2025/11/10
2025年11月9日(日),標記発表会が「SCAN THE FUTURE デジタルで変わる診療のカタチ」をテーマにパピヨン24ガスホール(福岡県福岡市)で開催された.STEPは田中秀樹氏が立ち上げたスタディグループで,11回目の発表会以降,R(主宰:徳永哲彦氏),PABC(主宰:安東俊夫氏)との共催で行われている.
発表会は,Part1からPart4の4部構成で実施され,歯科医師,歯科衛生士,歯科技工士が各専門分野におけるデジタル技術の活用法について発表を行った.
Part1:総論では,荻野真介氏(福岡県)がプランナーを務め,「IOSやCAD/CAMだけじゃない!デジタル技術を理解して活用しよう!!」と題し,デジタルデンティストリーにおいてCAD/CAMやIOSが中核を担う存在となる一方で,これらの基本をしっかり理解し活用できているか問いかけた.
梅本唯美氏(福岡県)は「情報共有で変わる患者の未来」と題し,歯科衛生士の立場から患者教育におけるデジタル活用について発表した.
桑原 崇氏(佐賀県)は「VRメタバースとスマートグラスを用いたチェアサイドラボサイドコミュニケーション」と題し,CAD/CAMや3Dプリンターといったデジタル支援技工が急速に発展する一方で,歯科技工士とのコミュニケーションが最終的な成果と患者満足度に大きく影響することを指摘した.
Part2:補綴では,古賀弘毅氏(福岡県)がプランナーを務め,「デジタル補綴,クオリティ向上への挑戦~歯科医師,歯科技工士それぞれの奮闘~」について発表し,歯科医師,歯科技工士それぞれの立場から,デジタル活用における問題とその解決策を紹介した.
廣末将士氏(福岡県)は「臨床を支えるデジタル技工ワークフローの実際~光学印象から補綴物完成までを俯瞰する~」と題し,歯科技工士の立場から技工工程を紹介し,臨床との橋渡しとして共有しておきたいポイントや臨床での工夫について報告した.
原田慎之介氏(福岡県)は「次世代の補綴修復治療~クオリティを求めたデジタルアプローチ~」と題し,デジタル活用の取り組みを紹介したうえで,どのような環境下でもクオリティを維持したままデジタルのメリットを生かすための現時点での補綴修復治療の到達点について考察した.
Part3:インプラントでは,鬼村朋宏氏(宮崎県)がプランナーを務め,「インプラント治療におけるデジタル化の進化と臨床への応用」について概説し,インプラント治療が従来の経験依存型から再現性の高いデジタルワークフローへと進化していることを解説した.
布巻純治氏(山口県)は「上顎前歯抜歯即時埋入~iOSを用いた即時修復~」と題し,上顎前歯部インプラント治療の難しさを整理しつつ,デジタル技術によって変化した臨床の実際とその展望を報告した.
上田忠司氏(福岡県)は「臼歯部インプラント治療におけるデジタルガイドの有用性」について発表し,さまざまな症例を供覧するとともに,デジタルを利用したガイドが臨床において安全性と予知性を向上させる有効な手段であることを示した.
Part4:矯正では,山尾康暢氏(福岡県)がプランナーを務め,「アナログからデジタルへ~次世代矯正治療のカタチ~」と題し,近年のデジタル技術の進展により矯正治療が大きな変革を遂げつつあることを解説.
安河内康史氏(福岡県)は「未来をデザインする矯正治療~GPアライナー臨床のリアルと展望~」と題し,アライナー矯正治療の”リアル”を整理し,デジタルによってGPの臨床を新たにデザインする視点から,その意義と課題,そして未来への展望を提示した.