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令和6年度日本補綴歯科学会九州支部学術大会 開催される
 9月21日(土),22日(日),熊本県歯科医師会館(熊本市中央区)にて標記大会が開催された(大会長:松浦尚志氏・福歯大,伊藤明彦氏・熊本県歯会長.共催:熊本県歯科医師会).
 シンポジウム『口腔顔面痛-“咬合治療”の落とし穴』(座長:松浦氏)では,築山能大氏(九大)が「顎関節症と咬合との関係:臨床医,補綴歯科専門医はどう捉え,どう対応すべきか」と題し,ほとんどの場合に咬合の問題は顎関節症の原因ではなく結果であり,顎関節症治療としての咬合調整が有効とする根拠はない点を指摘.同疾患が多因子性疾患であり疾患モデルが複雑である点を踏まえた慎重な対応が求められるとした.
 豊福 明氏(医科歯科大)は「“咬合治療”の光と影;「咬合違和感症候群」にご用心」と題し,咬合違和感・異常感をPhantom bite syndromeと表現して同疾患における臨床的特徴や患者の訴えを整理.心理社会的因子の関与が見込まれることや,そのために咬合調整がその解決に寄与することは少ないとして,積極的な歯科処置の”自制”も重要になると述べた.
 特別講演「補綴とは何か?」(座長:松浦氏)では,細川隆司氏(九歯大名誉教授)が数々の恩師との出会いを経ての,自身の教育・研究・臨床・医局運営を振り返った.また,これからの補綴に求められるものとして,多職種連携が求められる時代にあって,咀嚼機能のみを補綴治療のアウトカム指標として捉えるだけでなく,患者の全身健康を新たな指標に据えサルコペニア予防等に寄与することが重要になること,その際の歯科介入を判断できるのがこれからの補綴専門医のあり方になると訴えた.
 生涯学習公開セミナー『クラウンブリッジにおける補綴歯科治療の勘所』(座長:高江洲 雄氏・福歯大)では,初めに峯 篤史氏(阪大)が「CAD/CAMで作製する補綴装置への接着と考慮点」と題してジルコニアやCAD/CAM冠用レジンブロックの接着に関する研究知見を示し,前者については接着技法が確立したと言えること,後者に関しても十分な接着性が得られており,そのうえで脱離がみられる場合は支台歯形成やセメントスペースの設定等を見直す必要があると述べた.
 次に三浦賞子氏(明海大)が「ジルコニアレストレーションの基本と留意点」と題し,ジルコニアの材料学的な基礎知識や文献的にみた臨床成績を解説.ポーセレンレイヤリングジルコニアとモノリシックジルコニアの選択基準・適応症や支台歯形成,表面仕上げ,接着等の臨床操作のポイントについて臨床例を交えながら整理し,臨床トラブルとしての摩耗や破折の原因についても考察した.

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