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第66回日本歯科医療管理学会総会・学術大会開催される
 7月18日(金)~7月20日(日),中小企業振興会館(那覇市)にて,標記学会総会・学術大会(大会長:比嘉良喬氏)が,「2040年 未来に向けての羅針盤」をテーマに開催された.13年前の第53回大会(大会長:比嘉氏)では沖縄県歯科医師会の会長として開催したが,今回は九州歯科医療管理学会会長としての開催である.
大会長の比嘉良喬氏
 基調講演では,「今後の地域医療構想について」と題し,中田勝己氏(厚生労働省医政局医事課長)が登壇.2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革について報告.医療DX・オンライン診療の推進,医師偏在対策,美容医療への対応など,医療法改正も含めて制度の見直しを進めていくことを予定しているという.
中田勝己氏
 シンポジウム「2040年 未来に向けての交錯する3本の軸」では,3名のシンポジストが登壇.岡本佳明氏(医療法人社団湧泉会ひまわり歯科)は「地域支援型多機能歯科診療所としての当院の取り組み」と題し,閉院した歯科医院の歯科医師(歯科矯正)の招聘や,家族の海外勤務に伴い米国からの遠隔勤務を取り入れている事例を報告.小野清一郎氏(医療法人社団ビクトリア会小野歯科医院)は「ICT時代の歯科診療所」と題し,冷蔵庫にスペアパーツとして自分の歯を保管し,それらを移植する未来が到来するかもしれないなど,自身の未来予想図を披露.藤井一維氏(日本歯科大学)は,「これからの歯科医師教育の問題点と課題」と題し,歯科大学の入学者の減少,共用試験の公的化,国家試験合格率の低迷,教員不足と課題が山積しているなか,大学では学ぶことができない地域の歯科医院と患者との関係性,いわゆる『赤ひげ診療譚』のような医療の原点のようなものを本会員の先生方から学生に学ばせたいと協力を訴えた.
左から岡本佳明氏,小野清一郎氏
 特別講演では,「これからを見すえた高齢者への歯科的対応」と題し,藤井 航氏(九州歯科大学歯学部)が登壇.わが国の軽度認知障害(MCI)は約560万人(全人口の約15.5%)存在しており,認知症のために歯科治療が提供できないという理由にしないために予防的アプローチと包括的なケアをリハビリテーション・栄養・口腔の三位一体で行うことが急務であると提言.
藤井 航氏
 教育講演では,「絶対的歯科医行為と相対的歯科医行為」と題し,鶴田 潤氏(東京科学大学)が登壇.歯科医療を取り巻く社会の変化に伴い,歯科衛生士の歯科診療補助業務の内容について検討事案が増えていることから,法を正しく理解し,国民のニーズにこたえられる安全・安心な歯科医療を提供できるよう,『新版 歯科医療管理』(医歯薬出版)を用いながら認定研修会として講じた.
鶴田 潤氏
 最後の特別講演では,「歯科におけるこれからの“患者-医療者関係”を考える」と題し,木尾哲朗氏(九州歯科大学)が登壇.時代が変化しても「安心・安全・信頼そして満足」の歯科医療を実現するためには患者との関係づくりが重要で,プロフェッショナリズム教育や医療コミュニケーション教育の必要性とコア・スキルを会場の参加者を巻き込みながら講演し,本大会を締めた.
木尾哲朗氏
 ほか口演発表およびポスター討論の演題数も数多く,休憩時間がほぼとれないほど充実した2日間となった.本学会では臨床研修指導医をつくることを検討しているとのことで,2040年に向けて医療安全と地域連携を柱にした信頼できる「かかりつけ歯科医」の構築に向けて臨床と教育の融合がはかられた.
 次回,第67回学術大会は,2026年7月10日~12日,横浜にて開催予定(大会長:大金 誠氏).
ポスター会場の様子
迫力ある琉球太鼓を披露(懇親会にて)

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