Ishiyaku Dent Web

歯科医師・歯科技工士・歯科衛生士のポータルサイト

むし歯予防研究会600回記念例会 開催される
 2025年3月9日(日),神奈川歯科大学附属横浜クリニック横浜研修センター6階にて,「むし歯予防は育児だ!~掲げ育み,600回を積み重ねた現在~」をメインテーマに標記記念例会が開催された.本会(略称;むし研)は,横浜歯科臨床座談会の分科会として1971年に発足し,今回で600回を迎えた.
本会世話人の磯崎亜希子氏
 午前のセッションⅠでは「むし研の学びを育児に 歯科衛生士たちの実践」と題し,濱田加奈子氏による「我が子で実践~成人を迎えた我が子の成長記録~」を皮切りに,今村歯科医院の今村幸恵氏,丸森歯科医院の丸森郁美氏,タケスエ歯科医院の久保田香奈氏が登壇.それぞれの育児経験を通して,むし歯予防の実践と課題について語った.砂糖やお菓子の制限による葛藤,専門家としての知識と一般的な育児観との間で生じた温度差に苦悩した日々を,臨場感あふれるエピソードとともに包み隠さず語った.
 続くセッションⅡでは「いま,子ども・保護者たちに,何が起きているのか?」をテーマに,金沢愛児園・めぐみ幼児園の保育士および看護師によるディスカッションが行われた.環境や親の意識が時代とともに変わりゆくなかで,現場のプロの視点から現代の育児の課題と歯科介入への期待について活発な意見交換がなされた.
 昼食休憩を挟み,午後のセッションⅢでは「むし研の学びを診療室に 口から始めて健康をつくる」として,管理栄養士の鵜池香織氏が「むし歯予防と食生活,そして口腔機能」と題した講演を行った.食生活の観点からむし歯予防に迫り,口腔機能との関連性について科学的知見を交えて解説した.
 セッションⅣ「むし研の学びを地域に 歯科医院が出来る地域との関わり」では,丸森歯科医院の丸森英史氏が「横浜市歯科医師会の事業,保育士へのセミナー40年の振り返り」と題し,地域における歯科保健活動の歴史と成果を紹介.同じく丸森歯科医院の丸森史朗氏は「めぐみ幼児園『健康の日』で伝えたいこと」として,保育施設との連携による健康教育の実践例を報告した.また,野中歯科医院の野中哲雄氏からは「公田小学校との四半世紀の関わり」と題した発表があり,姿勢と口腔の関連についての長年の研究成果が示された.
 最後のセッションⅤ「むし研で学んだ歯科衛生士たちの活躍と,これからの子どもたちへ」では,関 律子氏が「むし研があって私がいる~半世紀を過ぎたいま,DHとして未来予想図を考える~」と題し,歯科衛生士としての長いキャリアを振り返った.世川晶子氏は「小児病院の歯科衛生士として~子どもたちの生活に触れる関わり~」と題して小児専門医療における歯科衛生士の役割について語り,山本 静氏は「患者さんをみる視点を広げ続けてきて 口腔機能・ブラッシング・食の3本柱で指導,20年の経過報告」として,長期的な患者指導の成果を報告した.
 会場には会員をはじめ,医院スタッフ,家族連れなど多数の参加者が集まり,「むし歯予防は育児」というテーマに対する関心の高さがうかがえた.満員となった会場からは「長年の実践に基づいた貴重な話が聞けた」「育児と歯科保健のつながりについて新たな視点を得られた」などの声が聞かれ,盛況のうちに閉会した.

■他のニュース記事をさがす

日付から記事をさがす
<2025年6月>
25262728293031
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345
キーワードから記事をさがす

人気の歯科書籍(キーワード別)

歯科雑誌 最新号