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日本老年歯科医学会 第37回学術大会 開催される
 6月12日(金)~14日(日),大阪国際会議場(グランキューブ大阪.大阪市北区)にて標記大会が「たべるよろこび つづくしあわせ」をテーマに開催された(大会長:池邉一典氏・阪大)(併催:ECG-JSC 10th Anniversary International Symposium).
 大会長講演「『歯がいい人は丈夫で長生き』を科学する」では池邉氏が,自身が取り組んだ文理融合型学際的研究(健康長寿研究SONIC)の経緯として,咬合咀嚼が作る健康長寿のエビデンスを確立するためには妥当性・信頼性があり簡便かつ安全な口腔機能の評価による長期的縦断研究を,歯科以外の専門領域との学際的研究によって行うことが重要と考えたことを紹介.さらにビッグデータ解析による口腔(現在歯数)と生命予後・健康寿命延伸との関連の検討から残存歯数と主観的幸福感の関連を示唆し,口腔の健康が超高齢期のwell-beingを支えるとした.
 シンポジウム3「高齢者の人生の最終段階における食に関する意思決定」(座長:上田貴之氏・東歯大,寺中 智氏・東京都)では,まず寺中氏がイントロダクションとして日本老年医学会が公表した「高齢者の人生の最終段階における医療・ケアに関する立場表明2025」を受けた終末期における食の意思決定に関する現状を整理.生物学的な生命の維持を目的とする従来の視点から緩和ケア,患者と家族の意思・意向,ナラティブとShared Decision Making(SDM),多職種チームでの連携のもと,患者の人生の物語を読み解き,本人の意向を尊重し尊厳に配慮した対応が求められるようになっているとした.
 大浦 誠氏(南砺市民病院)は「総合診療医から見た『食』の意思決定―マルチモビディティと臨床倫理の交差点で―」と題し,意思決定のプロセスでは患者を中心に家族等と医療・ケアチームが繰り返し対話して合意することが重要であること,食べられない原因は単一疾患モデルでは判定できないこと,高齢患者のマルチモビディティ(他疾患併存)においては歯科的要因も含まれており,そのスクリーニング検査にOral frailty 5-item Checklist(OF-5)が有効になること等を述べた.
 山口浩平氏(科学大)は「人生の最終段階における『食』に関わる意思決定と歯科の役割を考える」と題し,歯科訪問診療の摂食嚥下リハビリテーションにおいて患者と信頼関係を築き「患者の物語」を理解するために相応の時間を必要とすることが,同診療の個別性を強くする要因となり医療としての難しさに繋がっていると指摘.また,患者本人の視点からみた最善の選択と医学的な視点からみた最善の選択とは異なることもありうるとして,患者本人の満足を物差しにして考えることが重要とした.
 シンポジウム4「歯科が支える健康寿命~大阪府後期高齢者医療歯科健診事業の成果から~」(座長:池邉氏)では,はじめに深田拓司氏(大阪府歯科医師会会長)がデータヘルス計画に基づく歯科健診事業としての同事業に対する大阪府歯の対応と,地域医療の充実および国民の健康寿命延伸を支えるうえでの重要性について紹介した.
 山本道也氏(大阪府歯科医師会)は「大阪府後期高齢者医療歯科健康診査これまでの歩み」と題し,同事業の経緯と概要・特徴を供覧.大阪府後期高齢者歯科医療広域連合と大阪府歯との委託契約により全大阪府下で成人歯科健診を実施,統一内容で健診し外来データを集計・分析する取り組みであることや,受診票の各項目,現状の課題と対策について説明した.
 山本陵平氏(阪大・医)は「大阪モデルに見るリアルワールドデータ研究の可能性」と題し,腎臓内科医・疫学者の立場から,同事業によって得られたリアルワールドデータ(RWD)をもとにした大規模疫学研究(The OHSAKA Study)について概説したほか,ランダム化比較試験の統計学的な限界や,RWDによる観察研究から得られる結果の信頼性を高めるための統計学的手法を解説した.
 豆野智昭氏(阪大)は「後期高齢者の口腔と健康―20万人の医療ビッグデータによる実証―」と題し,The OHSAKA Studyで得られたRWDをもとに,臼歯部咬合支持の減少した高齢者における義歯の状態と死亡リスクとの関連性および,臼歯部咬合支持の喪失と残存歯の喪失リスクの関連性について考察.さらに上記RWDを用いた歯の欠損進行に関するシミュレーション研究に着手していることを報告した.

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