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HDA_ReAFコース 第一回総会 開催される
 4月6日(日),大阪大学中之島センター 佐治敬三メモリアルホール(大阪市北区)にて,一般社団法人ハイライフグループ(東京都)ならびに松田謙一氏(大阪府)が主宰する標記コース(HILIFE DENTURE ACADEMY/ReAF Denture Course)の受講生を集めて標記イベントが開催された.
 長谷英明氏(兵庫県)と古賀智也氏(福岡県・歯科技工士)は「ReAFコース卒業生の歯科医師と歯科技工士による共同受講後の取り組み」と題し,両氏が臨床に取り入れている義歯のオンライン立ち会いの有効性を示すとともに,義歯の卒後教育を歯科医師・歯科技工士で共同受講することで,共通言語・共通認識の獲得により臨床のベクトルを一致させやすいなどのメリットがあると語った.
 鈴木謙司氏(静岡県)は「いまこそオーバーデンチャーの利点を考えよう」と題し,上下無歯顎患者にBPS義歯を応用した症例と天然歯支台オーバーデンチャー症例を供覧.後者について,そのベネフィットがリスクを上回ると判断できるときに応用すること,残根の保存が顎堤吸収を防ぐことによる顎間関係の保持と支持・把持・維持の向上に役立つかどうかを検討すること,残根の二次う蝕を防ぎ長期予後を得るためにプラークコントロール確立と定期的なメインテナンスが重要と述べた.
 西尾健介氏(日大)は「閉口機能印象法を学んでからの全部床義歯臨床」と題し,卒然教育で学ぶモデリングコンパウンドを用いた筋圧形成(辺縁形成)と閉口機能印象による精密印象それぞれの長短所について比較検討.前者が辺縁形成→咬合採得の工程ごとの目的と方法を理解しやすい一方で熟練が必要であるのに対し,後者は患者アポイント回数の短縮や術者の技術による精度の差が比較的少ないとして,より臨床的な患者満足に繋がりやすい方法と考えられるとした.
 神山 敬氏(熊本県)は「超高齢社会におけるOcclusal Design Conceptの有用性を考察する」と題し,松田氏が提唱する咬合接触様式の考え方であるOcclusal Design Conceptに基づき,顎堤の状況によって”排出空間量”を部位ごとに調節することで自身の臨床でも義歯の安定と咀嚼能力の向上が得られたとして,咀嚼能力と義歯の安定の両立を最大化するうえで同コンセプトが高い有効性をもつことを示した.
 松田氏の特別講演「ReAF Denture Courseによる義歯臨床の学びの重要性,これまでとこれから」では,全部床義歯臨床を取り巻く環境の変化に触れ,いわゆる難症例の増加が見込まれる一方で卒然教育に割かれる時間は低減傾向にあるとして義歯卒後教育の重要性を強調.さらに,「高度顎堤吸収」,「フラビーガム」,「顎位の不安定」,「極端な顎間関係2級/3級」といった全部床義歯難症例に適切に対応するための具体的な問題分析アプローチについて解説した.
 齊藤嘉大氏(埼玉県)は「入れ歯が作れる様になりました」と題し,同コース受講を通じて適切な概形印象採得,咬合床製作・咬合採得,咬合様式付与,咬合調整といった各工程を実践できるようになったのみならず,口腔内診査のポイントや機能評価についても的確に理解できるようになったと報告した.
 吉田馨太氏(新潟県・歯科技工士)は「ReAF RPDコースで磨きをかけた歯科医師との共創と歯科技工士の人材育成」と題し,同コース受講を通じて,義歯設計や前処置などに関して歯科医師との共通認識をもてるようになったこと,さらに歯科技工士人材育成においても義歯臨床の”本質”を学ぶことで理論と手技を分けた教育や,適切な症例の背景を伝えながらの指導が行えるようになったとした.
 高橋貴啓氏(大阪府)は「上下無歯顎症例を外科的マウスプレパレーションを行い上顎総義歯・下顎2IODを作成したケース」と題し,軟組織付着位置ならびに骨形態の異常に伴って生じる全部床義歯製作における不利な条件に対し,前処置として外科的対応を行うことでその解決を図り,上下顎ともにシンプルな義歯製作に繋げた症例を供覧した.

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