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第44回日本顎咬合学会学術大会・総会 開催される
2026年6月13日(土),14日(日)に,標記会が「歯科臨床における羅針盤 ―顎咬合学―」をテーマに,金沢紘史士大会長のもと,東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催された.
 開会式が行われたホールCでは,その後,昨年の会員発表(口演)に対しての表彰式などが行われた.その後,同会場では特別講演(認定教育講演)が行われ,5名の演者がそれぞれ自身のバックグランドをもとに患者と向き合った事例について報告した.演者と演題は下記の通り.
 Dr. Jonathan H Do「インプラントにおける新たな生物学的合併症”Perigraftitis”とは?」
 秋山弘子氏(東京大学)「長寿社会に生きる」
 藤井元宏氏(愛知県)「噛める義歯が生活を変える──その価値と可能性」
 藤井みずき氏(愛知県)「患者の生活を考える――咀嚼リハビリテーションと歯科衛生士の意義」
 鄭 繼祥氏(九大)「より良き太平洋を目指す義歯のリマウント調整法における地方創生」
特別講演をおこなうDr. Jonathan H Do
DH・Drプログラム「歯科医師と歯科衛生士が協働で行う歯周治療と患者教育」(座長:鍵和田優佳里氏,小林明子氏)でも,Dr. Jonathan H. Doが登壇.慢性歯周炎の管理においては,患者自身による日常的なバイオフィルムコントロールに加え,専門的なプラーク・歯石の除去と定期的なメインテナンスの継続が重要であることが,症例をもとに示された.さらに,非外科的・外科的・維持療法を包括した歯周治療の原則を概説し,とくに患者教育の質が治療成績を大きく左右することを強調.最後には,米国における局所麻酔の実施を含む業務範囲や教育体制を紹介しながら,同国における歯科衛生士が患者教育・歯周管理の中心的役割を担う存在であること,チーム医療の重要性が述べられた.
DH・Drプログラム「歯科医師と歯科衛生士が協働で行う歯周治療と患者教育」に登壇するDr. Jonathan H. Do
 DHプログラム(認定研修Ⅰ)「歯科衛生士が学ぶ咬合学/病態学・画像読影等」(座長:上野順子氏,津曲祐子氏)では,3名の演者より,咬合と生体反応,臨床判断,長期管理に至るまで多角的な講演が行われた.
 「メカニカルストレスと骨」では,塚崎雅之氏(昭和医大)が登壇.骨はメカニカルストレスを感知してリモデリングを行う動的組織であり,骨細胞がスクレロスチンやRANKLなどの因子を介して骨芽細胞・破骨細胞の活性を制御することで骨代謝の恒常性を維持していることを解説した.さらに,炎症と力の相互作用が歯周病や骨疾患の病態形成に深く関与することを示し,歯科臨床においても咬合力という視点から組織反応を理解する重要性を示した.
 「咬み合わせは個性で画一的ではないはず DHが知るべき咬合と健康」では,富野 晃氏(山の手パール歯科クリニック)が登壇.咬合は全身の健康を支える基本要素である一方,顎口腔系の解剖・生理・下顎運動など多くの要素が複雑に関与するため,単一の理想像で評価することは困難であると指摘した.そのうえで,咬合様式の優劣を単純に論じるのではなく,個々の患者の状態に応じた診査・診断の重要性を強調し,術前の咬合評価が治療の質と安全性を左右することを臨床例を交えて解説した.
 「メンテナンスで診て欲しい『力のコントロール』」では,野田和秀氏(一宮かみあわせ歯科)が登壇.長期的な歯の保存には,むし歯や歯周病といった炎症性因子に加え,「力」の管理が不可欠であるとした.メインテナンスでは咬合状態の評価,正常像と異常像の把握,歯の動揺や咬耗など力に起因するリスクサインの早期発見が重要であり,歯科衛生士と歯科医師が協働して対応する必要性を強調した.また,全顎的な資料採得やカウンセリングを通じて力のリスクを低減し,長期的な口腔機能の維持へとつなげる臨床的アプローチが提示された.
塚崎雅之氏(昭和医大)
富野 晃氏(山の手パール歯科クリニック)
野田和秀氏(一宮かみあわせ歯科)
第1日目にガラス棟G701で行われた「顎咬合学 | 咬合再建のための力のコントロール―歯周病と咬合―」(座長:渡辺隆史氏.福島県)は,3名の演者が歯周病の治癒症例について,咬合の観点から解説をくわえつつ振りかえった.それぞれの演者と演題は下記の通り.
 相宮秀俊氏(愛知県)「歯周病と咬合性外傷―エビデンスと症例から考える咬合再構成―」
村田雅史氏(新潟県)「重度歯周炎症例における咬合機能の改善」
渡辺隆史氏(福島県)「重度歯周病患者の口腔機能回復治療――病的歯牙移動への対応方法」
第2日目にガラス棟G701で行われた「歯内療法 | エンド温故知新」(座長:岸本英之氏.東京都)は,4名の演者が歯内療法のあらゆる論点について自院での取り組みを紹介し,エビデンスとともに症例を検討した.それぞれの演者と演題は下記の通り.
 天野 晃氏(東京都)「最短距離の臨床歯内療法」
 松永健嗣氏(東京都)「補綴修復を考慮した歯内療法を再考する」
 松木良介氏(福岡県)「当院における細胞依存的・細胞非依存的再生歯内療法の取り組み」
岡口守雄氏(東京都)「新たな時代の歯髄保存の診断と治療法」
 第2日目にセミナー室1で行われた「リカバリー | トラブル回避・リカバリー」(座長:松延允資氏.福岡県)は,4名の演者が歯内療法,インプラント,補綴などにおけるトラブル症例を提示し,その回復までの臨床を披露した.それぞれの演者と演題は下記の通り.
 倉富 覚、氏(福岡県)「歯内療法のトラブル~未然に防ぐポイントとその対応~」
 佐藤孝弘氏(新潟県)「インプラントトラブルの対処方法――起きた時,そして起こさない為に」
松延允資氏(福岡県)「よく咬め長持ちする部分床義歯の臨床――トラブルへの対応とその予防」
黒岩昭弘氏(松本歯科大)「歯科臨床トラブルに対するアプローチ―義歯不適合・維持力低下・被覆冠脱離を通じた再評価―」

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