2024/10/15
10月12日(土),13日(日),日本補綴歯科学会の主催する標記会が「補綴治療の質を向上させるための周辺必須技術を学ぶ―補綴歯科専門医の集学的な臨床能力を磨くために―」をテーマに,岡山大学 Junko Fukutake Hall(岡山市)およびLive配信にてハイブリッド開催された(大会長:窪木拓男氏・岡山大).
会期2日目の臨床セミナー1『インプラント関係:硬軟組織再建,抜歯前から始まる補綴戦略』(座長:熱田 生氏・九大,黒嶋伸一郎氏・北大)では,飯田吉郎氏(愛知県)が「抜歯前から始まる審美インプラントの治療戦略」と題し,昨今報告されている各種歯槽堤温存術を加味した,前歯部審美領域のインプラント治療戦略について述べた.
山下素史氏(福岡県)は「生物学的・細菌学的観点からのインプラント治療」と題し,臼歯部インプラント治療の長期予後を図る際の埋入深度・位置の重要性と,オープンバリアメンブレンテクニックによる対応について症例を交えて供覧した.
臨床セミナー2『歯列矯正関係:補綴治療の質を高める矯正・補綴コンビネーション』(座長:澤瀬 隆氏・長大,曾田英紀氏・北医大)では,藤山光治氏(京都府)が「補綴を考慮したアライナー矯正治療」と題し,アライナー矯正治療における歯の移動のメカニクスに言及し,これを咬合治療に応用する際の注意点をまとめた.
綿引淳一氏(東京都)は「DIP法を用いた補綴治療と矯正治療の真の融合を目指して」と題し,自身の提唱する生体最適化咬合(BOO)コンセプトと,包括的矯正治療における12の咬合の鍵に基づいて行うDual Incisal Plannning(DIP)の概念ならびに診断ステップを紹介した.
臨床セミナー3『歯周・エンド関係:補綴治療のアウトカムを高めるための歯周・エンド治療』(座長:鮎川保則氏・九大,正木千尋氏・九歯大)では,神戸 良氏(京都府)が「補綴治療のアウトカムを高めるための歯内療法のストラテジー」と題し,“Compromised tooth”に対する歯内療法学的問題解決のアプローチや歯内療法分野における近年の潮流を踏まえ,根尖性歯周炎の治療は高い成功率をみせる一方,患歯の予後をみるうえでは歯周病学的,補綴学的問題点の解決も重要になるとした.
塩見信行氏(大阪府)は「補綴治療前処置としての歯周組織再生療法を考える」と題し,主にFGF-2を用いた歯周組織再生療法の機序と有効性,より低侵襲を目指したフラップデザインの変遷に言及したうえで,予知性の高い歯周組織再生療法を行うことで,その後の補綴治療の選択肢の幅を広げることができるとした.