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日本臨床歯周病学会第43回年次大会 開催される
 7月26日(土)~27日(日)に標記大会が広島国際会議場(広島県広島市)にて,「ペリオサミット2025 in 広島 ~重度歯周炎 StageⅣへの挑戦~」をテーマに開催された〔大会長:大江丙午氏・岡山県).

 特別講演1では「歯周病の新分類を考察する~遺伝的要因の強い歯周病患者の存在を中心に~」のテーマで水野智仁氏(広島大)が登壇.当初予定の第三会場のみでは収まらないどころか,サテライトの第四会場も満席になる盛況ぶりのなか,まず「歯周炎の分類(Grade Cを中心に)」「侵襲性歯周炎の定義」「侵襲性歯周炎は治癒するのか」それぞれのポイントについて丁寧かつテンポよく解説.侵襲性歯周炎は治療が成功する患者,うまくいかない患者が存在することを考えると,高度な歯周組織破壊という共通した結果を示すが,その結果は多様である可能性がある,との見解を示した.
 また後半は「侵襲性歯周炎の原因遺伝子同定」と題して主にMMD2の変異が,ある割合の侵襲性歯周炎患者の発症に関与している可能性について解説.考察として侵襲性歯周炎の原因遺伝子はおそらく多数存在し,それによって治療の予後も変わる可能性があるとし,MMD2に続く原因遺伝子の同定が今後の課題であるとした.

 歯科医師・歯科衛生士シンポジウム1(アドバンスセッション1)「ステージ・グレード診断における治療法(StageⅢおよびⅣへの対応)の検証 歯周外科治療(STEP3)の検証およびStageIV症例への対応」第一部では,まず座長兼任の前田大輔氏(北海道)が「The EFP S3 level clinical practice guidelineにおけるSTEP 3 歯周外科手技の対応」のテーマでEFPガイドラインにおけるステージ分類をおさらいしつつ,本シンポジウムの概要を示した.
 続いて中山洋平氏(日大松戸)が「STEP 3歯周外科手技と対応『骨内欠損(contained lesion uncontained lesion)』」のテーマでEFP STEP3骨内欠損ガイドラインの概要,歯周組織再生療法の戦略,FGF2製剤における骨内欠損の対応について症例を交えて解説した.
 山口文誉氏(神奈川県)は「<根分岐部病変Ⅱ度>ペリオドンタルマイクロサージェリーによる歯周組織再生療法」のテーマで上顎隣接面の再生療法,上顎遠心の再生療法などについて自身の手術中の動画を用いてマイクロサージェリーを用いた歯周組織再生療法の症例とその手術手技・手順を供覧した.
 渥美克幸氏(埼玉県)は「歯周-歯内病変のサイエンスとアート」のテーマで歯周-歯内病変へのアプローチ法をガイドラインなど理論的なバックグラウンドの解説をふまえつつ,さまざまな症例を示しながら実践的な手法を供覧した.

 歯科医師・歯科衛生士教育講演2 (ベーシックセッション2)では,「基礎から学ぶ歯周病の新分類 ~アップデートと臨床活用~」をテーマに,星 嵩氏(新潟県)が登壇した(座長・辻 翔太氏/大阪府).
 2018年に発表された「歯周病の新分類」について,今だに臨床現場ではわかりにくいという声が聞かれるなか,日常臨床においてどのように落とし込んで活用していくか,診断や解釈の仕方等について事例を元に解説された.解釈が分かれる可能性のあるグレーゾーンのケースや術者の治療計画によっては診断が変わりうるケースがあること,活用するには新分類についてのベースとなる知識が必要となること,歯周治療のゴールは必ずしも一律ではないことなど,現場に即した具体的な情報・視点が示された.
 朝一番の講演にもかかわらず,歯科医師・歯科衛生士の聴講者で会場内は満席となった.

 次回大会は,2026年6月20日(土),21日(日)に開催される予定である(於:札幌コンベンションセンター).

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