2024/11/25
11月23日(土・祝),松本歯科大学図書会館にて,綾の会40周年記念ミーティングが,約150名の参加者のもと開催された(代表:金子至氏/長野県大町市・金子歯科医院).同会は発足以来,歯科医師とスタッフが同じ場で共に学ぶ活動を継続しており,40周年の節目に「40年の歩みと未来―チーム医療の新たな挑戦」をテーマとしての開催となった.
「1.綾の会40年の歩み」では,金子至氏が,歯周治療をめぐる40年の変遷を振り返るなかで,「患者との信頼関係」と「予防の視点」が歯科治療の根幹であるべきとし,それは「患者さんの健康のため」という意識が基盤となることを,同会の理念として強調した.また内川宗敏氏(長野県塩尻市・内川歯科医院)は,40年を経ての新たな課題として,加齢に関わるさまざまな問題,訪問診療の話題を取り上げた.
「2.歯周基本治療からみる歯科衛生士の可能性」では,髙山恵利氏,清水悠子氏(いずれも内川歯科医院),南野莉穂氏,石井宏美氏,関 菜緒氏(いずれも金子歯科医院),市川美由紀氏,橋爪由美子氏(いずれも長野県伊那市・宮下歯科医院),宮下里緒氏(長野県松本市・汲田歯科医院)の8名の歯科衛生士が登壇し,歯周基本治療のみの介入を行った症例の経過を報告.前歯部/臼歯部/喫煙と歯肉/クリーピング/歯の移動のそれぞれのテーマで計19症例の経過から,歯科衛生士が主役となる歯周基本治療の大きな可能性が検討された.
「3.長期症例発表」では,宮下徹氏,橋爪由美子氏(いずれも宮下歯科医院),汲田剛氏,稲原有妙子氏(いずれも汲田歯科医院),南野莉穂氏,金子至氏(いずれも金子歯科医院)の3医院より,歯科医師・歯科衛生士それぞれの視点から長期症例から学んだものを報告した.
「4.アシスタント,受付の重要性」では,征矢真奈美氏,川久保理奈氏(長野県伊那市・きらら歯科クリニック)が,受付・アシスタント業務に求められることを整理.患者さんに一番近い存在として,チーム医療のなかで欠かすことのできない役割が再確認された.
「5.綾の会出身歯科医師発表」では,神庭光司氏(島根県松江市・神庭歯科医院)が登壇.開業後12年を経た現時点での,同会の理念の実現への道筋を報告.スタッフ教育とスタディグループ創設の面白さや難しさに言及された.
「6.医院承継と未来の歯科ビジョン」では,同会において医院承継を控える3医院より,次世代の歯科医師4名が登壇.金子創氏(長野県大町市・金子歯科医院)は医院承継とは「理念」を引き継ぐものであること,北谷裕之氏(長野県塩尻市・内川歯科医院)は「理念」を共有する患者とともに医院を育てていく必要性,宮下遼氏(長野県伊那市・宮下歯科医院)は「理念」をスタッフと共有できてはじめて患者さんのための医療が実践できること,金子理氏(長野県大町市・金子歯科医院)は同会の「理念」をいかに自らのモチベーションとしていくか,それぞれの決意表明の機会となった.
「患者さんの健康のため」との同会の理念と,次世代へ確実に引き継がれていることが再確認された1日となった.