くなっており,目指すべきは最先端のさらに先だと語った.
スポンサードシンポジウム「アラフィフの経験をつなぐ─摂食嚥下リハの今までとこれから─」では1990年代後半に東京医科歯科大学高齢者歯科学講座の同じ研究室で学んだ古屋純一氏(昭和医大),戸原 玄氏(科学大),大野友久氏(陵北病院),松尾浩一郎氏(科学大)の4氏が,大学を離れたあとそれぞれのフィールドで積んだ経験をフリートーク形式で語り合った.「臨床と研究の多職種協働」をテーマに,成功例だけでなく苦労話もざっくばらんに共有.終始笑いの絶えないトークを展開し,それぞれから次世代へのメッセージを述べた後,最後はアントニオ猪木の映像とともに会場総立ちのなか“3本締め”で締めくくった.
同日夕のスポンサードセミナー「食べるを支えるオーラルマネジメント―歯科と看護がつくる院内実践―」では,兵庫医科大学病院の福田怜央氏(歯科衛生士),桑田一郎氏(看護師),岸本裕充氏(歯科医)の3氏が登壇.口腔の状態をバイタルサイン的にとらえ,「Clean(清潔)」と「Moist(湿潤)」の2点をモニタリングする視点を軸に,歯科衛生士と摂食嚥下障害看護認定看護師がベッドサイドで協働した口腔ケアの様子を動画で示すなど、看護師と協働して行う口腔衛生管理の実際を報告.後半では,「ふやかす・はがす・吸引する」を基本とした口腔ケア技術を病棟へ広げる教育と組織づくりの取り組みが報告された.