2024/11/29
11月23日(土),第36回日本舌側矯正学会学術大会が「治療のクオリティを高める―Update of the Lingual Orthodontic Treatment―」をテーマとして,東京コンファレンスセンター(東京都港区)で行われた(大会長:石川 剛氏,神奈川県).
特別講演1「舌側矯正治療の現状と将来」で登壇した竹元京人氏(東京都)はリンガルワイヤーストレート法の考案者であり,その後も進化を遂げていく治療法を実践してきた.そうした観点から,症例に応じた治療の実際を紹介した.
特別講演2「Limitations in lingual orthodontic treatment~How far can we move teeth in Class Ⅱ div. 2 cases?」で登壇した布川隆三氏(大阪府)は,AngleのⅡ級1類と2類における抜歯症例を紹介し,フォースベクトルが歯列に作用する構造について分析した.
教育講演1「外科的矯正治療のクオリティー向上のために」で登壇した西井 康氏(東京歯科大)は,治療計画立案や歯科矯正用アンカースクリューに対応した新たな診断基準について,より実践に即した言及を行った.
教育講演2「新たな矯正歯科専門医制度の概要と取り組み」で登壇した友成 博氏(鶴見大)は,新しく策定された矯正歯科専門医制度の理念や資格要件などについて詳細に話した.
招聘講演「Lingual, Aligner and Digital Orthodontics」で登壇したDr. Gisun Bae(Korea)は,1929年にDr. Spencer Atkinsが導入した手法に端を発した歴史を踏まえたうえで,3Dプリント技術などを使用した最新の治療戦略について紹介した.
依頼講演1「舌側矯正治療の目指すゴールとは」で登壇した酒井昭行氏(大分県)は,補綴の観点を踏まえた顎位の改善,歯列形態の修正,機能咬合の確立を行った症例を供覧した.
依頼講演2「フルデジタルカスタムリンガル矯正の前歯部トルクコントロールについて」で登壇した杉山晶二氏(東京都)は,Full Digitalized Custom Lingual Applianceによる前歯部トルクコントロールについてさまざまな論点での検証を行った.
依頼講演3「前歯のトルクコントロールを考える」で登壇した岡下慎太郎氏(奈良県)は,Angle Ⅱ級2類の前歯部トルクのコントロールにおいて,時系列で3つに分けた各段階について解説した.
依頼講演4「各装置におけるⅡ級2類症例の治療戦略を考える」で登壇した青木泰樹氏(愛知県)は,Ⅱ級2類症例においてどの装置が治療にとって有利になるのか,その効率性について検討した結果を話した.
依頼講演5「アングルⅡ級2類治療の留意点」で登壇した土川太一氏(愛知県)は,前歯部に叢生を伴うAngleⅡ級2類の若年女性の症例を供覧し,動的治療終了後6年が経過しても安定した結果が得られたことを報告した.
依頼講演6「前歯の垂直的位置を考慮した矯正歯科治療」で登壇した上村裕希氏(熊本県)は,過蓋咬合を伴うAngleⅡ級2類の症例について,CDS分析を用いて評価した結果を供覧した.