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第75回日本口腔衛生学会学術大会開催される
 5月22日(土)~5月24日(日),沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市)にて,標記学会学術大会(大会長:杉原直樹氏/東京歯科大学)が,「伝統と継承」をテーマに開催され,教育講演,日本歯科医学会会長懇話会,特別講演,11のシンポジウム,6つのミニシンポジウムが行われた.
会場入口
大会長の杉原直樹氏
 教育講演では,「歯科医師・歯科衛生士の今後の活躍の場を考える-私自身の歩みから-」と題し,河端邦夫氏(三重県伊賀保健所)が登壇.近年の歯科医師・歯科衛生士の就業者数に加えて,就業先のデータを示し,歯科診療所にとどまらず,行政や介護施設に勤務する歯科医療従事者が増えてきた歯科界を取り巻く環境の変化を解説.
 特別講演では,「これからの歯科口腔保健を考える~日本歯科医師会の立場から~」と題し,山本秀樹氏(日本歯科医師会常務理事)が登壇.歯科を取り巻くあらゆる統計資料を供覧しつつ,日本の歯科口腔保健の状況について詳細に解説.とりわけ,過疎地域における歯科医療機関の減少傾向の拡大に言及し,日本歯科医師会として地域の歯科医療提供体制への不安を払拭するための施策に継続して取り組んでいく旨を強調した.

シンポジウム1は「歯科におけるリアルワールドデータ活用の過去・現在・未来─政策立案から住民の健康まで」と題して,同領域で活躍する4名が登壇.最初に大野幸子氏(東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座)は「歯科RWDの概要」と題して,近年,整備が進んでいる歯科のリアルワールドデータ(RWD)について述べ,続いて,佐藤美寿々氏(北海道大学大学院歯学研究院予防歯科学教室)が「RWD を用いた歯科疫学研究の紹介」として,研究の実例を提示した.草間太郎氏(東北大学大学院歯学研究科)は「リアルワールドデータを用いた保健医療政策の評価─EBPM に基づく歯科保健医療政策の推進に向けて」として,研究成果の政策への展開について述べ,最後に井田有亮氏(東京大学大学院医学系研究科医療情報学分野)が「歯科データの標準化および自治体保有データの電子化について」と題して,データ整備の課題を挙げた.


 シンポジウム3は「禁煙支援教育の実践と挑戦:歯科衛生士の専門性を活かして」と題して4名が登壇.山村有希子氏(千葉県立保健医療大学健康科学部歯科衛生学科)は関東圏の歯科衛生士を対象として,禁煙支援の実施状況についての調査を行い,喫煙による為害性に関する教育は歯科衛生士養成機関で行われているものの,具体的な禁煙介入方法についての教育はほとんど行われていないことを報告.細見 環氏(関西女子短期大学)は『歯科衛生学教育コア・カリキュラム』(全国歯科衛生士教育協議会)において,『歯科衛生士国家試験出題基準』同様,専門分野の歯科保健指導に禁煙支援が位置づけられていること,教科書では『歯科衛生学シリーズ 歯科予防処置論・歯科保健指導論』(医歯薬出版)において収載されていることを説明.埴岡 隆氏(宝塚医療大学保健医療学部口腔保健学科)は本学会禁煙推進委員会のこれまでの活動報告を踏まえ,WHO研修プログラムを基盤とし,歯科医師・医師との医療連携を意識し,開発した5A5R介入ロールプレイ動画を紹介.大森智栄氏(梅花女子大学看護保健学部口腔保健学科)は病院歯科で頭頸部がん患者の禁煙支援にかかわってきた経験を踏まえ,教育においても歯科保健指導だけではなく,歯科診療補助とからめた禁煙支援の取り組みを提案した.また,座長を務めた尾﨑哲則氏(日本大学)からは,今春発行された『歯科衛生士のための禁煙支援ガイドブック 第2版』(医歯薬出版)が紹介され,新たに演習が追加されたことやWHOが推奨する歯科簡易タバコ介入「5つのA」と「5つのR」のロールプレイ動画,本学会が2024年に作成した『日常の歯科臨床における簡易禁煙支援のための手引書』(日本口腔衛生学会禁煙推進委員会・予防歯科臨床委員会)のQRコードを収載したことを示し,タイトルは歯科衛生士になっているものの,歯科医師・歯学生にも十分に使えることを強調した.
左から大森智栄氏,埴岡 隆氏,細見 環氏,山村有希子氏
シンポジウム8は「学術的・社会的インパクトを生む研究とは:口腔衛生学の未来を拓く論文発信」のテーマで,口腔衛生学研究を牽引する4名が登壇.久保庭雅恵氏(大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学講座)は「このデータを出すの,無理かも?」と題して,研究結果を論文発表に上手く結びつけるためのポイントを示し,続いて竹下徹氏(九州大学大学院歯学研究院)は「新たな口腔健康増進アプローチの構築に向けた研究戦略」として,現在,同氏が進める口腔常在微生物叢の研究を紹介した.相田潤氏(東京科学大学大学院医歯学総合研究科歯科公衆衛生学分野)は「国際的に注目される論文を書くには?:コンテクストを理解して巨人の肩に乗る」と題して,我が国から世界に向けて研究成果を発信する為に必要な考え方を整理した.最後に竹内研時氏(東北大学大学院歯学研究科)が「リアルワールドデータが拓く歯学研究の新展開:国際的潮流と社会実装への道筋」と題して,研究成果を社会実装に結びつけるための情報発信のポイント等を示した.

シンポジウム9は「予防歯科臨床におけるエビデンスの整理と将来構想」と題して,3名が登壇.皆川久美子氏(新潟大学医歯学総合病院)はわが国において70歳で65%の罹患率である根面う蝕の進行抑制について,認知機能の低下や全身状態を配慮して,フッ化ジアンミン銀塗布などの侵襲性の低い介入を提言.江國大輔氏(岡山大学学術研究院医歯薬学域予防歯科学分野)は非感染性疾患〈NCDs〉のうち歯周病は人類に蔓延している疾患の1つであるが,わが国においても歯科医院での受診率も歯周疾患検診の受診率も高くない実態を報告.竹内倫子氏(岡山大学学術研究院医療開発領域歯科)は口腔機能低下症の7項目評価に基づき,介入期間,介入頻度,年齢・健康状態,介入内容の概要をまとめ,効果を比較検討した結果を報告.
左から竹内倫子氏,江國大輔氏,皆川久美子氏
 75回の歴史をもつ大会だが,沖縄での開催は初となった本大会.前日まで同場所で開催されていた日本小児歯科学会につづき,多くの出展企業も協賛するなか,縁起の良いかりゆしウェアを身に纏った多くの参加者に彩られ,雨にも負けない熱気に包まれた3日間となった.次回,第76回学会学術大会は2027年5月14日(金)~16日(日),北九州国際会議場(大会長:安細敏弘氏/九州歯科大学)にて開催予定.
ポスター会場の様子
ランチョンセミナー(実行委員長の石塚洋一氏)

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