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第64回 日本小児歯科学会大会開催される
 5月21日(木),22日(金),標記会が「チャンプルーの心で育むこどもの笑顔」をテーマに開催され,現地参加・オンライン聴講を含め,約2,000人が参加した(於:沖縄コンベンションセンター)(大会長:苅部洋行氏/日歯大,朝田芳信氏/鶴見大).
 大会初日の受賞記念講演では,「日本人における齲蝕経験歯数とS. mutansのコラーゲン結合能との関連」と題し,末廣雄登氏(阪大)が登壇.Streptococcus mutansのコラーゲン結合タンパクCnmを発現する菌株は,感染性心内膜炎や脳血管疾患などの全身疾患と関連することを解説.Cnm陽性のS. mutansはう蝕リスク因子となる可能性があり,分布や遺伝学的特徴を調べることが全身疾患との関連の解明につながる可能性を示唆した.
 続いて,「Streptococcus mutans コラーゲン結合タンパクが関与するIgA腎症新規発症メカニズムの解明」と題し,松岡大貴氏(岡山大)が登壇.Streptococcus mutansは感染性心内膜炎や脳出血,炎症性腸疾患などの全身疾患の発症に関与しており,特にコラーゲン結合タンパクCnmが関与している可能性があるとしたうえで,小児でも重要となる腎疾患IgAは,Cnm陽性のS. mutansが発症メカニズムに関わる可能性を動物実験にて示した.
 「小児歯科臨床における生成AIの有用性の評価」では,日下 知氏(広大)が登壇.小児歯科は保護者や患児とのコミュニケーションが多く,AIを活かせる領域であるとしたうえで,AIの特徴でもあるハルシネーション(正しそうに間違える),ミスリード(誤読),レスポンシビリティ(責任の所在)に留意したうえで,思考の補助として用いることを提案した.
 
 ランチョンセミナー1では,「口腔機能発達不全症に気づくことの大切さと保険算定上どこまで指導できるのか?」をテーマに,土岐志麻氏(青森県)が登壇.診療時にチェックすべき口腔周囲や姿勢の状況,R8年度の保険改定内容について解説したうえで,保険診療でできるトレーニングと自費で行うトレーニングは分けることが重要であること,判断基準として「本人と保護者が日常でどれだけ困っているか」を指標としていることを解説し,何を治療ゴールとするのかを示した.

 大会二日目「JSPP企画講演 これからの小児歯科医療は何を信じるべきかー情報氾濫時代をどう生き抜くか考えるー」では,「小児歯科医療における豊かさについての一考察」と題し,清水清恵氏(東京都)が登壇.情報が氾濫する時代における小児歯科は,EBMを基本としながらも,臨床で得られる知識・技術・経験を積み重ねて向き合うことが重要で,子どもと家族との信頼関係を大切に学び続けていく姿勢が,小児歯科臨床の質と豊かさを高めると示した.
 櫻井敦朗氏(東歯大)は「小児歯科の魅力とは ~いまどきの歯学生はこうみている~」をテーマに,小児歯科医局員を対象としたアンケートを提示しながら解説した.小児歯科の魅力は,齲蝕や咬合,口腔機能などの治療のみならず,心理,成長発育に関わり,保護者にも対応するなど,一般歯科と比べ,幅広い対応をすることであること,近年はその難しさから敬遠する学生もいるが,魅力を正しく伝える教育や情報も重要で,小児歯科医自身による正しい情報発信が求められるとまとめた.

 歯科衛生士委員会企画セミナーでは「チャンプルーの心でつなぐ小児歯科医療と認定歯科衛生士」と題して馬場篤子氏(福岡医療短期大学歯科衛生士研修支援センター)が登壇.小児のう蝕は減少しているものの,咀嚼・嚥下・発音など口腔機能に不安を抱える子どもが増加していることに伴い,より広い視点で子どもの口腔の健全な発達を支えることができる認定歯科衛生士の重要性を強調.続いて登壇した梶 美奈子氏(北海道医療大学病院歯科衛生部)は,「ともに育ち,ともに拓く専門性-小児歯科学会認定資格と認定歯科衛生士育成の実践報告」と題し,後輩歯科衛生士の認定試験受験のために,提出書類の作成・ポスターの作成,ケースプレゼンテーションの練習,想定問答など,ともに奮闘した体験談を赤裸々に報告.たくさんの関係者がともに苦労した時間は合格という結果だけではなく,貴重な財産になったようで,演者・後輩歯科衛生士だけでなく聴講者全員が感涙にむせぶ場となり,認定資格への取得に向けて尻込みをしている者に一歩踏み出す勇気を与えた.
JSPP企画講演
歯科衛生士委員会企画セミナー(左から,馬場氏,梶氏)
 次回大会は,2027年6月5日(土),6日(日)に大阪にて開催される予定である(大会長:島村和宏氏/奥羽大).
会場に現れたシーサー

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