2024/12/10
12月7日(土),8日(日),あわぎんホール(徳島県郷土文化会館.徳島市)にて標記大会が「歯科審美の守破離 ~革新と進化~」をテーマに開催された(大会長:保坂啓一氏・徳島大).
学術講演委員会企画講演『今のアライナー矯正を極める』(座長:橋場千織氏・東京都)では,小森 成氏(東京都国民健康保険団体連合会)が「側切歯欠損に対するアライナーを用いた審美的アプローチ」と題し,アライナー矯正による上顎側切歯欠損症例への治療戦略を示すとともに,予定している歯の移動量と実際の移動量の差(aligner lag)が生じた場合はマルチブラケット装置を用いてリカバリーするなど柔軟な対応が求められることや,症例に応じて異なる種類のアライナーを適切に応用することの重要性を指摘した.
平野拓幹氏(株式会社アソインターナショナル)は「アライナー矯正を最適化するための歯科医師から歯科技工士に向けた要求ポイント」と題し,アライナー矯正治療におけるプランニング精度向上やアライナー枚数の削減・治療期間の短縮のポイントやアライナーの素材選定における検討項目,臼歯の移動量のコントロールに際するアタッチメントとアライナー辺縁形態の工夫などをラボサイドの視点から解説した.
アドバンストセミナー2『ホワイトニング治療の守破離』(座長:大槻昌幸氏・科学大/松歯大)では,辻本暁正氏(愛院大)が「新時代の医療ホワイトニング―ホームホワイトニングから変える心美治療戦略―」と題し,過酸化水素を用いたホームホワイトニングの有効性について述べたほか,過酸化尿素がう蝕原因菌に対する殺菌効果を示すことからホワイトニングと同時に口腔内環境を整えられる点も患者にアピールできると語った.
藤原奈津美氏(徳島大)は「ホワイトニング治療で求められる歯科衛生士とは~最新の歯科衛生士教育をふまえて~」と題し,同大・同大病院における”ABCホワイトニングコンセプト”に基づくチーム医療の取り組みを述べ,処置に従事する歯科衛生士にはホワイトニングに関する知識・技術・コミュニケーション能力などの姿勢とともに,科学的根拠に基づく歯科衛生活動への意識も求められるとした.
松永興昌氏(福岡県)は「患者と歯牙の特徴から行うホワイトニングの実践」と題し,ホワイトニングにおける診査および治療計画立案に際し歯科医師も積極的に関与し患者の要望・状況を把握すべきとしたうえで,患者の性格に応じたカウンセリングのポイントや,ホワイトニング効果に影響するエナメル質の厚みの診断法を解説した.
品川淳一氏(東京都)は「ホワイトスポット治療の最前線~低粘性レジン浸潤法と高濃度ホームホワイトニング材の併用~」と題し,歯面に生じる白斑・褐色斑の病因論と診断に触れ,ホワイトニング処置後に非脱灰性の白斑(ホワイトスポット)が前歯部唇側面にみられた際の治療対応について示した.