2025/03/21
3月16日(日),幕張メッセ国際会議場(千葉市美浜区)にて,歯の発生の会・歯科再生会議第32回産学連携フォーラムが開催された(世話人:原田英光氏・岩手医大/大島勇人氏・新潟大).
歯科再生会議は,歯科における「再生医療」をキーワードに,産学連携の推進を目的に2005年に発足した会議体であり,研究者と歯科関連企業との交流を図ることで,産業界のニーズと研究成果を結びつけ,研究の活性化と産業創出を支援することを活動の理念としている.
本フォーラムでは「接合上皮から歯周病予防を考えるー歯をまもる最前線」とのメインテーマが設定され,山本松男氏(昭和医大),城戸瑞穂氏(佐賀大),原田氏により,接合上皮の臨床的な重要性が最新の研究知見とともに解説された.
山本氏は,現在は接合上皮中には幹細胞が存在すると確信をもって言えるステージにあるとしたうえで,歯肉切除後の接合上皮の創傷治癒に関する観察から,その臨床的な解釈に言及.また国内外の研究動向を紹介し,接合上皮中の幹細胞が歯周組織の創傷治癒に間違いなく関与しているであろうと強調した.
城戸氏は,接合上皮のターンオーバー,すなわち細胞移動を司る因子としてのTRPチャネル(温度感受性イオンチャネル)に着目.細胞接着の強弱と歯周病の進行との関連についての研究成果を紹介した.
原田氏は,接合上皮と各種の修復材料との接着機序は,ケラチノサイトとの接着を前提とした従来見解とは異なる可能性があることに着目.ポケット形成のメカニズムや上皮性付着の信頼性,また接着材料の評価の議論には,この点の再検証が不可欠であろうと指摘した.
会場からは研究者および歯科企業からの質問,コメントが寄せられ,活発な議論が行われた.
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なお本フォーラムは,APPW2025(日本解剖学会,日本生理学会,日本薬理学会合同大会/会期3月16日~19日)におけるサテライト企画として開催されたものである.