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第55回公益社団法人日本口腔インプラント学会学術大会 開催される
 10月24日(金)~26日(日),福岡国際会議場・マリンメッセ福岡B館(福岡県福岡市)にて標記大会が「国民から信頼される口腔インプラント治療-医療DXが切り開くインプラント治療の未来-」をテーマに開催された(大会長:細川隆司氏・九歯大).

 シンポジウム5「口腔インプラント治療における再生医療の現況と将来展望」では,3名の演者が登壇.
 黒嶋伸一郎氏(北大)は「マイナスの観点から口腔インプラント治療に必要な再生医療を科学する」のテーマで,自身の教室が行う薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)に焦点を当てた基礎的・臨床的研究を紹介.再生医療という観点から,基礎的・臨床的研究において,MRONJ を予防・治癒・緩解させる治療戦略に関する基盤構築の可能性を示した.
 秋山謙太郎氏(岡山大)は「細胞移植に頼らない再生医療の最前線」のテーマで,細胞移植は有望だが臨床現場での実装にはハードルが高いことを前提に,間葉系間質細胞 (MSCs)移植療法を中心に,体内の内在性幹細胞を活性化し組織の自然治癒力を引き出すアプローチを紹介.細胞移植に依存しない再生医療の基礎研究の成果を紹介しつつ,MSCの局所環境(幹細胞ニッチ)をいかに制御・最適化するかが,再生の成否を左右する要因であることを示した.
 村上伸也氏(大阪大)は「FGF-2製剤が変える歯科再生医療の将来展望」のテーマで,リグロスの臨床試験や症例を通してその治癒効果や限界等を紹介しながら,FGF-2 製剤を用いた歯周組織再生療法の現状と課題について概説.歯科再生医療の分野におけるFGF-2製剤の将来展望を示した.


 特別シンポジウム「AIとロボティクスが切り拓く歯科医療の未来」では3名の演者が登壇.
 西田 健氏(北九州市立大)は「インプラント×生成AI 異分野融合の最前線 ~対話型セカンドオピニオンシステムの共創~」のテーマで,まず社会に浸透するAIとロボット技術の最前線と動向について概説.後半では九州歯科大との共同研究として生成AIを利用した対話型セカンドピニオンシステムを紹介し,講演の最後にはAIの来年以降のキーワードとして「AI拡張」(人間をAIに置き換えるのではなく,人間とAIが協働して仕事をより容易かつ優れたものにする考え方)を挙げた.
 野崎貴裕氏(慶應大)は「AI とロボティクスが切り拓くAutomatic Dental Surgery」のテーマで,人間が創り出す優しく柔軟な動作を人工的に生み出すことが可能なロボット技術『リアルハプティクス』 と,その歯科医療への応用について紹介.「触覚」を感知する本技術が遠隔手術や遠隔診療を現実のものにすることをふまえ,歯科インプラント手術における上顎洞の貫通時自動停止システム,および自動制御によるLe Fort Ⅰ骨切りシステムの開発について,最新の成果等を紹介した.
 山口 哲氏(大阪大)は「AIの最前線 〜最新技術と歯学研究への活用事例〜」のテーマで,AIが注目されるようになった背景や,最新技術によって可能となったこと,さらに実際の歯学研究や臨床現場でのAI応用とその注意点等について概説.あわせて,歯科診断・治療支援システムの開発における深層学習や生成AIを含むAI技術の具体的な活用事例を交えながら,今後の歯科医療および歯学研究への展望を示した.

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