2024/12/16
12月14日(土),15日の2日間,日本大学松戸歯学部(千葉県)にて標記大会が「臨床検査で知る『くち』の物語」をテーマに開催された(大会長:平野浩彦氏・東京健康長寿医療センター).
特別講演「検査を活かす」では,下澤達雄氏(国際医療福祉大)が登壇.これまでの「正常値」から「基準値」という考え方への移行,さらに恣意的な側面ももつ「臨床判断値」を解説した.また,「感度」「特異度」の考え方から,カットオフ値の設定について述べ,無駄な検査とならないよう,検査対象の性格をみたうえで「感度」「特異度」のどちらが高い検査を選択するかの大切さを指摘.さらに現在の検査として培養の必要がほとんどない質量分析,さらにその欠点を補う遺伝子解析を紹介し,将来のAIを用いた検査に関しては,施設ごとの特性に応じたディープラーニングの必要性を述べた(座長:松坂賢一氏・東歯大).
シンポジウム1「ライフステージにおける口腔機能検査を考える」では,最初に「混合歯列期における口腔機能の成長発育の評価について」と題し,根岸慎一氏(日大松戸)が歯科矯正学の立場から,近隣小学校などで行った子どもの咬合力などの疫学的調査の成果を紹介した.次に「歯科衛生士教育における口腔機能検査」と題し,森下志穂氏(明海大)が歯科衛生士業務における口腔機能管理のニーズの高まりを受けた国家試験や教育カリキュラムの現状を述べ,明海大学保健医療学部における教育システムや,地域における市民への啓発活動を紹介した.最後に「高齢期における口腔機能検査・管理」と題し,石井良昌氏(日大松戸)が以前に携わっていた海老名総合病院における栄養管理との連携を紹介し,そのための口腔内評価の大切さを指摘,これからは「臨床歯科栄養学」が必要になることを述べた(座長:乾明成氏・青森県,石井氏).