2025/10/20
2025年10月19日(日), ベルサール東京日本橋(東京都中央区)にて,標記発表会が開催された(会長:渡辺隆史氏,明海大学・朝日大学歯学部生涯研修部長).
同生涯研修部では、高度な専門的知識と技術を持つ総合臨床歯科医師の育成目的として2014年度から歯科総合医育成コース認定医制度を開設し、総合医を誕生させた.総合医らが一同に会して症例検討を行う「歯科総合医症例発表会」は,今回で第二回目にあたる.
特別講演では,河原英雄氏(福岡県)が「83年の人生を振りかえって」と題して登壇した.氏が家業から多くの学びを得て,歯科治療においても同様の実践を行うことで,「患者さんを喜ばせる」治療のためにあらゆる技術を貪欲に吸収した軌跡が語られた.そのダイナミックな医療観に対して,会場からは感嘆のため息さえ漏れた.
症例発表では,11名の演者が登壇した.
「Ridge Preservationを用いてインプラント治療を行った症例」の演題で登壇した大串侑暉氏(福岡県)は、Ridge Preservationを用いて3次元的に顎骨を再建した症例を報告した.
「上顎前歯単独欠損に於けるインプラント治療の1症例」の演題で登壇した磯貝佳史氏(千葉県)は、水平的骨吸収が顕著な患者に対してインプラント埋入をする際に,長期的予後を考えて行った例を供覧した.
「接着性ブリッジを行った一症例」の演題で登壇した松本和也氏(東京都)は、前歯の動揺を主訴に来院した患者に対して,保存不可能である旨を説明したうえで接着性ブリッジを選択した症例を解説した.
「エンド・ペリオ病変の病態診断と方針決定のためのデイシジョンツリー」の演題で登壇した堀井信成氏(新潟県)は、術前診断から治療方針を導き出すまでのプロセスについて,実際の症例を参照しながら供覧した.
「Application of digital equipment in occlusal reconstruction: a case report」の演題で登壇した清水太郎氏(新潟県)は、咬合崩壊を起こした患者に対して行ったデジタル機器による咬合再構成の始終を紹介した.
「私の考えるマウスピース矯正の適応と可能性」の演題で登壇した青木義親氏(新潟県)は、マウスピース矯正の得手不得手を紹介したうえで,実際に不正咬合を改善した症例を報告した.
「重度歯周疾患者に対してIOSを応用して上顎総義歯を作製し、咬合回復を行った一症例」の演題で登壇した鈴木惇也氏(千葉県)は、重度歯周炎患者に対してIOSを用いて義歯製作を行った症例を供覧した.
「臨床診断改訂版」の演題で登壇した有近一幸氏(神奈川県)は、来院した歯根破折の患者に対し,「どう治すか」よりも「何が問題か」を追求し続けて治療にあたった症例を紹介した.
「吸頭干渉による咬合違和感を訴える患者に対し咬合再構成を行なった一症例」の演題で登壇した玉置佳嵩氏(神奈川県)は、印象採得を複数回行うことによって患者が許容できる範囲に中心咬合位を求めることに成功した例を報告した.
「前歯部の歯牙破折と既根管治療歯穿孔を治療したケース」の演題で登壇した佐野 潤氏(東京都)は、矯正的挺出や歯冠長延長術を駆使し,上顎切歯に歯冠歯根破折を認める患者の治療を行ったことを発表した.
「咬合調整によって咀嚼効率が変化した2症例」の演題で登壇した関 勇樹氏(長野県)は、河原英雄氏が提唱するリマウント咬合調整法によって,高齢患者の咀嚼効率が安定したことを報告した.