2025/12/02
11月29日(土)~11月30日(日),標記学会総会〔名誉大会長:金井忠男氏(埼玉県医師会長),大会長:藤田英雄氏(自治医科大学附属さいたま医療センター総合医学第1講座主任教授)〕が,「科学でつなぐ禁煙と健康社会」をテーマに,大宮ソニックシティ(埼玉県さいたま市)で開催された.
歯科委員会セッションでは,「歯科医院ではじめる簡易禁煙支援5A・5R法 歯科大・歯科衛生卒前教育から,HC/HTP喫煙歯科患者の不協和対応まで.」と題して,埴岡 隆氏(宝塚医療大学)が登壇(座長:尾﨑哲則氏).
FDI(世界歯科連盟)ともに,WHOが推奨している5A〔Ask(質問),Advice(助言),Assess(評価),Assist(支援),Arrange(調整)〕・5R〔Relevance(関連),Risks(危険),Rewards(褒美),Roadblocks(障壁),Repetition(反復)〕の簡易禁煙支援法を説明.また,歯科医師国家試験や歯科衛生士国家試験にも禁煙支援に関連する問題が出題されていることを報告.加えて,視覚素材である『加熱式タバコを含む脱タバコ歯科治療普及のためのeラーニング搭載用模擬カウンセリング動画』,「禁煙準備ができていない歯科患者を対象としたアプローチ(軽度歯周病患者で妊孕背景あり)」「禁煙準備ができている歯科患者を対象としたアプローチ(口腔粘膜異常のため受診)」「禁煙準備ができていない歯科患者へのアプローチの例(加熱式タバコに切り替えた喫煙者)の3本(1本約15分)を会場で流し,歯学生・歯科衛生士学生に向けての教育に活用できることを紹介.
タバコは口から入るものであり,口腔を専門とする歯科がアクションを起こさない理由はないこと,また,口腔内の変化は対象者自身が見えるという利点からも歯科からの禁煙支援への介入をすすめるべきとし,とくに,卒前教育に力を入れる必要があることを提言.なお,この視覚素材については,改訂進行中の歯科衛生士向けのテキスト『歯科衛生士のための禁煙支援ガイドブック』(2026年春発行予定)にも演習として使えるように収載予定である.
次回,第20回学術総会は2026年10月24日(土),25日(日),広島にて開催予定.