2025/10/14
10月12日(日)~13日(月)、標記学術集会が「新たなる出会い」をテーマにあいち健康プラザ(愛知県知多郡)にて開催された〔大会長:山本和由氏(あいち小児保健医療総合センター)〕。
シンポジウム1「日本睡眠歯科学会診療ガイドライン2025」では、まず座長の古橋明文氏(愛知医大)が「『日本睡眠歯科学会 診療ガイドライン』のこれまでの歩みと今後の展望」と題し、第一期(2013年)~第四期(2025年)にわたる本診療ガイドラインの変遷をおさらいしつつ、診療ガイドラインの作成手順の解説や2025年版のポイントを概説した。
続いて長谷部大地氏(新潟大)が「閉塞性睡眠時無呼吸における口腔内装置療法(下顎前方移動型)の有効性に関した診療ガイドライン(改訂版)」のテーマで、改訂版診療ガイドライン(2017年改訂版のCQ2)の作成過程についてGRADEシステムに基づいて丁寧に解説。またガイドライン作成におけるマンパワー不足など今後の課題・問題点についても言及した。
石山裕之氏(科学大)は「睡眠時無呼吸における持続陽圧呼吸療法と口腔内装置の同時使用の有効性に関した診療ガイドライン」のテーマで登壇。CPAPとOAそれぞれの特徴・限界から同時使用の可能性について概説後、ガイドラインの推奨文に至る過程を詳細に解説。今後はさらなるRCTや長期追跡研究により有効性・安全性・費用対効果の検証が求められる、とした。
西尾佳朋氏(愛知県)は「閉塞性睡眠時無呼吸における上下顎骨前方移動術の有効性に関した診療ガイドライン」のテーマで登壇。冒頭で推奨文と付帯事項を提示した後、その背景を順に解説。今後、保存療法とMMAを比較検討するRCTが増えることが望まれる、とした。
シンポジウム4「ウェアラブル筋電計、私はこう使う~睡眠時歯科筋電図検査での有効活用やさらなる展開」では、まず山口泰彦氏(北大)より「ウェアラブル筋電計の臨床応用のポイント」と題して、ウェアラブル筋電計を使用した診断における安静時基線部分の基準や波形解析区間の設定、解析結果の重度の捉え方、波形の形態的特徴の捉え方など臨床でのポイントを特徴的な症例も紹介しながら解説。今後の展開としてサブタイプ別データの蓄積やスポーツ医学やリハビリ分野など他分野での応用についても言及した。
鈴木善貴氏(徳島大)は「ウェアラブル筋電計を用いて睡眠時・覚醒時ブラキシズムを鑑別する」のテーマで登壇。ウェアラブル筋電計を睡眠時だけではなく、夕方頃の覚醒時から装着して計測・解析した例や、ジストニア症例の覚醒時のオクル―ザルアプライアンス装着・非装着の比較などわかりやすく解説。覚醒時も含めてウェアラブル筋電計で咬筋活動を記録しておく有用性を示した。
大井一浩氏(金沢大)は「顎変形症患者におけるウェアラブル筋電計を用いた睡眠時ブラキシズムの評価」のテーマで登壇。顎変形症患者の特徴を顎変形症患者への多岐にわたる調査をもとに解説後、ウェアラブル筋電計を用いて睡眠時の咬筋活動と顎骨形態との関連を検討し、顎変形症患者の睡眠時ブラキシズムの特徴を検討した研究について報告。ブラキシズム・顎関節症・顎変形症の関連性を前向きに研究することが顎変形症の後天的な発症要因の解明につながるとした。
藤巻弘太郎氏(東京都)は「日常臨床での睡眠時筋電図検査のススメ」のテーマで登壇。開業医の立場から、睡眠医療のなかでの歯科の役割、歯ぎしり・食いしばりの判断基準、ブラキシズムに起因する歯科的問題、ウェアラブル筋電計を用いた診療手順などさまざまな話題について言及した後、症例をもとに日常臨床でのブラキシズム患者への対応、ウェアラブル筋電計の使用の実際について解説した。