2025/05/11
5月10日(土),11日(日),日本歯科大学生命歯学部にて標記大会が「デジタル技術の潮流と革新ーデジタル技術は歯科医療を変革したか?ー」をテーマに開催された(大会長:新谷明一氏・日歯大).
大会長講演「デジタル技術の潮流と革新」では,新谷氏が同学会の前身となる日本歯科CAD/CAM学会発足後,同学会誌発行からの14年間におけるデジタルデンティストリーの変遷と潮流を概観.いまやCAD/CAM冠用材料が全歯種の歯冠修復を対象とするに至ったことを踏まえて,次なる展開として欠損補綴(ブリッジ)への応用が期待されるとした(座長:末瀬一彦氏・同学会理事長,奈良県歯科医師会).
特別講演1「デジタルデンティストリーにおけるフィニッシュラインの重要性」では,山﨑長郎氏(東京都)がデジタル技術を活用した審美修復症例を供覧.その成功と長期予後のポイントとして,スムーズな支台歯形成,マージンクオリティの担保によるマイクロリーケージ防止,接着システムの正しい理解,適切な咬合接触の付与,歯科技工士の匠の技術を生かした補綴装置製作をあげた(座長:宮﨑 隆氏・昭医大国際交流センター).
特別セミナー『世界のデジタルイノベーションとISO規格』では,高橋英和氏(科学大)が「歯科医療機器のISO規格はどのように作られるのか。」と題し, 国際標準化機構(International Organization for Standardization)の定める国際規格であるISO規格の概要と規格策定までのプロセス,ISOとJIS(Japanese Industrial Standards)規格との関係について概説した.
武本真治氏(岩医大)は「最新の歯科材料規格の潮流」と題し,国際標準化機構における歯科技術専門分科会(ISO/TC106)における補綴材料の分科会(SC2)で扱っている材料・器機開発に関する規格について解説した.
大熊一夫氏(日歯大新潟)は「ISO規格化に向けて―CAD/CAMで利用される機器を評価するための規格化の経験から―」と題し,ISO23298:2023(機械製作された歯科用修復物における加工精度の評価方法)の原案提案者の立場から規格化に至る経緯や取り組みを紹介した.
山口 哲氏(阪大)は「AIに基づくX線画像分析の規格の現状と今後の展開」と題し,2025年4月30日に初版出版となったISO18374:2025(歯科―人工知能及び拡張知能による2次元X線画像分析―データ生成,データ注釈及びデータ処理)の概要や歯科におけるAIの現状について述べるとともに,AIはあくまでも支援ツールであり歯科医師が最終的な意思決定を行う必要性を強調した(座長:高橋氏).