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第63回日本小児歯科学会大会 開催される
 5月29日(木)・30日(金),標記会が【生涯の確かな礎を目指して】をメインテーマに朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟市中央区)にて開催された(大会長:早﨑治明氏/新潟大学大学院医歯学総合研究科小児歯科学分野 教授).
会場の様子
 初日の特別講演では,「みんなで障害児の歯科診療をやりませんか!」と題し,野本たかと氏(日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座 教授)が登壇.
 全国の障害児が単に「障害がある」というだけで診療を断られ,大学病院での全身麻酔が必要な診療では約半年待ちになるなど,障害児の歯科診療に大きな課題がある現状を解説.「障害による不利益は環境によるもの」と強調したうえで,行動調整法や診療の工夫,また障害者への誤解を解消することで,一般歯科診療所でも障害児の診療は十分に可能であることを解説した.

教育講演1では,「周産期管理から小児歯科管理へ―咀嚼の基礎としての”吸啜”の意義―」と題し,松原まなみ氏(朝日大看護学科)が登壇.母乳哺育と人工乳哺育の違いが口腔機能の発達にどのように影響するかを解説した.母乳哺育には子どもの栄養・免疫学的な利点だけでなく,母親にとっても健康的なメリット(出産間隔をあける,女性特有のがんリスクの軽減など)があるとし,咀嚼の基礎作りとして口腔機能発達にも大きく寄与すると示した.

シンポジウム2「生涯の確かな礎を目指して」では,早﨑治郎氏(同前),斎藤正人氏(北海道医療大学歯学部小児歯科学分野 教授),岡 暁子氏(福岡歯科大学成育小児歯科学分野 教授),石谷徳人氏(イシタニ小児・矯正歯科クリニック 院長)が登壇.
 斎藤氏は全国の小児歯科学教室医局員へのアンケート調査を紹介し,専門医を目指す理由や小児歯科への志・目的等について紹介した.
 岡氏は「これからの小児歯科医療の礎を創るために」と題し,教室運営や人材育成への取組みを紹介.40名以上の医局員を擁するに至った教室理念(Diversity,Suitable,Branding)等を解説した.
 石谷氏は「これからの小児歯科開業医について考える」と題し,自院の小児歯科診療における口腔管理システムを紹介.経営的な視点や,将来的な小児歯科診療の展望等についてまとめた.
野本たかと氏
 認定歯科衛生士必須研修セミナーでは,清水清恵氏(東京都江戸川区・清水歯科クリニック)が「子どもの心と体を育てる良い眠り~あなたの気づきが変えるその子の未来~」と題し登壇.
 日本の子どもの睡眠の現状や問題点について解説したうえで,胎児期・小児期の睡眠は脳を作り育てるため,時間・リズム・質ともによい睡眠が重要であり,そのためには鼻呼吸習慣を早期に身につける必要があると説明した.
 また,疾患があり耳鼻咽喉科での保存治療を行う場合にも,歯科で併行して舌機能の育成や,口唇閉鎖・鼻呼吸促進の訓練を行うことが重要だと強調した.
清水清恵氏の講演の様子
 2日目には,JSPP 企画講演「地域から信頼される歯科医院への道~口腔機能の育て方を指導する力~」(土岐志麻氏/全国小児歯科開業医会),教育講演2「医療的ケアなど特別な支援が必要な子どもたちに届ける小児歯科のニュー・ノーマル」(松野頌平氏/医療法人メディエフ寺嶋歯科医院,小児在宅歯科医療研究会),男女共同参画委員会企画セミナー「Think Globally, Act Locally. ~小児歯科医師,デンタルミラーから世界を見る.そして新たな挑戦へ~」(藤瀬多佳子氏/大分県口腔保健センター)などが講演された.
 次回第64回大会は,2026年5月21日(木)・22日(金),「チャンプルーの心で育むこどもの笑顔」をメインテーマに,沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市)にて開催予定(大会長:苅部洋行氏/日本歯科大学生命歯学部小児歯科学講座 教授).

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