2026/07/14
7月12日(日),ウエルテック(吉田康弘代表取締役)主催の講演会「口腔細菌学アップデート~歯周病から糖尿病・慢性腎臓病までを見据えたリスクマネジメント」が250名余りを集めて開催された(於:大手町プレイスホール&カンファレンス/東京都千代田区).
午前の講演では,仲野和彦氏(大阪大学大学院歯学研究科)が「口腔細菌から考えるう蝕・歯周病の理解と制御~糖尿病患者に対する臨床研究から」と題して登壇.冒頭では齲蝕・歯周病の発症に関連する細菌,歯周病と全身疾患との関連,さらには菌血症の機序と歯科医療上の注意点について概説を加えた.
また,齲蝕原因菌・S.Mutansのうち,コラーゲン結合タンパクを有する「Cnm陽性株」の保有者において,感染性心内膜炎や脳梗塞・脳出血などの発症が有意に多く,IgA腎症の悪化の一因になる可能性を複数の研究結果より示唆.これらの口腔細菌が引き起こす全身疾患の予防のためには,継続的な口腔衛生管理,歯周治療,洗口液の使用などにより口腔細菌の定着を防ぐことが重要であるとまとめた。
午後には,三﨑太郎氏(聖隷浜松病院腎臓内科)が「歯科で知っておくべき腎臓の基礎知識~口腔細菌と慢性腎臓病の関連」と題し講演.慢性腎臓病(CKD)とは何か,腎臓の構造と果たす役割,腎機能の検査値の見方,血液透析の実際など,腎疾患に関する基礎的な事項をやさしく解説した.
後半では,S.MutansのCnm陽性株とIgA腎症の関連を調べた研究を紹介しつつ,一つの仮説として口腔細菌が扁桃を介してIgA腎症に関連する可能性について言及した.また,透析患者において口腔状態が悪く,低栄養につながりかねないことに触れつつ,継続的な口腔ケアや歯科受診を医科の立場から推進し,医科歯科連携につなげていくことの重要性を強調した.
第三部では,参加者から集めた質問に,仲野氏・三﨑氏が回答.講演の内容に関するほか,診療での実例を交えた質問にもていねいに応答し,演者・参加者双方のの熱気が感じられる会となった.