2024/10/07
10月4日(金),5日(土),札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)にて標記学会が「新たなる歯周病への挑戦」をテーマに開催された(大会長:菅谷 勉氏・北大).
特別講演2「誰もが歯を残し認知症を発症する時代に歯科医師に望まれること」(座長:齋藤 淳氏・東歯大)では,枝広あや子氏(東京都健康長寿医療センター研究所)が認知症症状の特徴や認知症重症度と口腔機能・口腔衛生管理の関係性を整理.疾患の特性上,適切な口腔機能管理のためには機会受診ではなく継続的な定期受診が重要になるとして,歯科医院での受診支援や医科医院との診療情報共有,歯科治療における認知症患者の尊厳の保持を実現するうえで注意すべきポイントなどを示した.
シンポジウム「セメント質剥離破折への対応と課題」(座長:菅谷氏)では,まず水上哲也氏(福岡県)が「セメント質剥離の臨床的特徴と診断,治療方針の選択」と題し,セメント質剥離の病態と臨床的特徴・症状,診断・鑑別,治療方針の選択における判断基準を解説.今後はより詳細な病態の解明と介入の是非のさらなる検討が求められるとした.
次に山本恒之氏(北大)が「セメント質の構造上の脆弱部―セメント象牙境と成長線―」と題し,ヒト抜去歯のセメント象牙境と有細胞セメント質の成長線の組織学的観察結果をもとに,セメント象牙境と成長線は線維構築と石灰化の連続性・均質性が途切れる断層部であり構造上脆弱となることがセメント質剥離につながることを示唆した.
佐藤 禎氏(北海道)は「セメント質剥離破折へのbFGF製剤の有用性と予後について」と題し,自身で経験した豊富なセメント質剥離症例の治療結果をもとに,デンタルX線上での剥離片の読影の仕方や骨欠損形態別の治療対応について考察した.