2025/11/17
2025年11⽉16⽇(⽇),標記講演会が『DO or NOTHING』をテーマに東 京科学⼤学⻭学部特別講堂(東京都文京区)にて開催された.
the Way to Endodontics in Newera(WEiN:ワイン)は2013年, 林 洋介氏(東京都開業)と八幡祥生氏(東京科学大)をファウンダーとし,東京医科⻭科大学⻭髄生物学分野で研鑽を積んだOBを中心に発足された⻭内療法に特化した勉強会.今回の特別講演会は昨年に引き続き第2回目となる.
まず最初に林氏が『Decision Making(意思決定Do or Notihing)の分岐点』のテーマで登壇.根管内に残存している破折ファイルをデンタルX線写真上で確認したとき,除去するのか経過観察か,その意思決定についてさまざまな症例のX線写真をもとに解説.症例の難易度を見極めることの重要性と,病変がある場合には除去が第一選択だが,必ずしも非外科的な治療が第一選択になるのかどうか,その判断の重要性を示した.
続いて窪谷拓馬氏(フリーランス⻭内治療医)が『非外科的治療根管治療が困難な根尖病変に対する処置』のテーマで登壇.非外科的根管治療ができなかった⻭に対して逆根管治療を施した症例について臨床所見,治療計画,decision making,治療計画,治療手順と経過を丁寧に報告した.
八幡氏は『どこまで歯を保存するのか』のテーマで登壇.抜⻭したほうが咬合や顎位が安定する症例も多くあるなかで,保存することを選択した症例を供覧.治療選択におけるプロセスにおいてロジックに基づいたエビデンスのその少し先を見据えることの重要性を示した.
⼭内隆守氏(東京都)は『⻭根破折⻭における保存と抜⻭』のテーマで登壇.垂直性⻭根破折⻭において保存処置を試みたなかで保存できたケース,抜⻭に⾄ったケースを供覧しその傾向について解説した.テイクホームメッセージとして知識と技術を兼ね備えつつチャレンジ精神を持つことの重要性を説いた.
倉本将司氏(東京都)は『⼤きい根尖病変』のテーマで登壇.⼤きい根尖病変を有する⻭に対し, ⾮外科的根管治療で治癒が期待できるのか,あるいは外科的根管治療が必要となるのか,抜⻭が適当となるのか,臨床的判断に迷う場⾯でどのような治療方針を選択するかについて,症例を供覧しながら文献も踏まえて丁寧に検討した.
須藤 享氏(宮城県)は『Intentional Replantationという選択』のテーマで,Intentional Replantation(意図的再植術)の有用性と課題について多くの症例をもとに考察.意図的再植術は予後のリスク等からLast resort(最終手段)ではあるものの必要なオプションであると述べた.
古畑和⼈氏(埼玉県)は『破折⻭症候群への対応とその経過』のテーマで登壇.Cracked Tooth Syndrome(CTS)について「歯髄保存できた」「できなかった」「やらなかった」3パターンの実例を通して,意思決定のときどんなことを考慮したかを解説.エビデンスに基づいた治療クライテリアやポイントを紹介した.
吉岡俊彦氏(広島県)は『様々な穿孔封鎖症例』のテーマで登壇.難治性の穿孔封鎖症例を提⽰し,使⽤材料の特性や臨床⼿技上の留意点,さらに保存の可否を左右する判断基準について考察.穿孔封鎖の臨床的可能性と限界を共有した.
最後に辺⾒浩⼀氏(東京都)が『進⾏した侵襲性⻭頚部外部吸収の⾮外科的治療の限界を考える』のテーマで登壇.進⾏したECR(侵襲性⻭頚部外部吸収)に対する⾮外科的保存の限界について,症例をもとに解説した.